京都府議会議員
佐々木幹夫の質問答弁
議会棟と議場写真

 
2007年6月議会建設常任委員会 市街化調整区域における付議基準15を適用した区域指定

■議案審査

○佐々木委員

第3号議案「京都府鴨川条例制定」の件です。新しくつくった条例でよくあることは、府民の皆さん、市民の皆さんが、ああ、そんな条例できたのは知らなんだというのがよくあるのです。特に、今回の場合は罰則規定もありますので、例えば、自動車を乗り入れると5万円です。そういう罰則規定もある新しい条例ですから、これはかなり周知が必要ではないかと思います。

初めに言いましたように、やっぱり知らなんだというような話が出ないような、PRが必要ではないかと思うわけです。条例の目的は、その条例をつくって違反者を見つけるのではなしに、条例に書いた精神を守ってもらう。バーベキューをしない、自転車を放置しない、それが目的ですので、そういうことを中心にした周知を徹底する必要があるのではないか。

今回の補正予算で510万円ついてますが、多分、看板等を上げられるのだと思いますけれども、それだけではなかなか周知できないのではないか。そういうところをどのようにお考えかを聞かせていただきたい。

それから、条例の中で、条例をつくる段階から、適宜条例の見直しを行うということを明記する。これは珍しい形だと思います。その精神もお聞かせください。

○山ア河川整備管理室長

まず、周知の問題についてお答えをいたします。今回、計上をさせていただきました補正予算につきましては、御指摘のとおり、現場での看板等の設置が主体でございます。ただ、これも委員御指摘のように、周知が非常に重要であると考えておりまして、周知期間についても、十分な時間をとらせていただきたいということも含めまして、罰則規定につきましては、来年の4月1日施行という形で、十分、府民の皆さんに内容を御承知いただける期間を確保したいと考えております。

さらに、府民会議というものを立ち上げることにさせていただいておりますが、その中でも、具体的な規制の内容について十分御議論をいただく中で、その会議の様子や意見等もお知らせする中で、周知を図っていく。さらに、委員の皆さんには、地元へ戻っていただいて、そのことをお伝え願うということも含めて、考えております。

いろいろな手段をとりながら、周知については十分考慮していきたいと考えております。

それから、見直し条項でございますが、条例の中でも、府民会議で議論が出た内容につきましても、見直しの対象として考えていくという趣旨をうたわさせていただいております。先ほどから出ておりますけれども、ホームレスの問題も含めまして、鴨川をめぐる議題は非常にたくさんございますので、そういうものが煮詰まってきて、条例化が必要な内容が出てきた場合には、積極的に見直しをするという姿勢は保ちながら、条例施行に当たりたいと考えております。

○佐々木委員

条例の中で、罰則を受けた場合に、その罰則は前科に値する内容が含まれているということを聞きました。ちょっと僕はわからないのですけれども、どの罰則を受けた場合が前科に当たるのか、それを教えてください。

○山ア河川整備管理室長

どの条例がということではございませんで、罰金も刑罰の中に入っているということでございます。

条例で定めます場合に、過料という制定の仕方があるのですが、これは単なる行政処分でございますけれども、今回、条例化を図らせていただいた内容は罰金です。通常の法律で申し上げますと、さらに重くなると、懲役刑ということになりますけれども、そこまでの内容は不穏当だということで、罰金刑という形で整理をさせていただいております。

 

■所管事項

○佐々木委員

 都市計画法の関係です。開発審査会の付議基準の15にかかわることです。これについては、線引きによって新築の住宅が建てられないとか、乱開発を防ぐためにできた法律とはいえ、今現在、例えば私の住んでいます綾部では、線引きがあるために新しく家が建てられない。長男は帰ってきておるが、土地はもういっぱいだと。しかし次男も帰ってきたい。そのときに、新たな土地を求めて新築をしたい。さらには、弟も帰ってきたいとか、友人を近くに呼びたいとかと。そういう場合には、都市計画法によって家が新築できないという状況が続いています。

ところが、平成12年に都市計画法並びに建築基準法も一部改正がなりまして、それにあわせて本府においても、都市計画法第34条8号の3に規定する条例を、平成16年に整備されました。

それにかかわってですが、市街化調整区域における付議基準15を適用した区域指定というのがありまして、これは地域にとりましたら、自分の近所に、自分のところの畑に新たに自分の子どもの家を建てることができるとかで、大変喜んだわけです。しかし、実際の作業は、感ずるところ、平成18年ぐらいにスピードダウンしたなという思いがあります。これの適用を目指して、市町村の中で地区指定、地区選定をしてきたところもあると思います。そういう動きをしているところがあると聞きながら、どうもスピードダウンだなという感じがしますので、この件についてお伺いします。

現在、この付議基準15に従って地区指定をしようと手を挙げている市町村は、どことどこで、今、どういう状況で動いているか、それをまずお伺いします。

 ○小嶋建築指導課長

付議基準の関係についてでございます。御指摘のとおり、市街化調整区域におきましては、市街化を抑制する区域ということで、土地利用について厳しい制限が加わっております。

しかしながら、近年の人口の減少といったことから、地域コミュニティの維持が困難な調整区域内の既存集落というものも課題になってございますので、先ほどお話にありましたように、34条8号の3に基づく条例の指定。その条例に適合しない、市街化区域からさらに離れた既存集落についてのコミュニティの維持や活性化のために、御指摘のとおり、付議基準を見直し、15として、そういった既存集落を指定することによって、開発審査会の議を経た後に、許可ができるということのために、付議基準を追加したところでございます。

現在のところ、3市において協議中でございますけれども、まだ指定までは至っておりません。具体には、線引き制度との整合を図りつつ、既存集落のコミュニティの維持・向上を図っていくために、地域事情等々を踏まえながら、該当する市と調整、協議を図っている状況でございます。

以上でございます。

 ○佐々木委員

平成16年4月1日に制定されてから、今に至るまでというか、私が聞いたときには、随分、これは都市計画法についても柔軟に対応できるのだなと、時代に合った制度に変わりつつあるという実感を受けました。

地域を見渡したところ、100メートル以内25戸連担といえば、多くの集落がそこに当てはまるわけです。ですから、例えば地域のコミュニティや自主防災の意味でも、力持ちが村にいないとか、子どもの声が聞こえるようにしたいとか、そういう願いをかなえられる大きな要因になるなと思っていたわけです。平成16年から動き出して17年、18年、19年、地域の人が求める制度であるはずなのに、なぜ進まないのかなという思いがあります。今、3市で取り組んでおられると言われますが、ほかの市町についても、都市計画法の線引きをやっているところで、まだこれから準備をしようというところもあるのではないかと思うわけです。そういうところは、今、先行している町の様子を見ているのかなという話も聞きます。

地域事情とか、協議中だとか、いろいろあるのですけれども、進まないと感じておられませんでしょうか。農林サイドと、都市計画サイドとの調整がうまく進んでいないなという実感を受けていますが、その辺、進んでいないというか、これぐらいのペースでしか進まないというのは、どこに原因があるのか、どうお考えでしょうか。

 ○小嶋建築指導課長

1つには、まず市街化区域に隣接、もしくは近接する34条8号の3の方の作業が優先したということもあるのではないかなと感じております。

次に、今申し上げましたように、3市から具体の相談を受けておりますので、これらについて、市街化調整区域と市街化区域との線引き制度の趣旨を保ちつつ、既存集落のコミュニティの維持を図っていくために、詰めた協議を進めていくことになろうかと思います。

今も具体の戸数等のお話をいただきましたように、当初、私どもが考えておりました戸数要件は、例えば、条例での既存集落の固まりが50戸程度ということに対して、それ以外のところの既存集落は30戸程度でということで、市町村と協議している中で、市町村からの御希望が強かったことから、条例対象の半分の25戸まで引き下げることにいたしましたし、既存集落の30戸なり25戸をどうカウントするかという中で、敷地間の距離というものを定めております。当初、50メートル程度の中にお隣がいるということで考えておりましたけれども、市町村との協議の中で、100メートルまではよしとしようということで、付議基準の策定に当たりましても、関係する市町村とは十分協議をして、今の付議基準に取りまとめております。引き続いて市町村の抱える課題に対応できるように、進捗が遅いという御指摘を受けないように、詰めて議論をし、調整をしていきたいと考えております。

 

 ○佐々木委員

農林サイドとのことはどうでしょうか。

 ○小嶋建築指導課長

農業振興等という観点からの市町村のまちづくりということについても、非常に重要な観点だと理解をしておりまして、そういったことを含めまして、市町村の中で都市計画部局と農林部局が調整されて、協議の案が出されるということで考えておりまして、そういった中で今も協議を続けているということでございます。

 ○佐々木委員

ということは、市町村で農林サイドの調整がつけば、京都府の場合は、別に問題ありませんよということの理解なのでしょうか。

 

 ○小嶋建築指導課長

基本的には、まちづくりについては、基礎的自治体としての市町村の役割、お考えを尊重するという立場から、今、申し上げたつもりでございまして、当然、府の農林としても、農林政策上の観点から必要な意見というのは出てこようかと思います。

そういったことも含めて、既存集落の抱える課題に対応できますように、対応していきたいと考えてございます。

 

 ○佐々木委員

もちろん、大切な農耕地を平気で減らすとかいう思いではないわけです。

ただ、今の地域の実情というのは、新しい人が村に入ってきてもらうような条件を整えようという状況ですので、その辺は農林サイドとの調整も、例えば市に言わすと、それは京都府に上がったときの農林サイドと都市計画サイドがうまくいっていないのと違いますかとか、そんな話が出ないようにしてほしい。

それは、例えば私のおります綾部市も取り組んでおりますが、ではなぜ進まないのかと言えば、結局は都市計画サイドと農林サイドとの調整がうまくいかないとか、そんな話が出てくるものですから、そこのところは何のために今、これをわざわざ付議基準として設けたかを、大事に推進できるような体制をとっていただきたい。これは、都市計画サイドには要望しておきます。

またあわせて都市計画サイドには、農林サイドにもこの趣旨をしっかりと理解をしていただいて、まちづくりのために、コミュニティのためにとか、何のためにということを、しっかりと理解してもらうような努力をしていただきたい。

いずれにしても、これはじっくり考えてみますと、都市計画法ができてから、随分と今までまちづくりの弊害になってきたものを、少しでも広げていこうという努力の一つですから、これは大いに活用したいと思っている市町村がたくさんあると思うのです。それにこたえられるような速度と理解と促進していただきますように要望しておきます。

きのうから机の上に灰皿がございません。各委員会そろってかもしれませんが、審議をするところで、たばこを吸いながらというのはそぐわないなと思っていましたが、このように配慮をいただきまして、大賛成でございます。委員長に敬意を表します。

以上です。

 

2007年6月少子高齢社会・青少年対策特別委員会 ネットカフェ難民、家族・地域のきずなを再生する国民運動

◯佐々木委員
 3点についてお伺いします。
 1点目は、報告事項ですべきところだったと思いますが、ネットカフェ難民の件です。これは全国で初の取り組みというふうに聞かせてもらいました。全国的な規模がどういう状況なのか私はよくわからないのですが、京都府においてただ単に取り組みが早かったということなのか、それとも早急に取り組むべき課題があったのか、その辺はどうだったのでしょうか。その状況をお知らせください。

 それから2点目ですが、6月12日に内閣府の特命担当大臣の決定で「家族・地域のきずなを再生する国民運動」実施要綱というのが定まっています。その中で、日にちも決まっていますが、11月18日を「家族の日」、11月11日から24日までを「家族の週間」と定めて、内閣府において実施をする。しかし、地方自治体なり関係団体にも連携・協力を呼びかける。また、地方公共団体等での大会もやるというような内容が示されています。これの対応というのは京都府においてもされるような準備があるのか、それをお伺いします。

 それから3つ目は、医療費助成の件です。支援の件ですが、医療費は小学校6年生までということになっていますが、その中で歯科医療費はこの充実施策の中に入っているのかどうなのか、それをお伺いします。


◯角南青少年課長

 1点目のネットカフェ難民の立入調査ですが、7月は青少年の非行問題に取り組む全国強調月間ということで、全国的にいろんな書店やネットカフェ等に立入調査をしている都道府県は結構あると聞いております。
 ただ、全国初というのはなぜかといいますと、ネットカフェが最近問題になっておりますので、サイバー犯罪の実態調査ということで警察だけが行かれている、京都もこの前行かれましたが、というような状況や、また、青少年サイドだけで、深夜の立ち入りがないかという青少年健全育成の観点でというのはありますが、今回については、青少年対策・青少年課と労働問題の対策・労政課、それと警察と三者が協力しまして、青少年問題の観点とネットカフェ難民と言われている労働問題とを一緒に見ていこうというのが全国初の取り組みでございます。昨年度もネットカフェには立入調査はしているのですが、今年度はそういう観点から、すべてのネットカフェを立入調査したい。すべて夜間ではないですが、夜間のところ、昼間のところ、いろいろありますが、そういう状況でございます。そういう意味で全国初と今回申し上げたところです。
 ただ、人数については、まだ今から実態調査ですので、これからつかんでいきたいと考えているところでございます。
 以上です。


◯田代保健福祉部こども政策監

 2点目の御質問でございますが、家族の再生会議の関係は、内閣府でいろいろ御検討されていたということは伺っておりまして、その取りまとめがされたという情報は私どもも得ております。子どもを産み育てることについてのポジティブキャンペーンを国を挙げて実施していくというような趣旨から検討され、今回まとめられたと伺っております。それを都道府県とどう連携を図っていくのかということにつきまして、国の通知も待ちながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯浅田保健福祉部次長(高齢・保険総括室長事務取扱)

 医療費助成の関係でございますが、医療費はすべて対象にいたしております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 では、ネットカフェのことは、いわば全国的に見て京都府の場合は心配なレベルの度合いというのは、平均値と言うとおかしいですが、心配レベルは高い方ではないと理解すればいいということですか。

◯角南青少年課長

 先ほど申し上げましたように、実態把握は今回初めてでございますので、心配レベルにつきましては、今のところはまだ実態について把握しておりませんので、今後の調査次第でございます。
 以上でございます。

2007年9月定例会本会議代表質問  


◯議長(家元丈夫君) 休憩前に引き続き会議を行います。
 次に、佐々木幹夫君に発言を許します。佐々木幹夫君。
   〔佐々木幹夫君登壇〕(拍手)

◯佐々木幹夫君 京都創生フォーラムの佐々木幹夫でございます。

 私ども京都創生フォーラムは、今回の府議会議員選挙におきまして初当選をさせていただきました桂川孝裕、岡本忠藏、そして私3名で、府議会32年ぶりの新会派を結成いたしました。私どもは少数会派ですが、府会議員の権能と職責を自覚し、府民の負託にこたえるべく頑張る決意でございます。
 議員各位並びに山田知事を初め理事者の皆様の御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、会派を代表して質問させていただきます。

 今年度当初から、本府は「地域力の再生」をキーワードに、安心・安全の基盤づくり、産業等の活性化などさまざまな課題に対し積極的な施策に取り組んできておられますが、私どもは、これらの山田府政の積極的な取り組みを高く評価するところであります。

 その中でも、地域医療についてでありますが、昨日の千歳議員、本日は中島議員が相次いで質問され、知事からも答弁をいただいておりますので、私はあえて重ねて質問はいたしませんが、医療政策は、とりわけ京都北部地域に定住する条件を整える上でも重要課題でありますので、引き続き、二次医療圏の体制の見直しも含め、関係医療機関や現場の医師とも十分な連携をとりながら取り組んでいただきますよう要請いたしておきます。

 質問の第1点目でありますが、京都新時代の「公(おおやけ)の領域」についての認識と「新しい公」、NPOやボランティアグループの育成・支援についてであります。
 私は、今後の都市の評価は、従来の都市間競争でいう人口や下水道、そして都市機能に加えて、そこに住む住民がどれだけまちづくりに参加しているかという、住民参画も評価基準に加わるものと思っています。
 そこで、今後の自治体運営の新しい形の基盤となる「公の領域」についてお伺いいたします。
 地方分権や市町村合併論議が活発化してきたころからでしょうか、行政運営の住民参加にかかわって、住民との「協働」という言葉が使われるようになりました。ただ、この「協働」という言葉は、国や自治体の財政悪化を背景に、本来、行政が行うべき「公」のサービスを住民に押しつけるものではないかという意見もありました。しかし反面、「住民は公的サービスを要求し受ける側、行政は実行する側」という意識構造から脱皮しなければならない時期でもありました。こういう状況下で、山田知事におかれましては、知事就任の1期目に取りまとめられた「行財政改革指針(かいかくナビ)」において、住民の生活現場を基点においた「住民発・住民参画・住民協働」をいち早く打ち出されたことは、自治体運営の「行政」「住民」それぞれの意識改革を進める上で、まことに時宜を得たものでありました。

 さらに、京都府におかれては「これからの『公の領域』のあり方研究会」を設置され、平成18年1月にその研究会の報告書が取りまとめられておりますが、その中でも、「職員の意識改革」はもとより、公の領域の新しい担い手の育成、パートナーシップの構築の重要性が取り上げられております。そこからは「住民発」、政治の原点である住民の生活現場からの「必要」から出発し、その「必要なこと」を地域住民みずからの手で実行し、できないことは行政にゆだねる。さらに、住民が行政に「公の業務」としてゆだねる場合であっても、住民が行政に「参画」し「連携・協働」していくという自助、互助・共助、扶助、公助の「補完性原則」を基本にしたまちづくりの原点が見えます。

 そこで、公の領域についてでありますが、高齢化社会に向かい、地域の力の衰えの状況を見ても、行政が直接行う行政サービスから「新しい公」も含めた「公のサービスの領域」というのは、私は、拡大・充実が求められていると思っているところであります。

 一方、NPOやボランティア団体の増加に見られるように、人々が人生を送る上で、何らかの人の役に立つ公的な活動に従事し、自己実現を図ると同時に、自分の納得できる人生を送りたいという意識の高まりを見せており、私は、今後の府政運営に当たって、府政と府民が新たな「公の領域」のあり方の共通認識を持って、お互いに「協働」、ともに働く体制を築くことが重要であろうというふうに思います。

 そこで、お伺いします。

 第1点は、このような状況を踏まえて、地域力再生にも大きく寄与する、広く府民との協働を進めるに当たっての基本的な考え方をお聞かせください。
 第2点目は、NPOやボランティアなどを含めた「新しい公」は既に多くの活動が行われております。今後重要なことは、行政の直営部門と民間非営利部門というのでしょうか、この「新しい公」との信頼関係に裏打ちされたパートナーシップの構築であります。そのためには、そうした活動に従事する人材の育成や情報提供、ネットワークの構築等が重要になりますが、今後の具体的な取り組みや方策についてお伺いをいたします。

 次に、自主防災組織の育成についてであります。

 一昔前には「災害は忘れたころにやってくる」と言われましたが、最近は「災害は忘れないころ」にやってきます。一たび地域全体に及ぶ大規模な災害が発生したときには、行政や防災関係機関等による「公助」には限界があります。
 最近ですと、私自身も大江町でバスが孤立した台風23号の集中豪雨では、平坦地の綾部市高津町でさえ、府道綾部福知山線が車の停滞で通行不能になり、火事が発生しても消防車は来られない、病人が出ても救急車は来てくれない、事件が起きてもパトカーも来られない状況を体験しました。

 府民の命と財産を守るための行政や防災関係機関の「公助」の充実は重要であります。もう一方で、災害を最小限におさめるために充実しておかなければならないのが、そこに住んでいる住民で組織する「自助」「共助」を行う「自主防災組織」であります。この自主防災組織に非常時で期待されるところは、事件が起こった最初の5分から10分、火事における初めの水かけ、人命救助における災害現場からの救出、止血、心肺蘇生など、手の届く範囲、声の聞こえる範囲、目の見える範囲の助け合いです。さらには、地域が孤立した場合に、1泊2日、長くて2泊3日、地域の者だけで助け合って生き延びる体制づくりです。防災体制で「公助」から離れた位置づけにあるような「自助」「共助」、実はそこに行政の手が十分届いているかどうかで、いざというときの防災力には違いが出ます。

 災害対策基本法においても、国及び地方公共団体は自主防災組織の育成に努めなければならないとされており、京都府では、平成19年4月現在で24市町村1,785の団体が組織化され、全国的に見ても上位に位置する組織率であると聞いております。

 そこで、自主防災組織の育成について数点お伺いします。
 第1点目は、自主防災組織の育成に当たって、本府が抱える課題についてお聞かせください。

 第2点目は、今後、自主防災組織の組織率の向上や組織されていない市町村に対して、どのような対策に取り組まれていこうとしているのか。

 第3点目には、自主防災組織の活動に当たっては、組織の牽引車としてのリーダーの果たす役割が重要であると考えますが、リーダーの育成に今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お聞かせください。

 4点目に、過去の大災害の教訓と自主防災意識の高まりから、綾部市においては綾部市消防団の中に、消防団員個人が持つ専門技術や資格・技能を生かす「ハイパー消防団員」が誕生いたしました。このような動きに対しても、知事の所見をお聞かせいただきたく存じます。

 次に、都市計画と農山村振興についてですが、1点目は、農山村地域への定住を促進する支援策です。
 現在、農山村地域においては、基幹産業であった農林業の停滞を背景に過疎の流れが依然としてとまらず、地域の活力や意欲の低下が深刻であります。その一方で、朝市や直売所などの活動、都市住民との交流会や農業体験イベント、さらには我が綾部市では「水源の里条例」を制定し、「水源の里」の再生と活性化に向けた取り組みを行い、来る10月18日・19日には「全国水源の里シンポジウム」も開催されるなど、さまざまな取り組み、努力が農山村地域で行われております。

 京都府では、これまでから、農山村地域の置かれている実態も踏まえ、合併浄化槽や集落排水、地方道など、生活する上での基盤整備を市町村とも連携しながら進めていただいておりますが、さらに団塊世代や農家の次男、三男、田舎暮らしを求める都市住民など、農山村地域への定住を促進するための取り組みが必要と考えますが、京都府におけるこれまでの取り組み状況と今後の方策についてお伺いいたします。

 次に、都市計画法の線引きにかかわり、市街化調整区域内に新規住宅建築の道を開こうとする方策について、少し焦点を絞ってお伺いいたします。

 私は、全国一律の都市計画法は、現在に至り、時にして平等でもありますが、しかし他方では、地域の特徴ある地域づくり、まちづくりを阻害することもあると感じております。この状況下で、平成12年に都市計画法が改正され、市街化調整区域における新たな基準が追加されました。これを受けて、平成16年4月に京都府は、「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」を制定されました。この条例を活用して、綾部市においても市街化区域に接続する市街化調整区域内で既に土地は有効利用されております。さらに、京都府は独自に、市街化区域でない、いわゆる「飛び地」の市街化調整区域内であっても開発が可能となるような既存集落区域の指定作業が進められていると伺っています。

 この新しい開発審査会付議基準を積極的に活用すれば、人口減少等により地域コミュニティの維持が困難になりつつある市街化調整区域の中でも新規に住宅が建てられやすくなることから、区域指定は高齢化が進む農山村にUJIターンを促進し、いわゆる限界集落にならないための事前の手当てとして大いに期待しているところであります。

 そこで、農山村地域・過疎地への新たな住宅の立地を進めるに当たって、開発許可制度のあり方について知事の御所見をお伺いします。また、これらの施策の現在の進捗状況と今後の見通しについてもお伺いいたします。

 次に、多重債務者対策についてであります。

 現在、我が国における消費者金融の利用者は1,400万人を超え、そのうち200万人以上が返済困難な多重債務状態にあると言われています。こうした問題に対応するため、国は平成21年度末を目途として貸金業法等の改正を行いました。こうした中で京都府におかれては、今回は他府県に先駆けて、貸金業法改正に伴い顕著化する多重債務者問題に対応するための「くらしの金融緊急対策事業費」を本議会に提案されたところでありますが、この予算で京都府として多重債務者対策にどのように取り組んでいかれるのかをまずお伺いします。

 また、実効ある対策を講じるためには、京都府の行政窓口がしっかりと連携して効果的に施策を講じていくことが必要であり、他方で、弁護士会や司法書士会など関係諸団体との協力が不可欠であります。この点は、国のプログラムにも盛り込まれているところでございますが、どのように対処していかれるのか、あわせてお聞かせください。

 次に、教育長に伺います。全国学力調査についてであります。

 この全国学力調査は、国語と算数・数学について、基本的な学力を問う「知識」と、それを実生活などで応用できるかを試す「活用」に分けて、小学6年生と中学3年生を対象に、43年ぶりにことし4月に実施されたところであります。

 文部科学省が公表を予定しているのは、各教科の「知識」「活用」ごとの国全体や都道府県ごとの平均正答数、分析結果などで、市町村と学校にはそれぞれの当該分のデータを提供し、公表の範囲や方法は各教育委員会や学校に任せるとされております。

 しかし一方で、データの調査結果の取り扱いや、序列化や過度の競争にも配慮した留意事項について、平成18年6月20日付で文部科学省事務次官通知も出されており、公表するなとか、してもよいとか、私には難解ではありますが、いずれにしても、この全国学力調査は学力の定着度合いを見て、国の施策の見直しも視野に入れ、あわせて学習習慣等の調査も行っており、この調査結果をいかに生かしていくかが課題であると考えます。

 この結果の発表については、当初9月中とされていましたが、最近の報道によりますと、10月にずれ込むという記事も目にいたしました。いずれにしても、近くに発表されるものと思います。

 そこで、発表を想定して、京都府教育委員会として、この調査をどう扱い、次の学力充実にどう生かしていこうとされるのかお伺いし、私の第1回目の質問といたします。


◯知事(山田啓二君) 佐々木議員の御質問にお答えいたします。

 佐々木議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、私の府政運営に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 「新しい公」のための府民協働でありますが、私は、やはり地方公共団体、京都府を含めてでございますけれども、基本は住民自治だというふうに思います。住民が自分の意思で決定をし、まちづくりをし、地域づくりをしていく。そして、自分ではできないことは税金を出し合って公務員にさせる。こういう原点に戻っていくときに、やはり住民協働と申しますか、府民との情報共有、府民参画、そして協働へと進んでいく理念が必要だと考えまして、府民参画行動指針を平成14年につくったところであります。まさにこうした中で、だんだんNPOとかそういう団体、地域において活動している主体との間でパートナーシップを結んでいくことによって、本当の意味で住民にとって一番ニーズに適した行政が行われるのではないかということを基本にしていきたいというふうに思っております。

 この住民とのパートナーシップの構築ですが、今は地域におきましては、本当にいろんな方々が地域のため、または環境問題、子育て問題、コミュニティビジネスまで含めまして活躍されております。京都府の場合には、NPOの認証数は東京に次いで1人当たり多いところでございまして、そうした活動が大変盛んでありますので、こうした皆さんとの連携のもと、よりよい京都づくりを目指していく、そういうことに力を注いでいきたいというふうに思っております。

 具体的には、NPO、ボランティア等と行政のパートナーシップ構築のための拠点として、去る5月9日に府庁の旧本館内に、府庁職員とNPOの相互人事交流やNPO関係者もスタッフとして運営参画をする形の「府庁NPOパートナーシップセンター」を開設いたしました。既に4,000人を超える方々が利用する中で、京都府と府民の皆様の新しい協働関係が、私は着実に生まれつつあるなというふうに思っております。

 また、本年度スタートいたしました地域力再生プロジェクトにおきましても、大きなねらいの一つは、府民の皆さんとの協働関係をしっかりと構築することでありまして、交付金の交付状況も踏まえ、この秋には「地域力再生フォーラム」を開催いたしまして、圏域を超えた地域力再生ネットワークの形成を図っていき、その上に、先ほど菅谷議員にもお答えしましたとおり、私ども京都府もコーディネーター、そしてアドバイザーとして、府民と一体となってそういう活動に参画することによって新しい地域力再生のための基盤づくりをしていきたい。そして、それによって府民と京都府との間のしっかりとしたパートナーシップを構築してまいりたいと考えております。

 次に、自主防災組織についてでありますが、これまでの地域の安心・安全は、常備消防と日本が世界に誇る自主的な防災組織である消防団の皆さんで守られてまいりました。しかし、全国的に発生している大規模な地震など多くの災害において、住民の自主的な防災活動の必要性は高まっておりますし、住民一人一人が防災意識を持って積極的に活動することで、地域の防災力は一層高まってまいりますので、さらにきめ細かな自主防災組織の育成強化が重要だと思っております。

 京都府の自主防災組織の組織率は全国的に高い状況にはありますけれども、まだ一部組織率の低い市町村や組織を育成する防災リーダーの不足というものがございます。このため、全市町村における自主防災組織の整備と組織率の向上を目指すために、自主防災活動に必要となります防災資機材の整備への助成、さらに防災講演会や研修会を通じまして啓発活動に取り組んでいるところであります。そして、その上で全国に先駆けまして、京都府と社会福祉協議会、NPO、ボランティア団体等が協働で設置いたしました常設の災害ボランティアセンターと連携し、平成18年度から図上訓練や研修などを行い防災リーダーを養成しているところでありまして、既に年間で約300名が受講しており、さらに積極的に育成強化を進めていきたいと考えております。

 ハイパー消防団員ですけれども、綾部市における消防団員の技術・技能を生かしたこのような取り組みは、災害時におきまして、迅速で、効果的な活動に大きく寄与するものだというふうに考えております。木津川市におきましても、水難救助隊を結成する動きもありますけれども、消防団の強化は大きな課題でありますので、今後、団塊の世代もかなり出てまいりますから、こうした方々の技術を生かす点も含めまして、府域でこうした取り組みを促進するため、先進事例の紹介や地域防災力総合支援事業補助金などを活用し、積極的に支援していきたいというふうに考えております。

 次に、農山村地域への定住を促進する支援策についてでありますけれども、過疎化・高齢化の進行が著しい農山村地域では、農業の担い手や地域を支える後継者の不足が目立っておりまして、農地が荒れて環境が損なわれたり地域に伝わる伝統行事が衰退するなど、そういったものだけではなくて集落の維持そのものが危機に瀕している状況にあります。

 このため、私どもはこれまでから農業の担い手確保対策や京野菜中心の農業振興、都市農村交流の推進など、さまざまな取り組みを図ってまいりました。今後、さらに農村地域の維持・再生をしっかりと進めていくためには、本格的な農業後継者の育成とともに、団塊の世代や半定住者と申しますか、都市と農村の間を行ったり来たりするようなそういった方々など、地域を支える多様な担い手を確保していくこと。それと同時に、都市と農村の交流の活発化による交流人口の増加など、新しい担い手対策も付加していかなければならないというふうに考えております。団塊の世代を初めとした都市住民等の農山村への移住を促進するアクションプラン「農のあるライフスタイル実現プロジェクト」を策定して、施策を推進しているところであります。

 これまで、「京の田舎ぐらし・ふるさとセンター」の開設、そして京都ジョブパークにも相談コーナーを設置してまいりましたし、農山村地域の居住情報を提供するホームページ「京の田舎ぐらし情報バンク」の開設など、積極的な相談と情報発信に努力してきたところであります。
 これからも、これらの取り組みを一層推進いたしますとともに、農山村を訪れた方々が、気軽に田舎暮らしの相談ができるように、道の駅などを「農の交流プラットホーム」として指定いたしまして、市町村と協力して、積極的に人的誘致に努めていきたいと思っております。さらに、今年度、アクションプランを改定いたしまして、大学やNPO、企業などの集落外の協力者と集落が一体となって再生に取り組む「ふるさと共援組織(仮称)」への支援についても今取りまとめていただいておりますので、さらに地域力再生の交付金事業も使いまして、農山村の集落の強化につながるよう工夫を凝らした対策を全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 次に、農山村地域の新たな住宅立地についてでありますが、市街化調整区域におけます開発許可制度は、特に都市近郊において無秩序な市街化を防止する抑制策として運用してまいりましたけれども、北中部地域におきましては人口減少や高齢化の進展により、地域コミュニティの衰退が危惧されているだけに、Uターン、Iターン、Jターンのような、新たな住民の定住を促進することが重要になっておりますので、制度の運用もそうした面からしっかりと見直していく必要があるというふうに考えております。

 そのために、これまでから開発許可制度が地域の実情に応じて運用できるよう取り組んでおりまして、平成16年には「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」を制定し、市街化区域に近接または隣接する区域についても、住宅等の建築が可能となるように、綾部市の5地区40ヘクタールを含めて3市町で13地区、107.7ヘクタールを指定いたしました。また、京都府独自の制度として、人口減少等により地域コミュニティの維持が困難となる集落区域を指定して、Iターンを含めた住宅の建築を認める制度を創設いたしまして、現在、著しい人口減少が見られる集落や高齢化の状況から限界集落に移行する懸念のある集落など、緊急度の高い区域の指定に向けて、綾部市を含め3市と具体的な区域指定を検討中であります。

 このほか、綾部、福知山、舞鶴の3都市計画区域においては、線引き前からの宅地を利用した住宅の建築を認めるなど、多様な制度を独自に創設しておりまして、定住希望の方々がそれぞれの実情に応じて定住を実現できるよう環境を整備してきたところでありますけれども、今後も開発許可制度の運用につきましては、国に対し改善を要望いたしますとともに、関係市町村とも協議をしながら、できるだけ柔軟に対応してまいりたいと考えております。

 次に、多重債務者対策についてでありますが、現在、消費者金融を5件以上利用する多重債務者は全国で約230万人とされておりまして、京都府に寄せられるサラ金等の相談も、平成18年度は約1,000件に上っており大きな問題になっております。

 多重債務者にとって非常に重要な点は、不当な高金利による過払いや債務整理のおくれによりまして、本来救われるべき人が救われないまま放置され、自殺や家庭崩壊といった悲劇につながっていくということでありまして、そのためにも、過払い返還請求や債務整理の早期実施について行政としても積極的に支援していくことが求められているというふうに思います。

 今回、国は新たな多重債務者の発生防止を目的に、貸金業法等を改正いたしますとともに、相談体制の強化などを柱といたします「多重債務問題改善プログラム」を策定いたしました。従来から、京都府では消費生活安全センターなどで相談に応じ、弁護士等による相談やサラ金被害者の自立再生を支援いたします民間団体等も紹介してまいりましたけれども、こうした国の動きも踏まえまして、今回、相談体制を一層強化するために、「くらしの金融緊急対策事業」により、弁護士等による相談を受ける機会の少ない府北部地域での多重債務法律相談を始めるほか、最も身近な市町村の相談機能の充実を図るための職員の相談員研修会を実施することにいたしました。

 また、多重債務者の問題の解決には、消費生活相談だけではなく、福祉関連施策等の活用など庁内連携も図ることが非常に重要でありますし、関係団体等の協力も重要でありますので、庁内に京都府多重債務問題対策会議を既に設置いたしまして、情報共有と施策連携を図りますとともに、弁護士会や司法書士会、NPOなど関係団体で構成いたします「京都府多重債務問題関係機関対策協議会(仮称)」を10月にも立ち上げまして、債務の法的整理促進やきめ細かな生活再建の支援など、相互連携を強め、より効果的な対策を進めてまいりたいと考えております。

◯教育長(田原博明君) 佐々木議員の御質問にお答えいたします。

 全国学力・学習状況調査の結果の活用についてでありますが、この調査については、学校間の比較や競争といった見方だけが取り上げられているようにも思いますが、本来は「児童生徒の状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題の検証とその改善を図る」という趣旨で行われたものであり、府教育委員会としては、その趣旨を踏まえまして、子どもたち一人一人の学力の向上につながるように活用してまいりたいと考えております。

 そのため、学識経験者や学校関係者等とともに「京の学力向上検討委員会」を設置しており、この委員会において、その結果を分析し、今後の学校の取り組みを支援するプランを作成することとしております。

 具体的には、教科ごとに小委員会を設け、児童生徒の解答状況等を国語科、算数・数学科それぞれで分析・検証し、具体的な課題を洗い出した上で効果的な改善策を検討してまいりたいと考えておりますが、一連の取り組みを進めるに当たっては、分析・検証と改善をサイクルとしてシステム化し、継続的な取り組みとすることが重要であると考えております。

 また、本府では、従来から独自に学力診断テストを実施しており、その結果を活用し、授業改善や児童生徒一人一人へのきめ細かな指導の徹底を進めてきたところであります。

 今後は、これまでに培ってきたノウハウに加えて、検討委員会での分析・検証の結果や具体的な改善策も踏まえ、市町村教育委員会と連携しながら、指導資料の開発や指導体制の充実等を含んだ総合的な学力向上対策となるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

◯佐々木幹夫君 

「新しい公」には多くの種類があり、交通整理も大変です。しかし、私は、「公の領域」を確立し、「新しい公」が有効に機能すれば、住民自治、住民参加の「強い自治体経営」が実現できると確信しております。そのためには、「新しい公」は行政だけが認識していたのでは有効に機能しません。つまり、府民にも「新しい公」をしっかり認識していただくこと、そしてサービスを実行する「新しい公」と言われる団体等も自覚と責任を認識するための方策が必要であります。そのための方策について、どのようなことをお考えでしょうか、お聞かせください。

 さらに、私は、「新しい公」の社会的認知・認識を進めるためにも、「これからの『公の領域』のあり方研究会」でも少し触れられておりますが、自治会など「地域自主組織への権限委譲」、「(仮称)地域指定代行者制度」への取り組みも必要であると考えます。この点についても、いかがでしょうか。

 そしてもう1つ、知事の答弁にもございましたように、本年度から開設された「府庁NPOパートナーシップセンター」は、地域課題の解決に向けて、NPOと行政、NPO相互が交流・協働・連携するための拠点施設として大変好評であります。

 そこで、北部、南部で活動するNPOの近隣地域同士の情報交流やネットワーク構築のために、できれば振興局単位の設置を提案いたしますが、いかがでしょうか。

 決して即答を求めるものではありませんが、今後の方向性についてお考えをお聞かせ願います。

 次に、自主防災組織についてであります。災害は正しく恐れることが大切であります。私は、京都府に期待される役割は、平常時、非常時、両面における正しい知識と技術を習得したリーダーの育成です。今日までも研修を重ねていただきました。しかし、そこで私はリーダーの意識づけも必要であると考えます。

 そこで、京都府でも現在200人余りが認証されている日本防災士機構が行う「防災士」認証制度を活用してはどうかということを提案しておきたいと思います。さらに、自主防災組織の市町村及び京都府の連絡協議会の設置と充実が必要であると考えますが、これについても、今後の課題として検討していただくように提案しておきます。

 さらに、都市計画法についてでありますが、私は決して、都市計画法対農地法というような思いはございません。そして、乱開発の手引きをしようというような思いもありません。それは、一つの過疎集落に1軒2軒の若い家族が定住し子どもの声が聞こえる集落を取り戻すための可能性の追求であります。この状況に至って、やはり条件というのは、例えば過疎集落になってしまってから、何とかしなければいけないからそれを適用しようというのでは、なかなかもとに戻らない。それなら、そうなっていく手前で市街化調整区域にも家が新築できるような政策を実行することが、私は大事だというふうに思います。これは大いに期待しておるところでございますので、答弁のとおり、できるだけ柔軟な対応を要望しておきます。

 最後に、学力調査でありますが、今回の国の学力調査は一体何だったのかという疑問にぶつからないように対応していただきたい。要望しておきます。

 子どもたちの成長には待ったがありません。日々成長する子どもたちへの充実した教育を行うためには、政策も、そして財政も重要であります。田原教育長は「子ども議会」でおっしゃいましたが、山田知事さんに「財政面の支援」もしっかりとお願いをして、京都府の教育の充実に努めていただくよう要請をして、私の質問を終わります。(拍手)


◯知事(山田啓二君) 佐々木議員の再質問にお答えいたします。

 まず、「新しい公」の認識ということですけれども、ただ、「新しい公」と言ってもNPOの人は何のことかわからないと思います。まさに、時期の盛り上がり、それぞれの地域で活動している人たちがお互いに支え合って地域をよくしていこうという動きをしっかりと支えて、それを府域全体へ広げていくことによって行政自身も府民を基点とした行政に変わっていく、そういう動きを広めていく必要があると思っておりますので、地域力の再生におきましても、まさに、さまざまなNPOの活動団体をこれからネットワーク化し、そしてそれに対して京都府の職員も一生懸命入っていくし専門家も入っていく、そういうプラットホームをつくることによって、新しい形の行政のあり方というものが広く皆さんに御理解いただけるようにしていきたいなというふうに思っております。

 それから、地域組織への権限委譲についてでございますけれども、確かにそういった形でこれから町内会、自治会等に対しましてもいろいろな形で頑張っていただくことがあろうかと思っております。しかしながら、やっぱり基本はパートナーシップだと思いますので、例えば山城広域振興局が住民の皆さんと「山城うるおい水辺パートナーシップ事業」という形で協定を結びまして、その協定の中でお互いに責任・役割分担して地域をよくしていこうという動きをしておりますので、こうした動きの中で、ある面では地域の自主組織に対してしっかりとした権限委譲を行っていきたいなというふうに考えております。

 それから、パートナーシップセンターについてでございますけれども、現在、平成17年10月に「丹後NPOパートナーシップセンター」を開設いたしまして、そして5月に府庁旧館に「府庁NPOパートナーシップセンター」を開設いたしました。私どもは、やっぱり各地域においてこの動きを広めていきたいというふうに思っておりますので、特に府庁のNPOパートナーシップセンターを中核に、できましたら広域振興局ごとに地域のNPOセンターというものを整備してネットワークを構築していきたいというふうに考えております。

 しかしながら、各地域におきましては、それぞれの地域の事情、NPOの事情もありますので、関係市町村やNPOの皆さんとも十分に意見交換を図りまして、地域の皆さん、NPOの皆さんの思いにこたえます使いやすいパートナーシップセンターを目指して取り組みを推進していきたいというふうに考えております。

 防災士の活用についてお話がありましたけれども、防災士につきましても、私ども積極的に活用していくべきだというふうに思っております。ただ、防災士自身は民間団体の研修でございますから、私どもの災害ボランティア協会等を通じましてリーダー研修をしておりますので、そうした方々がみんな手を携えて地域で活躍できるようなネットワークをつくる中で活用を図っていけたらなというふうに思っております。

2007年9年建設常任委員会 地域力再生の事業と都市計画、開発審査会の付議基準の活用
■報告事項

◯佐々木委員

 天橋立周辺の景観のまちづくり計画ですけど、地元団体を中心とした景観まちづくり検討委員会というところで検討されているということです。私初めてですのでわかりません。地元団体というのはどういう団体が参加されているか。
 それから、今後のスケジュールの中で、パブリックコメントの後、地元団体の皆さん方の思いがどこまでしっかり届くのかというところを知りたいなと思います。

 パブリックコメントがある景観まちづくり検討委員会とか、都市計画審議会とか、景観審議会で最終案の審議となっています。どこかの時点で、地元の団体の皆様方の思いが途切れることがないような、そういう体制になっているかどうか、そこを確認したいと思います。

◯今井都市計画課長

 まず、景観計画の策定に携わっております団体についての御質問でございますけれども、地元商工会、それから観光団体等の団体に参加いただきまして、検討委員会を形成してございます。
 具体的に申し上げますと、宮津天橋立観光旅館協同組合、府中地区連合自治会、文殊自治会、まちなか観光推進協議会、商工会議所等々でございます。

 それから、二点目のパブリックコメント以外の地元への入り方ということでございますけれども、既に今回の案につきまして、9月13日から19日の間、地元の地区別に7会場設けまして、説明会を行っております。ここでいただいている意見というものも反映していきたいと考えておりますし、それからパブリックコメントでいただく意見についても反映していきたいと考えております。

 この7会場だけでなく、これから、地元のいろいろな団体がございますので、そういった団体に対しても説明会を行っていきたいと考えてございます。
 以上でございます。

■議案審査

◯佐々木委員

 まず、第11号議案「京都府風致地区条例一部改正の件」で、少し私わかりかねますので、教えてほしいのです。今まで日本郵政公社があった分を外すと言われるわけですが、たしか第4条は協議事項だったと思います。諮らなくてもいけると。しかし、その場合には知事と協議しなければいけないという条項があったと思います。今まで日本郵政公社はどんな協議実績があったのか、私わからないので、郵政公社であるがために協議だけでどういうことが具体的にやられておったのか、そこがもしわかれば教えていただきたい。
 それからもう一点お聞きします。第12号議案「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例一部改正の件」で、今質問がありました。20ヘクタール以上、5ヘクタール以上、いろいろ今説明を受けましたが、例えばどんなことが想定されるのか。面積基準を廃止するということは、具体的にどういうことなのか、何を想定したらいいのか、そこを教えてください。

◯仕名野公園緑地課長

 失礼しました。郵政公社の条項の部分につきましては、公園緑地課が所管しております風致地区の部分は、後発でございまして、ほとんどの部分でもう既に民間扱いということになっております。特段、施設の大きさとかにつきまして把握しておりませんので申しわけありません、民間並みに厳しくというか、公益公社ではないという扱いで対応するということでございます。
 以上です。

◯小嶋建築指導課長

 調整区域内での大規模開発についてでございますが、この制度につきましては、将来的な人口増加に対応するということで、必要な市街地面積が増大していくということを前提にした制度でございます。今後、人口減少社会を迎えるという中で、その必要性が低下したということで、法改正がなされ、11月30日から廃止されるというものでございます。

 なお、市街化調整区域における大規模な開発が今後一切できないということではございませんで、例えば大規模開発が広域的な都市機能といったものに影響を与えるということから、都市計画の手続を通じまして、地域の判断に基づくものとして、例えば市町が地区計画を定められるということになりますと、その地区内におきましては、地区計画に適合した開発行為、開発計画ということであれば、許可し得るということでございます。

 また、調整区域におきまして、主に地元の農産物の加工ですとか、そういったことを行う事業所など、周辺の市街化を促進する、そういったおそれがない、また市街化区域に行うことが極めて困難だというものにつきましては、従前と同様に京都府の開発審査会にお諮りをして、必要なものについては許可をしていくということで引き続き対応するということで考えております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 まず、第11号ですが、郵政公社の場合、今まで許可を受けないで、協議でやられたものというのはそれほどなかったということと理解してよろしいのでしょうか。

 それから、第12号ですが、今言われている、まちづくりをもう一度中心市街地に戻していこうという移行の内容と理解していいのでしょうか。その2点。

◯小嶋建築指導課長

 大規模開発につきましては、今、委員の御指摘のとおり、人口減少社会の中でコンパクトな市街地を求めていくということで、旧の市街地の活性化を図っていくということともリンクした制度ということで理解をいたしております。
 以上でございます。

◯仕名野公園緑地課長

 具体的な事例について、承知しておりません。何遍も言いますけれども、公社という存在をもうやめにするということでございます。



■所管事項


◯佐々木委員
 市街化調整区域の件で2点お伺いしたい。それからETCのことと、それから地下の府庁の埋め戻しの件、以上4点についてお伺いしたいと思います。

 まず、市街化調整区域の一点目です。地域力再生の事業を、地域でいろいろなことを相談したり、ああしよう、こうしようと、この事業で元気出そうという論議をしているわけです。そこにも市街化調整区域の問題がひっかかってくるようになりました。というのは、支援を受けて、自分たちはまず自立をしなければいけない。そのためには収入もないといけない。そういう道も模索しようとしたときに、第2次加工をする工場というのが市街化調整区域では認められない。例えば、ソバを植えて、そば粉をとるのはよい。しかし、めんをつくるのは製めん工場になりますから、都市計画法ではグレーか黒。保健所がオーケーと言っても、都市計画法では工場というのは認められない。それで、独立したそば屋さんとか、喫茶店を設けようと思っても、市街化調整区域ではできない。それでは、地域力再生のためにおれたちがやろうと言っても何にもできないではないかと。ソバを植えて、粉をどこかへ持っていくだけかと。そうなってしまうのです。

 ですから、例えば、和紙をつくるのでもそうです。今、綾部には黒谷和紙というのがありますけれども、コウゾを育てたり、皮をむいたりするのはオーケーだけれど、それを紙にできるようにするのは、これは王子製紙と一緒、加工場になりますから、これもできない。そういうふうなところに突き当たっています。こういうものの扱いというのは、私はもっと、今、梅木委員が言われたマイナス面といえば、逆にこれはプラス面に活用する、そういう場面もこれからたくさん出てくるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

 それから、市街化調整区域の二点目は、本会議の続きです。開発審査会の付議基準の活用については、知事答弁は、高齢化とか人口減による足切りみたいなことはしないで、限界集落になるまでに早く手を打とうと、そのためには、現在、綾部市と亀岡市と福知山市がやろうとしているわけです。そういう厳しい基準といいますか、そういう足切りのようなことはしないで、やわらかい基準でやっていこうではないかという方向性だと私は思いましたが、そう確認してよろしいでしょうか。

 それから次は、ETCです。現在、ETCの工事が進められていると思います。京都縦貫道です。これは6月議会でもたしかあったと思いますが、今の現状と、これからの見通しなどをお聞きしたいと思います。

 それから最後に、9月8日の京都新聞に出ましたが、京都府が終戦直前に築造しかけた地下府庁、この
 二点目の、付議基準、既存集落の区域の指定についてでございます。これも付議基準に位置づけるという折にも、開発審査会に御説明をさせていただいて、了解を得ております。そのときに御説明しておりますのは、人口の減少等によって、地域のコミュニティーが維持困難になっている。そういう集落については区域を指定することによって一定の建築・開発を認めるということで一定の御了解を得ているというのが今日の状況でございます。
 したがいまして、人口の減少の状況がどういう程度に集落があるのかということについては、一定、把握した上でないと審査会にも付議できない。許可に当たって、再度審査会に付議ということが手続上求められております。そういった中でございますので、まず、今関係する各市とはその辺の状況について調査いただくということで作業をお願いしておりますので、そのあたりも見きわめた上で、その実態に即しているのか、また問題があるのかというあたりにつきまして検討した上で考えてまいりたいと思います。
 以上でございます。

 ◯小嶋建築指導課長 

 調整区域におきます土地利用についてでございます。まず一点目の2次加工なりの件についてでございますが、現在、現行では今、委員お話しのとおり、なかなかよしと、できるという状況ではございません。そういった中で、今すぐにどうこうというのは少し難しいところがございますけれども、具体に、今そういった取り組みがあるということで、地域にどういった貢献があるのかというあたりにつきましても、個別・具体の案件として御相談いただければ、その中で考えていくということにさせていただければどうかと思います。
 二点目の、付議基準、既存集落の区域の指定についてでございます。これも付議基準に位置づけるという折にも、開発審査会に御説明をさせていただいて、了解を得ております。そのときに御説明しておりますのは、人口の減少等によって、地域のコミュニティーが維持困難になっている。そういう集落については区域を指定することによって一定の建築・開発を認めるということで一定の御了解を得ているというのが今日の状況でございます。
 したがいまして、人口の減少の状況がどういう程度に集落があるのかということについては、一定、把握した上でないと審査会にも付議できない。許可に当たって、再度審査会に付議ということが手続上求められております。そういった中でございますので、まず、今関係する各市とはその辺の状況について調査いただくということで作業をお願いしておりますので、そのあたりも見きわめた上で、その実態に即しているのか、また問題があるのかというあたりにつきまして検討した上で考えてまいりたいと思います。
 以上でございます。

◯山本道路計画室長

 ETCの整備状況並びに見通しでございますが、京都府ではETCは現在京都丹波道路では篠インターで整備中でございます。年内の完成目標だと聞いております。
 並びに、京奈道路におきましては、田辺西本線料金所、精華下狛本線料金所、田辺西インター入り口、精華下狛インター入り口、木津インター出入り口、5料金所の6基を整備中でございます。これも年内の完成目標と伺っております。

 それからもう一つ、京都府道路公社で綾部宮津道路、宮津天橋立インター、それから舞鶴大江インター、それから今回整備します綾部安国寺インター、それから仮称でございますが、和知インターの部分で、今回の補正の案件にも上げさせていただきましたが、これから準備にかからせていただきます。
 整備状況は以上のとおりでございます。

◯今井都市計画課長

 特殊地下壕の件でお答えをいたします。
 新聞に出ておりました地下壕につきましては、府政運営の中心的施設ということで、昭和20年ごろに東山区の中で建設をされる途中であったというものでございます。もっと詳しく場所を申し上げますと、京都市営墓地の地蔵山墓地、それから智積院の地下に位置しているところでございます。

 安全対策事業への負担でございますけれども、京都市と協議してまいりました結果、都市防災の観点から、事業については基礎的な自治体である京都市が事業主体となる。それから、国庫補助事業である特殊地下壕対策事業という事業を活用して安全対策を行っていくということになってございます。

 補助率が、国庫補助が2分の1おりてまいりまして、残りの2分の1が地方負担ということでございます。このうち、交付税措置の40%を除いたところの10%、対策事業費の10%につきましては、京都府が地下壕を築造したということもございますことから、この10%の費用負担を行うこととしているものでございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 まず、市街化調整区域の件です。個別に、具体に相談をしてくれということは、個別に、具体に判断をしますという裏打ちだと思いますが、その辺ははっきりさせろとは言いません。方向性だけを確認できればと思います。

 ただ、そうやって市街化調整区域の中で地域力再生を図ろうとする皆さん方は、しっかりした、それに従事する人の収入も考えていかないとだめだという計画も立てておられます。補助金や行政支援があるうちは、田舎ごっこで、おつき合いでも結構です。しかし、地域の皆さんが自分たちの地域を活性化させようとするときには、収入も考え、Uターンしてくる人を使おうとするときには、都会の人を相手にした田舎ごっこでは、これは地域まちづくりはできません。

 そういう点では、しっかりした市街化調整区域の中でも活動できるような、容認すべき範囲というか、レベルをどこで求めていくかという基準をプラス方向でしっかりしていかないとだめではないか、よい方と悪い方、両面ありますが、よい方をいかに伸ばしていくか、いかに都市計画法を活用していくか、そういう方向でぜひ考えていただきたいと要望と、質問をしておきます。

 それから、付議基準の件ですが、用途の限定をしたものばかりで、いっぱい乱開発をしようというものではありません。本会議でも申し上げましたが、本当に都会に住んでおられる皆さん方は想像もつかないかもしれませんが、一つの集落に一家、若い夫婦が帰ってくるだけで、すごい元気になります。そういう地域に子どもの声を取り戻したいという可能性の追求なのです。ですから、決して、むちゃくちゃしようとかするわけでもありませんし、例えば、綾部市でしたら、市が責任を持って判断をしているわけです。ここをしたいと。ですから、これはお互いの信じ合うことからスタートすると思いますので、変な意味ではなしに、市町村のそういう思いというのはしっかりとらえていただいて、方向性を示していただければありがたいなと思います。

 そこで、一つ質問です。平成19年度内に方向性をはっきりすると聞いたような気がしますが、それはいつまでというラインを決めて、今取り組んでおられるのかどうか。そこをもう一回聞かせてください。第1次的なまとめを。

 それから、ETCですが、完成と同時に使用という理解をしていいでしょうか。例えば、篠とかやっていますよね。ですから、完成と同時に使用という理解をしていいのかどうか、そこら辺をお伺いいたします。
 以上です。

◯小嶋建築指導課長

 個別に御相談をという話につきましては、内容をしっかりと考えていらっしゃるものをこちらとしてもしっかりお聞きした上で判断していくということがどんな場合にも必要だろうということでお話をさせていただいております。

 調整区域におきます土地利用につきましては、そもそもが都市計画区域の中を市街化区域と調整区域に線引きをします。市街化区域については市街化を促進していく、調整区域については抑制していくというのが基本でございます。この基本を踏まえた上で、それぞれの地域の課題をどのように解決するか、その中において土地利用としてどういうかかわりができるのかということで、当然、北部と南部でも、課題のありようは違うということはさきにもお話しさせていただいたとおりでございますので、そういった実情も十分踏まえながら、個別・具体のお話を聞く中で判断をしていきたいということで申し上げたところでございます。

 それからもう一点の平成19年度内にというのは、付議基準15の指定にかかわってのスケジュールということでお聞きすればよろしいでしょうか。

 今、関係市と御協議させていただいている中で、先ほども申しましたように、現状の人口の動向ですとか、高齢者の動向といったものについての作業を一定お世話になってございますので、そのあたりの作業の進捗にもよるところが大きくございますので、必ずしもいつということは言えませんが、委員お話しのように年度内というものも一つの大きな節として作業に取り組んでいるというのが現状でございます。
 以上でございます。

◯山本道路計画室長

 お尋ねの使用時期の件でございますが、今の完成を予定しております西日本高速道路株式会社でつくられております京都丹波道路なり京奈道路につきましては、使用時期については確認をとっておりません。ただ、一般的には、ETCが完成しまして、試験運行期間というものを要しますので、ある一定の期間が要るのではないかと想定しております。

◯佐々木委員

 ETCの試験運行期間について、もう少し聞かせてもらえませんか。よくわからなかった。

◯山本道路計画室長

 こういう設備が完成しましてから、それに車をかなりの回数を通しまして、それが正常に作動するかどうかということをかなりの期間をもって運行調整をさせていただくと聞いております。年内目標が、その試験運行期間を含んでいるのか否かの確認が現在とれておりませんので、その試験運行期間につきましては、後ほど確認をさせていただきたいと思っております。
2007年9月少子高齢社会・青少年対策特別委員会 社会的自立支援プラン、健康長寿日本一プラン

◯佐々木委員

 まず、府民労働部の3ページにあります社会的自立支援プランの青少年のひきこもりからの自立支援の分で、3−1に重点施策が3つ上げられておりますが、その中の3つ目の職親制度、これは個々のイメージはわかります。職親があって、そうやって技術を身につけていく人間関係だという個々のイメージの効果はよくわかるわけですが、量的にかかわる量的効果というのはどんな状況であって、どんな目標を持って、さらには量的効果をどういうふうに図っていこうと考えておられるのでしょうか。それが一点目です。

 もう一つは、きょうと健康長寿日本一プラン、1−36のところを見ていますが、実は「日本一」と銘打っておられます。先刻、私は視察で長野県の医療のことを聞きましたが、例えば全体的に日本一というまでに、これが日本一、これが日本一、この科目は日本3位と具体的に挙げておられるのです。そういうところまで検討された内容が示されていくのか、もし既に示されておられましたら失礼かと思いますが、そういうところまで詰めたようなプランとして改定されるのか、それをお伺いします。

◯角南青少年課長

 自立支援対策の職親制度についてでございますが、昨年度末に初めて立ち上げた制度でございまして、昨年度はようやく1件体験していただきました。今年度につきましては、実は府民労働部の運営目標の中では今年度1年間で30人の方にそれに参加していただき、実は職親というのは、ひきこもりの一連の過程の就労しようかという大分回復期に向けた取り組みでございまして、今年度は30人に持っていきたいと思っておりますが、今現在、今年度になりましてまだ8人でございます。相談を受けていて、これから職親を体験したいなというのも3人、4人いらっしゃいます。

 したがって、まだ半分以下の目標でございますが、量的というのは実際職親を体験していただくのも一つの目標でございますが、もし30人経験していただいて、実際に就労した、アルバイトした、本採用されたというのに持っていくというのが一番の究極の目標でございますので、できるだけ1人でも2人でも、まだそこまで成果は上がっていませんが、これから普及・啓発に努めて、そこまで持っていきたいと考えているところでございます。

◯松村健康・医療総括室長(府立病院改革プロジェクト長/医師バンク担当)

 きょうと健康長寿日本一プランの改定についてでございますが、このプランは平成15年度から取り組んでまいっておりまして、健康長寿ということについては本当に日々のお一人おひとりの生活、あるいは取り組みというのが一番大事な要素だと私どもは認識させていただいております。そういう意味でいきましたら、平成15年度に取り組みをさせていただきまして、特に今年度の改定については医療連携というものを中心に4つの疾患、また、それにかかわる予防啓発ということで改定の取り組みを検討させていただいておりまして、今回、中間案ということで取りまとめをさせていただいたところでございます。健康長寿を目指すために、お一人おひとりに加えて幅広く取り組んでいくということから、私ども京都府の施策の一番の大きな柱と認識しながら、日々取り組みをさせていただいているところでございます。

 御質問の、より具体的に、ではこれは日本一という形の中で目標を掲げていくのかという御質問につきましては、私どもについては特にそういう目標については今現在掲げるということは考えておりません。

◯佐々木委員

 職親制度のところは、これに期待したり、それから必要だとしている人が必ずおられますので、個々の成果をしっかりと量的にも、それから必要として期待されるところにしっかり手が届くように活動いただきたいなと思います。

 日本一のほうは趣旨がちょっと伝わらなかったかと思うのですが、全体のイメージはわかります。ここについて、これをどの水準まで上げていくのだということがあればお教えいただきたいし、これから取り組まれる方向があるのなら、それも教えてほしいという趣旨でございました。それに対するお答えがもしなければ、それで結構でございます。

◯松村健康・医療総括室長(府立病院改革プロジェクト長/医師バンク担当)

 大変失礼いたしました。より具体的な取り組み、例えば受診率をどの数字にする、あるいは死亡率をどういう形にするということについては、今後検討してまいりたいと考えているところでございます。

 今回、医療連携ということで、今回のプランの中に目指すための方策というものを盛り込みをさせていただいておりますので、御意見をいただいて取りまとめをさせていただいていますので、これを施策として具体的にするには今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
2007年12月 建設(政策)常任委員会 治水対策

◯坪内委員長

 所管事項の調査についてであります。
 本日、政策研究いただくテーマは治水対策についてであります。参考人として、京都大学防災研究所教授、流域災害研究センター センター長の戸田圭一様に御出席をいただいております。
 戸田教授様におかれましては、大変お忙しい中にもかかわりませず、本委員会のために快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。
 戸田教授様におかれましては、「都市耐水」を専門分野とされ、「社会システム工学・安全システム」や「自然災害科学」などを主な研究テーマとされ、都市水害のメカニズムや防災対策などの研究で御活躍されておられます。
 また、本年7月10日に公布されました「京都府鴨川条例」の制定に当たりましては、鴨川条例検討委員会の委員として大変御尽力をいただいたところであります。
 それでは、戸田教授様、よろしくお願いいたします。

◯戸田参考人

 ただいま御紹介いただきました京都大学防災研究所の戸田圭一と申します。
 最初に20分ばかりのお時間をいただきまして、本日の課題「治水対策」について、最近の水害の傾向ですとか私なりに考えています今後の治水対策の課題について、まず簡単に話題提供をいたします。

◯佐々木委員

 まず、1つ質問ですが、この資料10ページの「総合治水計画」の体系のところで、遊水地域の中に「盛土の抑制」「営農環境の改善」とあります。このところの説明がなかったと思うのですが、これはどういうことを指しているのでしょうか。

◯戸田参考人
 ある程度、堤防をつくって、川から水を、川の中だけで処理しようというのでは限界があるわけです。
 例えば、築堤、盛り土をたくさんしたら、それだけもしも洪水があったときにかなり大きなはんらんが起こってしまうと。ですから、ある程度、はんらんを許容するといいますか、ある程度、部分、部分では水はある程度逃がしながら、河川に大きな負担を及ぼさないような形で処理していくことも一つの対策だという意味で書いています。

 堤内であっても、ある程度水を逃がせる場所があれば、そこそこ逃がした形で処理しようと、完全にすべての洪水を河道だけで処理がし切れなくなってきたわけです。ですから、それはその場、その場の条件もありますが、ある程度そういう遊水的な・・・・・・。

◯佐々木委員

 営農環境の改善というのはどうなのでしょうか。これも堤内ですよね。

◯戸田参考人

 堤内です。ですから、遊水地はある程度農地も使いますので、そういう遊水地を農地に使うときには、たまには水が入ることもあろうということをある程度許容した中で、そういう遊水機能も考えるというのも一つの考えかなということも含めて書いているわけです。

◯佐々木委員

 そこで、遊水地域について、今は水害から守るためには堤防を築いて、外水が入ってくるのを防ごうと、それから内水を外に出そうという対策ですよね。そこで、保水・遊水・低地と分けて、遊水地によって水を遊ばせて宅地への侵入を防ごうという物の考え方というのはまだ生き続けるのでしょうか。私は遊水自体が水害対策のうちに入らないのではないかという認識でおったのですが、その辺の遊水の考え方はどうでしょうか。

◯戸田参考人

 難しいところでありますが、すべての洪水を完全に河道の中だけで閉じ込めて、川の中だけで処理しようとするのにどうしても限界があるわけです。自然現象ですので、例えば100年に一度の大雨に対応する形で仮に堤防をつくって水があふれないように考えたとしても、当然、それを上回るような雨も降りますし、雨の降り方も当然変わったりしていますので、絶対ということは多分あり得ないと思うのです。
 そういうときには、最悪といいますか、ある程度は少しつかるなといいますか、ある程度水も河道の負担を少しでも防ぐような形で、場所によっては水も遊ばせるというか、そういう対策みたいなものも組み合わせていくほうがやりやすいかなと。

◯佐々木委員

 遊水の地域、もうちゃんとした堤防がない遊水地域ですよね。京都府の改修を見ていますと、堤防を築かない遊水地域は余り見たことがないのですが、京都府の水害対策として遊水地という思想は残して今やっているとか、それが有効に働いているとか、それが改修に向かっているとか、その辺はどうなのかということ。

 それから、もし京都府が答えていただけるのなら、50年に1回とか30年に1回という基準は、1回決めると、私は由良川についてですが、それを決めると、ではここから30年に1回にしようかというわけにはいかないわけで、そういう基準はどのようにして決められていくのか。それによって、今度は、そこに流れ込む京都府の川がありますよね。それの築堤の高さが決まってきます。
 ですから、そういう50年に1回とか30年に1回の決め方もあわせてもし御説明いただけるなら、お願いできますか。

◯森土木建築部理事(治水総括室長兼河川計画室長事務取扱)

 まず、遊水地がまだ残っているかどうかという点でございます。
 御案内のとおり、今の由良川で進めております水防災計画も、一定重要なところを堤防で囲って、築堤とかが間に合わないところについては、はんらんといいますか、貯留効果なども用いながらという整備の仕方をしております。

 これは遊水地という位置づけではございませんし、また遊水ということを声高に言っているわけではありません。しかし、堤防で完全に囲ってしまう対策では、10年間で緊急整備というのもし切れないという判断のもとで、そういったものを組み合わせながらやっていくということは、地域の合意も得ながら進めていける場合には、そういったものも活用していこうかという考えでおります。

 基本的には、京都府下の場合は山間部が多くて、今まででもさんざん水害に苦しめられてきていたという経過がございますので、この急流の場所については、そういう遊水地を設けるというよりは、今の水防災計画でやっておりますような輪中堤とか、堤防のつくり方の工夫で何とか所要の安全度を確保していくという工夫をむしろやっていきたいと考えております。

 それから、50分の1、それから100分の1という確率でございます。これについては、おおむねの目安を一級水系につきましては、国が河川整備基本方針とか、国の定めます計画の中で、どれぐらいの雨に対して守れるかというのを定めておりまして、これは二級水系に関しましても、基本方針でその規模を定めることにしております。

 今、京都府下の実例でいきますと、100分の1までは確率表現で、それ以下については、計画規模というより、むしろ例えば50ミリ対応とかといった言い方で言う場合が多いわけで、今現在の京都府下で整備されている実力からいきますと、まだ10分の1とか、それぐらいの確率表現でしかまだ達成できていない川が多ございますので、今の目標といたしましては、まずは30分の1、そして次に50分の1ということで、順次高めていきたいという意向で進めているところでございます。

 したがいまして、計画目標が幾らかと言われますと、例えば鴨川ですと100分の1という計画を目標にしてございますけれども、それについて、まだ改定云々を議論するまで整備そのものがちょっと進んでいないのが実態かと考えております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 これは論議と言えば論議ですけれども、治水対策について、遊水という物の考え方は、地元の皆様にとれば、また続くのかということもありますし、輪中堤で見ても、それ以外は自分たちがつくっている田んぼや畑は遊水地かと、それは政策として正しくないと思うのです。それは私の意見として置いておきます。

 それから、築堤がまだできていないところの河川の下流は、例えば福知山市の戸田地域とかはまだ築堤ができていない。予算が少ないがために、なかなか前に進まない、地元交渉も長引いていましたが、予算がついていないがためになかなかいかないが、しかし既にできている親水施設などに随分とすごいお金を使って河川の環境をよくしているとか、公園にしているとかといったことを考えると、さきに未改修のところを、そんな親水施設で子どもたちが河川で遊ぶ環境を整えるよりは、外水から防いでよという思いがあります。そういうところの予算配分はどのような考えなのかと。

 さらに、もう既に築堤がしてあっても、まだ内水などでいっぱい家がつかるといった場合、1トンに1億5,000万円かかろうと、親水施設をつくるよりはポンプをつくってほしいという要望があるのですが、その辺の政策としてはどうなのかなと。親水施設をねたんでいるわけではないのですが、その辺の考え方の整理はどのようなものでしょうか。

◯戸田参考人

 私個人といたしましては、防災を専門にしておりますので、防災施策が河川の環境とかほかの面より優先してしかるべきだと考えております。

 ただ、これは一般論ですけれども、河川を取り巻くさまざまな皆様の思いもありますし、以前よりは河川の環境の持つ意味が上がっていますので、おっしゃいますように、浸水の常襲地帯で長年苦しんでおられる方から見たら、当然、優先度はそういう治水対策が高いという御意見は最もですけれども、片やそういう河川環境なり親水性といったものも同時に重要な要素でもありますので、その辺をどのようにバランスをとっていくかというのは行政の方のさじかげんといいますか、そういうものになってくるのではないでしょうか。ちょっと、私としてはその辺のことしか言えませんけれども。

◯山崎河川整備管理室長

 治水優先で本来やるべきだと私どもも考えております。予算を考える場合、まず第一義的に検討させていただくのは当然のことでございますが、治水対策という発想でやっております。
 ただ、先生からもお話がございましたが、とみに最近の傾向で、環境に対する関心というのは非常に高まっております。それから、河川管理者としての思いという部分もございますので、少し申し上げますと、以前、我々が小さかったころに比べまして、川に親しんでいただける子どもさんが非常に少ない環境が実は生まれてきていると感じております。これは、そもそも川の危険性ということについても十分学習をしていただいて、それから大人になっていただくという必要もあると考えておりまして、まずは地域の皆様に川の様子を知っていただくということも非常に大事なことだという発想をいたしております。

 そういう意味でも、できるだけ川にふだんから親しんでいただけるような川づくりというのも、治水対策が主体ではございますが、もう一つ必要な管理者としての宿題かなという思いも持っております。
 それと、もう一つは、特に都市部に多ございますけれども、都市型のオープンスペースというのもどうしても少なくなってきている御時世でございます。その中で、幸いにして河川区域の中にそういう環境が保持されている部分もございますので、そういう部分については残してほしいという御意見も非常に強い部分がございますので、それらのことを考慮しながら、あくまでも治水対策が親柱ではございますが、ニーズに合わせて予算配分をしながら、これからも川づくりをやっていきたいと考えております。

◯佐々木委員

 私は親水施設に対して異議があるわけではありません。川餓鬼が少なくなったというのは同様に思っています。ただ、川餓鬼をふやすということは、コンクリートの上を歩かせるのではなくて、古石の中を歩かせる。だから、親水施設をつくるという物の考え方、コンクリートで固めれば親水施設で、水に触れたら川に触れるのと一緒だというのではなしに、川はこんなものだと示すような親水施設が必要だと思うのです。そういうことの必要性は十分同感です。

 最後にもう一つ、10ページの一番下、被害者軽減策にかかわってですが、淀川水系のレーダーとか水量予測というのは日本でもかなり上位レベルだと思います。それで、この雨でここにこれだけ降れば、この地域にこれだけの水が来るというのは想定できるのではないか。

 例えば、京都でも、上流のここにこれだけ雨が降れば、御池通りのところにこれだけたまるとかといった想定は既にできるのではないかと思うのです。そういう警報避難システムの確立というのが京都府の場合はどのレベルになっているのでしょうか。

◯戸田参考人

 例えば、淀川水系は国の管理している一級河川で、かなり降雨予測もできていますし、あと河川の水位などもつかまえられておりますので、あとどのぐらいの雨がふればどこまで水位が上がってくるというので、さまざまそういう危険情報が出る体制になっています。

 同様に、京都府さんも、最近、河川の水位に関しましては、水位情報などをホームページなどでも公開されていまして、今、どの程度の水位が上がっている。だから、先々来る雨とあわせ持って、どの程度危険が迫っているかという話に関しましては、かなり進んできていると思います。

 ただ、もうワンランク小さい川で言いますと、すべての川で河川水位を計測されているわけではないのです。そういうところは、ほとんど情報がないに等しいのです。しかも、先ほど申しましたように、ある程度長雨が続けば別ですけれども、あっという間に2時間、3時間で突然の集中豪雨が襲ってしまうと。しかも、それが小さい川でしたら、思いもよらないようなことが起こることもあるわけです。

 ですから、ある程度川が大きい、あるいは十分そういう河川の水位なども計測できるシステムが整備できているという川はある程度順調にいっていますので、それに見合った避難情報なども出るのですが、そこに至っていない川に関しましては、もう少し住民たちにそういう避難などをあらかじめ認識させて、「これだけ雨が降ったら、おばあちゃんの家は危ないよ」とかといった話が残っていると感じております。

◯佐々木委員

 普通の水がずっと上がってくるだけでは、命に別状はない、地下に水が入れば、うまるかもしれない。そういう避難訓練をするまでもないかもしれないと思うのですが、今、京都府内や京都市内でも、自主防災組織とか避難所を考え直すとかいろいろな自主防災組織や町内会で考えられていますので、そういうことについて啓蒙とか、今後は逆に戸田先生ではなしに行政のほう、京都市になるかもしれませんが、その辺は都市部の警戒態勢というか、日常から住民の皆さん方に気をつけていただくような啓蒙とか、その辺はどうなのでしょうか。

◯森土木建築部理事(治水総括室長兼河川計画室長事務取扱)

 特に、都市部、本日、戸田先生からも非常に危険が増大しているという御指摘もございまして、私どもといたしましても、特に地下街の避難体制の確立等につきましても、京都市と連携いたしまして、これは策定するのは地下街の管理者ということになりますが、避難計画や防災計画というのを、今、ちょうど四条の地下街等を中心に策定を進めている。その支援をしているところでございます。

 京都市内におきましても、そういう雨水貯留、雨をため込んだりとかといったそれぞれの各御家庭でできるような治水対策ということについてもより積極的にやっていただけるように、啓発活動などについても京都市と連携いたしまして進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、都市部の対策というのは、もう既に物ができ上がっておりますので、ソフト対策なども含めまして、住民の皆様にいろいろ協力をいただきながら進めていかなければいけない問題が非常に多いということからも、啓発活動、特に鴨川条例もできましたし、その中でも総合治水対策というのをうたっておりますので、今後とも今までに増して啓発活動等にも力を入れていきたいと考えておるところでございます。
 以上です。
2007年12月建設常任委員会 京の道づくり、ETC社会実験、市街化調整区域内の2次加工、
新規着手予定事業の事前評価

■議案審査

◯佐々木委員

 第9号議案「京都府府営住宅条例一部改正の件」ですが、これは既に説明済みかもしれませんが、廃止の理由、状況などを教えてください。

 それから、第10号議案「鳥取豊岡宮津自動車道宮津野田川道路建設工事委託契約変更の件」ですが、変更額がかなり大きいので、変更内容をもう一度お願いします。
 以上です。

◯北尾住宅課長

 第9号議案の大久保団地並びに木の部団地の用途廃止の件でございます。これは本年3月に策定いたしました京都府営住宅ストック総合活用計画の見直しをいたしまして、その中で6月に公表させていただいたところでございますが、その中の公表させていただいている見直し団地の一部でございます。
 個々に御説明いたしますと、大久保団地につきましては、5戸のうち、2戸お住まいになられておられまして、近辺にございます西大久保団地がトータルリモデルということで空き家が発生いたしました。そこに転居していただきまして、除却の対象として、5戸全体がなくなったということでございます。
 それと、木の部団地は宮津高校の若干北側にございます。4戸のうち3戸空き家の団地でございます。1戸、これも先般百合が丘団地を新しく建てかえをいたしまして、その団地に入っていただくということで空き家になりましたので、除却処分といたしたいということでございます。
 以上でございます。

◯松浦道路建設室長

 第10号議案の変更の件でございます。この工事内容は宮津6号橋と宮津7号橋上部工でございます。2本ございます。この約25億円から約21億円ということで、3億8,400万円減でございます。6号橋におきましては、仮設のベント工と言いますか、橋梁、けたをかけるときの仮組みの基礎部分の地盤改良が当初よりもよくなったということ、あるいはまた工期が短くなったということ。それから、7号橋につきましては、企業からの提案によりましてコスト縮減が図られたということで、約2億円減ってございます。それとまた、後は入札の残ということ、その他で約3億8,000万円ということでございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 第10号議案の、企業からの提案というのは、工法を変えるとか、こんな方法がいいとか、今、京都府として想定していなかったような新しい技術とか、そういう提案なのでしょうか。それがまた恒常的に今までもあり、これからもある、そう思っていいのでしょうか。

◯松浦道路建設室長

 7号橋における部位の提案といいますのは、工事施工に当たりまして業者側がそのときの提案をしていただいて、コスト縮減を図ったということでございます。これらにつきましては、また今後、京都府としてもいろいろな形で取り入れる方向では考えているところでございます。
 以上でございます。

■所管事項

◯佐々木委員

 まず1点目は、8月に設置されたと思いますが、京都府道づくり検討委員会、12月にたしか2回目だったと思います。それに私も傍聴で見せていただいたのですが、発足のときにどういう目的を持って進めていって、何月までぐらいには答えを出してという説明があったかと思います。私はそのときにいませんでしたので、これからの計画なり、それから今、焦点となっている道づくりの方向性とか考え方が今わかる範囲で教えていただいて、将来どういうところで、どういう結論に持っていって、どういうふうに活用されるのか、それをまずお伺いしたいと思います。

 それから、2つ目ですが、京都縦貫道のETCなどの設置を前向きに取り組んでいただいている、これは感謝したいと思います。それで、この社会実験の利用状況、前回も稲荷委員からお話があったのですが、今月時点でどんな状況なのかということもお知らせください。

 それから、少し私が聞き漏らしたのかもしれませんが、この社会実験の期間、いつごろまでやるという期間を定めてあったのかどうなのか、そこのところも教えてください。
 それから、実は建設委員会の皆さんと一緒に高速道路のETC、それもETCのスマートインターチェンジだったかな、途中からすっと入れるああいうのを見させていただいたのですが、京都縦貫道でそれができるかどうか。山の中をよく走る縦貫道ですから、それが本当にそういうふうに設置できる場所があるかどうかは別にしても、そういうことも将来含めて、スマートインターチェンジなども設置していこうということは想定されているのかどうなのか、それをお伺いしたいと思います。

 それから、3つ目は、これはもう初めから私は言っていまして、小嶋課長には大変しつこいなと言われそうなんですが、34条8の3の件でございます。付議基準、本会議でもいろいろ話題になっております綾部市の水源の里にかかわって、水源の里は上林だけでなく、綾部市じゅうに都市計画の市街化調整区域内に今たくさんございます。そういうところでも、また新しい事例として、そういう自然を売り物にした「栃もち」をつくろうやないかという話がまた出てきました。そこでも第2次加工だから、市街化調整区域内では、工場みたいなものをつくることができないというような条件がかぶってきました。毎日毎日動いてます。この質問をしてから、綾部市議会でも、福知山市議会でもこれを取り上げようという動きもございます。皆さん方、喫緊の課題として期待されていると思いますので、あれからの変化、それからまたこれからの見通しもお聞かせください。

 それからもう一つ、これはもう勉強会に値するものかもしれません。先日、新規着手予定事業の事前評価というものがありました。事前評価について、要綱を見させていただきますと、知事の委嘱に基づきというのがあります。委嘱というに値する基準とか、そういうものは一体どんなものなのか、それを教えてください。
 以上です。

◯井上土木建築部理事(道路総括室長事務取扱)

 私の方から前段2件、道づくり検討委員会と、京都縦貫の分をお答えさせていただきます。
 道づくり検討委員会につきましては、昨今の厳しい財政事情、そしてそれに伴います必要となってまいりました集中と選択というあたりで、今後10年間にどういう事業を行っていくのかという、将来を見通した計画を策定するのが1点。それと2つ目に、それを選択するに当たりまして、どういった指標で新規事業を決めていくのかと。これまで事務的に私どもが詰めていたのですけれども、せっかくの機会ですので、計画を策定する際に、そういう客観的な指標と申しますか、そういうものを第三者の御意見もお聞きして定めていこうという2点で発足したものでございます。

 発足以来、2回委員会を開いていただいておりまして、前回、11月の末ですけれども、前回開いたときに、昨年府内の首長さん、経済界の皆さん等の御意見をお聞きしておりまして、そのお聞きした方々の御意見をもとに重要性といいますか、先ほどの指標の根拠を定めようとしておったのですけれども、委員の先生から、少し御意見の聞く先が偏ってないのかという御指摘も受けましたので、今、もう少し広い形で、一般の人も含めて御意見をお聞きして、重要なのは何なのか、安心・安全なのか、交通渋滞なのか、そういう分野、荒っぽい分野あたりの重要性を一般の方にお聞きしようということで、少し、正直申しまして手間取っておるところでございます。

 年度内を目途にしておりましたけれども、少し新たに年度途中にアンケートというのが入りましたので、今のところ、年度を少しまたがることも含めて作業をしておるところでございます。

 2つ目の、京都縦貫道の社会実験等に関してですけれども、前回も申し上げましたとおり、社会実験自体は8月20日から期間は特に明確に定まっておりません。とりあえずやってみるということで、効果がなければ打ち切ることも含めて期間未定でスタートをしております。

 今のところ、私どもで集計しておりますデータでは、京都縦貫道の区間につきましては、日合計ではほとんど変わりはございません。ただ、朝の通勤時、夕方の通勤時、深夜と3区間、24時間分の10時間、5割引、3割引をかけておりますけれども、おおむねこれまでの、10月末ぐらいまでの現在の状況では、その時間帯、先ほど申しました朝、夕、夜、深夜につきましては、合計で約5%程度伸びております。日合計ではほとんど変わりがございません。

 それから、スマートインターチェンジの件です。御視察に先生方が行かれたとお聞きしていますけれども、現在のところ、まだ京都縦貫ではスマートインターチェンジを具体に計画するという箇所は持っておりません。
 以上でございます。

◯小嶋建築指導課長

 調整区域内の既存集落におきます土地利用のあり方についてお答えさせていただきます。
 この付議基準につきましては、人口減少等によって地域のコミュニティが維持困難という場合に指定をして、土地利用を柔軟に対応していくということで開発審査会の先生方にも御説明をして御了解をいただいているところでございます。

 その際にも、委員の先生方からは、なし崩し的に市街化が促進されるということがないように、慎重にというような御意見もいただいているところでございます。そういったことも含めまして、これまで該当する市におかれまして、人口の減少等の状況について調査をいただきまして、そのあたりの報告を求めておりましたところ、そういった内容につきましては、一定、御報告をいただいたところでございます。

 また、あわせて該当する市とも意見交換を行ったところでございまして、現在、その取り扱いにつきまして、私どもで検討を行っているという状況でございます。

 調整区域の土地利用につきましては、それ以外にも府独自に土地利用を可能とできるような付議基準を他にも設けておりますので、そういったことも活用しながら、地域の課題にどういった対応方法があるのかということもあわせて現在、私どもで対応を検討しているという状況でございます。
 以上でございます。

◯前林土木建築部理事(指導検査課長事務取扱)

 公共事業の評価の関係でございますけれども、今現在京都府で行っておりますのは、事業の事前評価と委員からございましたけれども、そのほかに再評価と、事後評価というものを行っております。それを行うために平成16年度に第三者機関でございます京都府公共事業評価審査委員会というものを、一部改組いたしておりますけれども、設置をさせていただきまして、現在その委員会で審議をしていただいておるという状況でございます。

 その中で、事前評価につきましても評価していただいておりますけれども、委員の構成につきましては、国の類似の委員会もございます。そういったことも参考にしながら、制度の趣旨を十分考慮させていただきまして、各分野の方々から委員をお願いしておるところでございます。全体の委員の数につきましては、先ほどございましたように、設置要綱の第3条で、7人以内の委員で組織するということでございまして、ただいま7名の先生方にお願いをさせていただいているというところでございます。

 分野としましては、土木の計画分野、それから農業の土木分野、それから行政法の分野、経済界、それから環境デザイン、放送・報道ということで、今、学識の先生方が4名、それから経済界の方が1名、それから放送の関係の方が1名、それと1名は公募の委員ということで、今就任をしていただいているところでございます。そういった状況で進めてまいっているところでございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 京都府の道づくり検討委員会ですが、確かに、アンケートをとった、何人だったか、80人だったかな、人数が少ないのではないかという意見も確かにありました。そうすると、府民の皆さん方にこれからの道路のあり方について論議をする場を設けようとか、広い形で意見を聞こうというのは、もう少し人をふやして論議をする場をつくろうとか、それともホームページに掲載してメールで意見をいただくとか、そういうふうな方向でやろうとされている、ある程度でおさめようかなというようなお考えで、これから進めようとされているのでしょうか。

 それから、これはおおむね10年後のことを言ってますから、年内でおさまろうが、またがろうが、いいのだという、例えば、最終、ここまではしっかりまとめて、これから後にはしっかりとした計画として活用できるような形に持っていきたいという、これ自体の期限というのはないのですか。つまり、何年度からこの検討した内容をもとにして道づくりを進めていくのだとか、そういうふうな計画というのはあるのでしょうか。

 それから、縦貫道です。5%ぐらいだとすると、この社会実験というのは、それほど効果がなかったと見るのでしょうか、それとも5%あったらすごいでというふうな評価になるんでしょうか。評価の基準がわかりません。今のところはどんな感じなのでしょうか。

 それから、付議基準の件です。ほかにもあると言われますが、一時、一昨年からだと思いますが、地区指定をして、100メートル以内、25戸連担はここにあるんだということをずっと、いっぱい準備をして待ってる市が3つもあるわけです。これは前向いて、早く一歩を踏み出してほしい。そういうふうな望みを持っておりますので、これは要望でもありますが、これは国会の予算委員会ですと、決意を聞きたいということになるわけですが、御意見をいただきたいと思います。

 事前評価はわかりました。

 それからもう一つ、済みません、質問を足します。計画の中に、平成19年度の土木建築部の概要の中に、踏切の拡幅というのがあります。写真で2カ所ぐらい挙げてあったと思いますが、JRと阪急だったと思います。私も、綾部市で踏切の拡幅に取り組んだことがあります。踏切の拡幅はしないと運輸省令では記載してあります。それを超えてでも、安全対策のために歩道を設置する。だから、結果的に踏切は拡幅になるという方法で、私は綾部市でしたわけですが、どうなのでしょうか。今、この踏切の拡幅等についての動きというのは、実際にあるのでしょうか。
 以上。

◯井上土木建築部理事(道路総括室長事務取扱)

 最初の2つの御質問にお答え申し上げます。
 道づくり検討委員会の意見の聴取の仕方でございますけれども、今委員がおっしゃいました広い範囲で一般の人から、あるいははがきで、ホームページで、いろいろな格好で我こそはと思われた方から御意見を出していただけるような格好を考えております。

 あと、策定期限です。できるだけ早くということで、年度が変わっても遅くならない時期にということで、今のところ作業を進めようとしております。

 2つ目の社会実験の効果についてです。先ほども、私どもで解析しました結果と申し上げましたけれども、国、自治体、高速道路会社等、関係機関で全体の協議会をつくって実験を進めております。全体の結果としましては、結果なり、評価は出ていないのですけれども、今現在、私どもで考えているのは、量が絶対値が多い、2万数千台の京都縦貫道ですので、その時間、朝、夕に5%というのは、そこそこの数字かなと、私どもとしてはそう思っております。

 あと、全体の評価は、協議会としての評価は別途されるのかなと思っております。
 以上でございます。

◯小嶋建築指導課長

 調整区域内の既存集落の指定についてでございますけれども、議員御指摘の内容を十分踏まえまして、できるだけ速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。

◯松浦道路建設室長

 踏切の御質問にお答えいたします。
 踏切問題は、平成17年ごろから、特に大都市部の踏切渋滞、CO2の関係もありますけれども、大きな問題になってきているところでございます。

 国におきましては、全国の踏切3万6,000あると聞いております。それを実態調査しまして、緊急に踏切対策をしていこうという方針を出されました。その方針としましては、4つほどございます。あかずの踏切、1時間に40分ぐらいとまっているという、交通量の非常に多い、自動車が全然通れないような踏切、それから前後に歩道があるのですけれども、踏切の歩道が狭いという、委員が言われた、ちょうどアスパの南側の踏切なんかのように、あそこも舞鶴線と山陰線、2つあったということで、そういうところ。それから自動車交通が非常に多いところ、また歩行者が非常に多いところというような観点で踏切対策をやっていこうということで、特に歩道が狭いところについては、速攻的にといいますか、5年間で早くやっていこうという形で考えられています。委員が言われましたように、その当時は、JR、鉄道側といいますか、踏切の拡幅に対して態度が非常に厳しかったということがございますが、国土交通省ということで、一緒になってやっていこうという中で、そういう踏切をしっかりと整備していこうというような方向が出ております。

 京都府としましては、国の対策として、早期にやっていくというような踏切、また交通量の多いところは、要は鉄道を上げたり、道路を上げたりという形でやっていこうというような抜本対策と速攻対策2つ掲げているのですけれども、そういう踏切を抽出しまして、整備方針を立てるように進められております。

 京都府としましては、府内ではその対策の踏切が47ほどございます。これは、国、府、また市町村とございます。京都府はそのうちの12カ所が対象となっておりまして、歩道拡幅ということで5カ所の踏切を整備しています。その対象が、KTRが3つございます。それと、JRが2つございます。KTRにつきましては、今年度も1カ所整備しておりますし、あそこは年に1つずつという形で整備していきたい。JRにつきましては、山陰線のところもございます。現在、複線化をやられておりますので、その中でも整備をされたい、順次整備をしていく。

 抜本的な対策としては、この写真でございますところです。JRの奈良線につきましては、JRの新宇治淀線ということで、新たな立体交差をしていこうということでございます。

 あとは、近鉄とか阪急とかいう形で、立体化ということになるのですけれども、これにつきましては、歩道対策をしっかりしていくということで、まずは歩道の拡幅という対応をしています。踏切につきましては、府民の安心・安全の観点から非常に重要な箇所だと思っておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 縦貫道で少し聞き忘れてました。うわさによると、12月の末で終わりらしいという話を聞きました。これはそんなことないだろうなと思ったのですが、いかがでしょうか。

 それから、踏切の拡幅、安全のための歩道をふやしていこうということになれば、47カ所、12カ所と、いろいろあるわけですが、それ以外にも出てくると思います。地域で、私どもが活動しているときに、これは踏切拡幅というよりは、歩道を設置してほしいというところは、これからも出てくると思いますが、そういうところがあれば、取り組んでいこうという姿勢をお持ちでしょうか。
 以上です。

◯井上土木建築部理事(道路総括室長事務取扱)

 冒頭の12月末というのは社会実験の期間という意味でよろしいですか。特に、今、12月で終わりとは聞いていませんので、続くと思っております。
 以上でございます。

◯松浦道路建設室長

 私、47カ所と申しましたのは、国で指定されているものでございます。地域によって、いろいろと踏切問題はあろうかと思います。それはまた、各市町と鉄道事業者とも連携しながら検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

2007年12月少子高齢社会・青少年対策特別委員会 未来っ子いきいき応援プラン

◯佐々木委員
 1点だけ伺います。「未来っ子いきいき応援プラン」にかかわる件ですが、子育て支援とか少子化対策とか、国とか府とかあちこちで、省によってまたいろいろ案を立てたり、日本の少子化対策とか子育て支援対策の骨はどこにあるのだろうという思いで見ています。
 京都府の場合もこうして策定されて実行しようとされているわけですが、国において内閣総理大臣が会長になっている少子化社会対策会議、子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議、これが中心ですよという言い方がされていました。これとの整合とかベースにした検討というのを進めてこられたのかどうなのか、その辺のこういう策の骨となるのがどの部分かというのは私もつかみにくいので、これとの整合なども含めた検討がされたのか、その辺を聞かせてください。

◯田代保健福祉部こども政策監

 今、委員から御紹介のように、国で、「子どもと家族を応援する日本」戦略検討会議ということで、もう少ししたら最終的なものがまとまるということもお聞きはしておりますが、その重点課題がワーク・ライフ・バランスということがこの間の報道等でなされておりました。それ以外の少子化対策ということで非常に幅広い、本当に多岐にわたるさまざまな施策ということでの検討もなされているかと思います。
 私どもも、「未来っ子いきいき応援プラン」というのは、子育てを支援するためには保健、医療、福祉、それから教育、労働、さまざまな幅広い分野にまたがるものでございますので、国と連携を図っていかなければならないものもございますし、また別途、都道府県レベルで府内の市町村と連携を図って取り組んでいくもの、また独自で取り組んでいくもの、施策によってさまざまでございますので、いろんなところと連携を図りながら取り組んでいくというようなことで、この応援プランについては検討してまいったところでございます。

◯佐々木委員
 特にそういう点から見ると、京都府で今度されようとしている内容で少し薄いなと感じるのは、点検・評価の部分だという思いがします。その辺も十分検討いただいて、実行できる体制を推進していただきたいと思います。
2008年3月平成20年予算特別委員会 会派代表総括質疑

◯佐々木委員

 京都創生フォーラムの佐々木幹夫でございます。私は、昨年4月に初当選させていただきましてから初めての予算審査でありましたが、集中と選択の中に、人、人間を大切にした心配りをされた、よい予算編成であると高く評価をいたします。それを前提に感想と要望を申し上げます。
 京都府の事業は多種多様であります。それだけに、京都府が今どんなことをしようとしているかを府民の皆さんに伝えることは、本当に大変な工夫が要るというふうに思っています。その点、この予算編成からそして審査に至るまで、これは山田イズムというのでしょうか、府民の皆さんと一緒に政治をやっていこうという、そういう意識が本当に伝わる内容でございました。事前資料や主要事項の説明もわかりやすく表現するなど、大変な努力が見られます。私は、このこと自体も改めて高く評価をしたいと思います。
 しかし、大切なことはそこから先であります。ここにいる議員に対する説明だけではなく、直接府民の皆さんと接する府の職員の皆様方が、府民一人一人にしっかりと、今府が何をしようとしているのか、それをわかりやすく説明をすること、理解をしていただくこと、実行するときにも力をお互いに出し合えるような体制でこの予算を執行すること、私はそれが大切であろうというふうに思います。これを説明責任とは言いませんが、この努力を期待し、要望して、私の質問に入ります。

 私は2点についてお伺いします。

 一つは、住民基本台帳ネットワークシステムの運営にかかわってお伺いします。
 住民基本台帳ネットワークの運用がプライバシー権の侵害になるかどうかをめぐって争われた訴訟で、最近、最高裁が「侵害には当たらず合憲。システムに情報漏えいや目的外利用の危険性もない」とする初の判断を示しました。当然、京都府でも、京都府下各市町村においても、この住基ネットは実施されていますが、今回の判決について知事はどのような所感をお持ちでしょうか。まずお伺いします。

 二点目には、国においては、平成17年度の試算で住基ネットの導入による財政削減効果を183億円というふうにあらわしております。本府においても、平成14年度から毎年2億円前後の費用が支出され、平成19年度までの6年間で12億1,500万円余りが支出されて、各市町村においても、サーバーのリース代等いろんな支出がされております。この事業に対する費用対効果、節減効果というのは、府としてどのように認識をされておりますでしょうか。

 三点目には、この住民基本台帳カード(住基カード)の国民の関心は低いのだろうかという事象であります。この発行枚数は、全国では、ことし1月現在で1.6%にとどまっています。京都府全体でも、私の試算では、京都府民264万人中、発行は2,680枚、100人に1人であります。つまり、この部屋の中に大体100人いらっしゃいますが、その中の1人だけがこのカードの発行を求めたということになります。府下の市町村を見ても、最低は、ある町の4,730人の人口のうち16枚。つまり、1,000人に対して3人、0.338%であります。このカードの普及率を考えれば、府民生活の中の住基カードの必要性自体が問われているかもしれません。この状況をどうとらえておられるでしょうか。せっかくの住基カードであります。私は大いに活用すべきと考えます。その方策を検討・実行する必要があると思いますが、今後の取り組みを含めてお伺いいたします。

◯山田知事 佐々木委員の御質問にお答えします。

 佐々木委員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、平成20年度当初予算案、そして府政運営に対し高い評価をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 住民基本台帳ネットワークの最高裁判決についてでありますけれども、プライバシーとの関係でいけば、こういう判決になるんだろうなというのが率直な感想でありまして、問題なのは、やっぱり、その最高裁判決の結果というよりは、今おっしゃったような二点目、それが本当に有効に使われ、これから府民生活に便利なものになっていくのか、また安全性の面についてどうか。これは、私はやっぱり課題として今残されている問題だというふうに思っております。

 住基ネットの費用対効果ですけれども、パスポートの発給事務など府の行政事務における住基ネットの利用件数は、昨年度1年間で約10万件になっております。これを社会経済生産性本部の試算方式に当てはめますと、約2.4億円ぐらいの効果になるほか、国の行政事務におきましても、全国で年間約3,000万件以上の国民年金等の現況届が不要になるなど、そういった面での事務の効率化は図られているというふうに考えます。
 しかしながら、この制度自身は、本格的な行政のIT化の中で、まだこれからという状況にあるのは事実でありまして、京都府としましては、やっぱり市町村と連携して、この住基ネットの安全・確実な運用に努めていかなければならないというふうに思います。

 カードにつきましても、まさにいろいろなところで裁判が起こされ、ようやく最高裁の判決が出るという事態の中で、正直申しまして、住基ネットをどんどん利用していくという雰囲気に、余り地方公共団体はなかったんじゃないかなというふうに思っておりますから、そうした点では、今回の最高裁判決というのは一つの転機になるのかもしれないというふうに思っております。

 現在、府内市町村における発行枚数は約3万枚でございますけれども、そうした中で、先ほど申しましたような理由から利用できるサービスが限られておりまして、メリットがそれほど感じられないというのが現状ではないかと思っております。それに対しまして、これからは、市町村が図書館カードなど住基カードの多機能化の取り組みについていろいろと考えていくことによって広まっていくと思います。

 実は「e−Tax」が始まりまして、ここで、平成18年度までの3年半で約2万枚しか出なかったカードが、10カ月で約1万枚と急増しているという現状もありますから、こうしたものも通じまして、私は、安心と安全というものを確実に運用されていく中で、みんながこれを便利に使っていこうということになってきますと普及が広まっていくし、そうした中で、行政・府民サービスの向上というものを図っていかなければならないなというふうに考えております。

◯佐々木委員 

 まさに、今、知事の言われたとおりだと私も思います。確かに、確定申告で5,000円割引になるとか、いろんな利点がございます。いろいろ今までPRしてもなかなか広がらなかった。しかし、これは、これからの国の形とか行政運営の形を一つ一つ組み立てていこうという一つであります。ですから、例えば行政のシステムに住民がついていけない状態になるまでに、しっかりとこの住基カードも活用しようという意識を広める必要があるのではないでしょうか。

 私自身もこうして使っておるわけでございますが(カード提示)、問題は受ける側にもあります。例えば、身分証明のためにこれを出しますと、相手側は「えっ、それですか。それではなしに運転免許証をお持ちでないでしょうか」というふうな返答が返ってきます。これで証明をしようとする側に対しても、国の形として、これからの行政の形として住基カードは大事なんだということを、ぜひ推進してほしい。これにはスタートのところからかかわられました猿渡副知事の意見も聞きたいところではありますが、時間がありませんので次の質問に移ります。

 次に、京都府の農業振興戦略として、焦点を絞って、農産物知的財産権の確立についてお伺いいたします。
 今年度の予算でも、農業振興政策はいろいろ上げられております。一番大事なことは、特産物とかブランド化と言いますが、やっぱり農業で食べていけるこれからの京都の「農業政策戦略」が大事であります。それは、商品登録された、商標登録されたというだけではなしに、しっかりと種苗法にも保障されたような、そういう「農産物知的財産権の確立」をもって京都ならではの農業戦略が必要ではないかというふうに思います。
 ですから、私は、そういうものに何の保護もなければ、例えば「京野菜」と言わないで「郷土野菜」と言われて京料理が非常に広まるかもしれません。さらには、もっと広く言えば、ひょっとしたら中国産の「京野菜」も出るかもしれません。この御時世、やっぱり京都の農産物はこれだという確定した、確定させたもの、そういう戦略が必要ではないかというふうに思います。

 2つの例を挙げます。
 残念な例は、愛媛県宇和島市で13年かけて開発されたイチゴ、「レッドパール」であります。これは8年前に韓国に流出しました。そして無断栽培で広がりました。現在、700億円の「レッドパール」の市場になっているそうでございます。しかし、この開発者には何の補償もないし、利益もありません。これは知的財産権が保護されなかったあしき例であります。

 よいほうは、岩手県の「リンドウ」です。これは知的財産権を確立して、そして岩手県で独占栽培する、販売をする。それで、岩手県は冬になりますので、冬にはリンドウが栽培できませんからニュージーランドと契約をして、そして一年を通じてリンドウが出荷できる体制とした。そして、ヨーロッパ戦略を組んでいる。リンドウによって農業従事者がふえているというよき例があります。

 この2つの例は、農産物の知的財産権が確立されているか、いないかの差であります。これだけ大きな差が出てきます。

 これからの農業に対して必要なことは、例えば工業で言われるような特許とかそういうものをしっかり取って運営をしていって、小さな会社であっても、その特許によってしっかりと従業員を養っていく、そして会社を大きくしていく体制があります。農業においても、これからそれが必要であります。例えば農業法人。綾部でも「農夢」という農業法人が立ち上がりました。

 さらには、個人でいろんな研究開発をしている人もあります。ですから、そういうところの研究開発とか新種の開発というものをしっかりと促進をしていく、さらには守っていく、その研究を保障していく。それが個人であっても団体であっても、開発者の知的財産権を京都府がトータルとして、戦略として生かす仕組みが必要ではないか、私はそのように思いますが、いかがでしょうか。

◯山田知事

 農産物の知的財産権の確立でございますけれども、本当に御指摘のとおり、京野菜がこれほど一般的になってまいりますと、地域商標がもはやとれない状況になってきているということを、私は大変残念に思います。賀茂なすとか、堀川ごぼうとか、九条ねぎとか、みんな地域商標がうまくいかない。宇治茶が取れたということは、これは大きな力じゃないかなというふうに思っているのですけれども、残りのものはなかなか難しい状況にあるだけに、これからやっぱりそうしたものを見据えて、ブランド戦略というものをつくっていくべきだと思っております。

 もう一点は、やっぱり種苗法に基づく育成者権でありますけれども、こちらのほうにつきましては、私どもも試験研究機関におきまして非常に力を入れてまいりまして、特にバイオ技術がうまく活用できるようになったということが大きく、この2年間で5品種が品種登録をされておりますし、現在、3品種が登録出願しております。また、これまでに育成した品種のうち、紫ずきんは21ヘクタール、新京都大納言小豆は24ヘクタールが栽培されておりまして、こうした観点からは私どもも市場からも高く評価される中で、生産拡大に努めていきたいなというふうに思っております。

 また、府内の生産者によりましてお茶や花の品種登録も行われておりますが、こうしたものも全体としてうまく盛り上げていかなければならないと思います。特に、品種登録の権利というのは25年でなくなりますので、ある面では早く、つくりやすく、すぐに広めていかないといけないという問題点があるというふうに思っておりますので、これまで以上に関係団体が連帯してネットワークをつくり、そして知的財産の保護につきましても、普及・啓発の中でしっかりPRをして守っていく、そして各関係機関の中での生産者の所得向上に努めていく、そういうブランド戦略を展開していけたらなというふうに思っております。

◯佐々木委員

 私も同感でありまして、やはり京都府の農業とは、これからどんな体制で、そして農業でしっかりと生活がしていける、収入が確保できる、そういう農業展開という戦略が必要であろうと思います。

 綾部市に、「半農半X」という本を書き、それを実践している塩見という青年がいます。同様にこれから、綾部市では人口が減少していますが、しかし荒れた農地を何とかもう一度生き返らせたいとする団塊の世代もいます。そういう皆さんは、「自分が食べるだけでなく、本当に有効な農業をしていきたい。そして、これが町の発展につながるようなことをしていきたい」というふうにおっしゃいます。

 多く農地が広がる、そしてまた荒廃農地が問題になっている昨今でございます。そういう戦略こそがこれから必要ではないか。その次に見えるものは、農村に人が定住する、そういうことであります。綾部市でも、水源の里として多くの事業に取り組もうとしていますが、目指すところは、農村に人が定住をする、そして荒廃農地を少なくしていく、そして今ある農地を十分活用していく、そういうふうな体制なり戦略が必要であろうというふうに私は思いますので、ぜひ皆さん方の努力を期待して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

2008年6月定例会
府民生活・厚生常任委員会
活動活性化プラン、
セーフコミュニティプラン、
地震対策、
消防団、
自主防災組織、
子ども議会、
子育て応援パスポート

◯佐々木委員

 簡単に、府民生活部のアクションプランの件です。まず、1−15ページの消防団活動活性化プランの件ですが、この中で現状と課題、そしてまた主な検討課題ということがあります。これだけの紙面ですのでかなり省略されているのではないか、つまり地域事情に合ったベースがしっかりと組まれているかどうか、そこのところを一つ確認をしたいと思います。といいますのは、消防団員が減っているというのは、消防団員が必要な地域に消防団員が住めない、Uターンができない地域事情がたくさんある。そういうところを解消するベースができているのかどうか、そこを一つお伺いします。

 2点目ですが、2点目は1−18ページ、セーフコミュニティプランです。平成20年度の達成目標のところで、「亀岡に続く認証候補地の選定、外傷データ」とありますが、目標ですから何カ所ぐらいに広げていきたいとか、広げ方はこうありたいとか、データ収集はこうありたいとか、もう少し詳しくお願いします。
 3点目最後ですが、2ページの戦略的地震防災対策指針です。これは岩手・宮城、あっちの方の結果を見て、京都府が想定した内容と比べてみますと、例えば私の住む綾部市などは上林川断層というのがあるのですが、あれが動いたときには1,200人の死者が出るという数値が出されています。しかし、今回岩手の状況を見てみますと、そんな人数というか1,200人なんてそんな大規模ではないですよね。とすれば、その想定のベースが本当に合っていたのかなという疑問があります。

 それで、もし指針を立てられるとすれば、これはやはり公がすべき対策と地域がすべき対策、そういう区分けができて目標設定されようとしているのか、それからいつまでにしようとするのか。つまり、市町村はこの岩手県等や、中国の四川省なんかを見て学校を優先しようとしています。これは当然、土木費とかそういう予算にかかわる、補助にかかわる部分が出てくると思います。1年かけてゆっくりとしているとせっかくの制度を活用できない市町村も出てくると思いますので、これは目標設定というのは指針をつくり、減災目標ができ、それが実行されるとすればどういう日程の想定をされているか、その3点を教えてください。

◯園田府民生活部長

 まず、消防の関係でございます。今までの消防団員の減少というのは京都府だけでなく、全国的な傾向で下がり続けてきておるわけです。これは委員御指摘のとおり、過疎化の問題とか、要するに東京一極集中と言われるように都市にみんな人口が流入するということもありますけれども、基本ベースとして、先ほど少し私が申しましたように、やはり少子・高齢化が進んでおったりしますので、人口がそういう都会に流出することによって圧倒的な数が減ってきている中で、消防団員を供給できていないという現状があるというのがまず一つあるのと、それと同じ連動した形での高齢化もあります。
 それと、どうしても産業的に第三次産業に就職がなびいていくということで、どうしてもサラリーマン化していく中で消防団ということになると、なかなか余暇を利用してというわけにもいかないということで、本来ならもっともっと地元の職業の中で成り立っていた消防団のありようが大分変わってきているというような状況があるわけでございます。

 しかしながら、今おっしゃいましたように、そういう全体としてのUターン・Iターン・Jターンも含めてですけれども、そういう施策展開とも連動した形でこの消防団の活性化というのは当然考えていく必要があると思いますけれども、そこまで余り広げ過ぎるとあれなので、十分に専門家の意見は聞いて、そのあたりについてどこまで突っ込めるかということはありますけれども、十分に消防団、今始めたばかりですので具体的にまだ、6月に1回やって、それぞれの意見、先生方の今の課題抽出までもいかない状況を聞いたわけでございますけれども、今後ワークショップなどを通じましていろいろな方々の御意見を拝聴する。さらに市町村、具体的な現場で本当に第一線でやっておられる方々の意見も聞きながら、どこに問題があるのか、今課題抽出の最中でございまして、それを整理をした形でまた委員会等にも御報告するのは当然でございますけれども、十分な御意見を拝聴していきたいなと考えております。

 それとセーフコミュニティの関係ですけれども、これは亀岡でこの3月に認証をいただきました。これは実際問題としてセーフコミュニティということでいえば、日本では全国初でございまして、北欧ではかなり盛んなのですけれども、日本ではなかなかまだそこまでいっていないということで、これの認証を受けるのが大変な状況でございます。

 病院とか市町村、さらに公共団体、団体、さらに保健所なんかが一体となった形であらゆる情報・データを集積して、それで認証を受けていくわけでございますけれども、今、実は亀岡でその3月からやりかけた形での状況について、情報を蓄積している最中でございます。それで私たちは今後、今年度は少なくともその情報なりを集積して、各地方公共団体、市町村を中心ですけれども、そこに「こんなことですよ」ということをいろいろ啓発していくのがことしの作業のあり方ということで、今、日程を整理をしていますけれども、今年度はまず啓発をして、そこで全府内的に広げていく、その時期を今、ことしは迎えたいと思ってます。

 それで今後は実際問題として、やれるところからしか多分対応していただけないと思いますけれども、この北欧の例でいいますと3割ほどけがが減ったとか、医療費が減ったとかいういいことばっかりがあるのですけれども、ただこれにも課題がある。さらにいろいろな投資もしていかないといけないと思いますので、そのあたりも十分に分析した形で各市町村との間で情報交換をしながら、今後セーフコミュニティについては全府内的に広めていきたいですけれども、今年度は啓発を進めていくぐらいなのかなと考えています。

 それと地震対策ですけれども、ことし減災目標をつくっていこうということで、今お示ししたわけです。22の活断層、さらに東南海・南海関係の23の被害調査を詳しくやったのですが、これに基づきまして被害想定をしていくわけです。これは委員御指摘のとおり、その被害のベースとなるものについての若干の違和感があるのではないかとありますけれども、一定厳しい状況で見たときに、この直下型でなった場合にこのぐらいの、しかも昼間ですけれども、このぐらいのことになると。だから、いろいろな条件の中でそれを一つずつ消していけばもっともっと被害が少なくなることは事実ですけれども、そういういろいろな状況を、例えば情報網をめぐらすか。ライフラインについてどういった制度をしていくか。さらに救急体制をどうしていくのだということを全部網羅した形の減災目標をつくろうと今しているのですけれども、実際問題として今のところまだ今年度京都府がつくって、市町村には恐らくこれをベースにした形で今後来年以降になるのかと思います。ただ、そういう意味ではもっともっと早くやっていかないといけないので、ここは十分に市町村との間で連携をとりながら、一刻も早く推進していきたいと考えています。
 以上です。

◯佐々木委員

 消防団の活動活性化プランの件ですが、少子・高齢化、少子で高齢化で青年が減少しておるということを前提にしたらいけないので、その前提を崩さないと、直していかないと、これは活性化ができないのですよ。だから、それぞれ縦割りがあるかもしれませんが、これで大事なのは横の連携です。ここは枠を越えて、委員さんにもそういうベースをしっかり伝えてから具体的な案の策定に入ってほしい。でないと縦割りだけの策になってしまいます。そこのところは要望しておきます。

 それから、セーフコミュニティプランですが、これはどこかの市にこだわる必要はないと思う。全体の施策で十分府の一般施策としても活用できることがたくさんあると思うので、次の選定をどこかの都市を指定するとか、それにこだわる必要はない。ですから、平成20年度を目標にされてて、なかなかそれは難しいという雰囲気でした。でも、私はそれはこだわる必要がないと、全体の施策として生かしていくべきではないかと思います。

 それから地震対策ですが、今回の岩手の話で出てきたのは、綾部の話で恐縮ですが1,200人。しかし、この被害想定というのは死亡が1,200人と予想されておるわけですよ。これはやはり実際に最大限と見られたかもしれませんけれども、1,200人というのは、これはその想定は合っているのかというのがあるのですよ。山林70%で、中心市街地が揺れた場合でこれだけになるというても、そういう被害想定の信頼性も失うようなことでない減災目標、それをベースにした減災目標をしっかり立ててほしい。
 以上要望しておきます。

 所管事項

◯佐々木委員

 それでは、昨日に続きまして消防団の件です。ことしは検討体制を組んでやろうとされているということですが、消防団の団員が集まらないというのは、実際には人が減ったからでなく、人はいるのです。団員になりたがらない。団員になろうという状況が整わない。その現状を踏まえたような検討体制、委員さんの陣容になっているのだろうかが1つ、少し疑問になるところがあります。現場で、「あんた消防団入ってくれへんか」と言っている、その現場の実態が伝わるような検討体制をしこうとされているのか。

 それから、やっぱり消防団に入ると心意気というか、熱い心というか、入ったらいい友達ができるよとか、そういうところが結構多いです。それにプラス、社会的にそれだけの価値のある究極のボランティアをしているのだというなら、やはり何らかの、例えば消防団員減税とか、そういうところまで踏み込んでいく必要があるのではないか。常時消防がこれだけ予算の削減に遭って、実際に初めの7分から10分、30分から40分の間に即座な反応が量的にできないとすれば、消防団の体制が必要だと思います。そこまで踏み込んでいけるような論議をする準備はできているのでしょうか。

 二つ目は、自主防災組織です。自主防災組織をうたわれて、ことしも90%を目指すとされています。それで、私も日赤の奉仕団で自主防災組織をつくるということで、随分と今でもやらせてもらっています。ただ、つくったけれど2年目からはどうするかな、皆そこで突き当たっています。やっぱり、自主防災組織とはこういうふうな体制を組んでください、こういうものの体制があって初めて自主防災組織として、言うたら認定というか、自主防災組織とはこんなですよと、ここまではそろえてくださいという基準がないがために、第二消防と言われるような消防団のOBなどが顔をそろえて、それを自主防災組織と名前を変えて、組織率の計算機で入ってしまっている。そういう現状が2年目になった今ごろ出てきています。

 これは、いや、それはもう市町村に任すんやと言うのか、それともやっぱり、自主防災組織はこうあるべきという指針をしっかりもう一回出すべきなのか。それとも、また2年後、3年後、訓練はこうするのですよ、地域の自主防災組織のリーダーとして、自主防災組織の、例えば、隊長の位置づけはどうするんやといったところまで踏み込んでいくべきではないか。市町村に任せると言われるならそれはそれでいいですが、やはり府としてどういう役割を果たそうとするのか、そこのところのお考えをお聞かせください。


 それから、子どもに関しての意見ですが、子ども議会が昨年行われました。それで、ことしは昨年度の結果を検証すると、そして平成21年度に向かって、子ども議会のあり方、開催に向けて検討するとなっています。昨年の検証はどんなふうでしたでしょうか。その結果に基づいて、平成21年度の子ども議会はどういう体制でやろうとされているのか、それをお伺いします。

 最後に1点。子育て応援パスポートであります。私の感覚では、何かもう忘れられたパスポートのような感じがします。というのは、ホームページを見てみましても、参加する店舗はふえていません。例えば、綾部市でも出してみましたが、ほとんど変わりはない。それで、前回のときに、参加していただくようなお店とか業界に働きかけますというお話でした。結果として出ていませんが、この間の御努力はどうだったでしょうか。
 以上4点です。

◯下遠府民生活部防災監

 それでは、私から団と自主防災組織(自主防)についてお答えいたします。
 まず、団の今度の活性化プランの委員会の委員の構成ですけれども、委員につきましては、同志社大学の団活動に詳しい教授を委員長に置くとともに、京都府消防協会副会長、消防長会会長、南丹市と精華町の副市長、副町長、それから自治会長、婦人クラブの会長等に入っていただいております。また、団の活動に広く意見を求めるために、すべての団から団長もしくは団員、団員の中には女性団員も含めまして、出席していただきます。市町村からは消防団の事務を担当していただいております職員、そして広域振興局からも団の事務を担当している職員、合計36名を集めまして、親会のもと、ワークショップを7月19日と8月23日に開催いたしまして、現に団に入っている方の意見、そして市町村で団の事務をしている方の意見を広く求めることとしております。

 減税等に関しましては、団員の活動に関しまして、出動していただきますときに各市町村から出動手当、これはいろいろ差がありますが、5,000円から、市町村によっては1,000円程度、平均2,000円幾らの出動手当が出ます。それから、長年勤められた後には退職報償金といたしまして、年数と階級によりますが、10万円から90万円程度の退職報償金を支給します。けがをされた場合には公務災害の補償条例で補償いたします。それとともに、これは市町村によって、京都市は出ておりませんが、その他の市町村におきましては年間に報酬が幾らか出ておるということで、一定、費用弁償の面におきましては、今のところされているのかなと考えております。
 それから、団につきましては広く市民に、消防職員と消防団員の差がなかなかわからないということもありますので、団の活動について、京都府といたしましても詳しく広報活動をやっていきたいと考えております。

 次に、自主防災組織の結成についてです。1年目はいいが、つくった後、2年目からはどうするんやということになっておりますけれども、基本的に自主防災組織の育成には、消防団員の方に当たっていただいております。年に一、二回開催いたします各学区における自主防災の総合訓練には、団員の方を先頭に、自主防災員の方にさまざまな訓練に参加していただくとともに、いろいろな研修会を開いて、それぞれの活動を把握していただいております。

 府といたしましても、自主防災組織のリーダー育成といたしまして、毎年リーダー育成講座を数回開催いたしております。それから、自主防災活動の手引の作成、また熱心に活動しております自主防災部の活動の事例を研修会等で紹介して、このように活動してくださいというようなことを広報活動しております。今後とも、京都府といたしましても、消防団、自主防ともに、地域の防災活動には欠くことのできないものですから、指導に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯園田府民生活部長

 子ども議会についてでございます。昨年8月に子ども議会を開催いたしました。これは私どもだけではなく、府議会、さらに教育委員会、それと青少年育成協会と、この4者が主催して子ども議会を開催したわけでございます。小学5、6年生ですけれども、59名の子どもの方に参加していただいて、議員の皆様方にも傍聴席で参加していただいて、本当に大変画期的だということで、かなり盛り上がったものであったと思います。

 ただ、先ほど委員が御指摘のとおり、この検証ということで、実はあそこの議会で発言した子どもたち、6名か7名ぐらいは発言をしましたけれども、皆プラカード持ったりして、一応全員が前に登壇した形で、59名がとりあえずは行ったのですけれども、発言が少なかったということで、それ以外の方々がかなりストレスをためておるようなことがありました。お父さん、お母さんも全員来られていまして、お姉ちゃん、お兄ちゃんも来ていたのですけれども、その後写真を撮ったりして、そういう意味ではあれはかなり画期的なことであったと思います。

 御案内のとおり、これは地方自治法(自治法)の40周年記念事業ということで20年前に行ったのですけれども、20年後に、ちょうどたまたま60周年自治法改正ということで、自治法の改正があって60周年ということで、20年前にやったのでいきましょうということで、府議会と本当に連係プレーをとりながらやらせていただいたのです。そういった催しの中で、今言いましたように、何にも発言されなかった子どもさんがかなりストレスがたまったということで。最初、いいところばかり私たちは見ていましたけれども、後で聞いたら、こんな意見も私たちは言いたかったということがあって、実は8月に終わって、9月ぐらいには何人か集めて話を聞いたのですけれども、皆、私たちも意見を言わせてほしいということで、お母さんも子どもさんも全員が、議会はこんなふうにしてほしいなということで、いろいろいただきました。

 その中で加わった方々が、例えばワークショップなんかでも、実は議会は、8月23日にやったのですけれども、7月にワークショップをやったときにも、まだ1回かそこらしかやれへんかったのです。でもあれでは少な過ぎるとか。それと、もっと皆、自分たちの発言といいますか、自分たちの質問がいっぱいありましたけれども、要するにこの運営の仕方そのものが、4月に始めて6月に人を決めてということで進めましたので、どうしてももう、京都府といいますか、行政主導型になってしまいまして、本来なら子ども議会というのは、やっぱり子どもさんたちが最初の企画立案からすべて最終まで、仮にやり方は稚拙であったとしても、しかしそれの方がおもしろいものができるのではないのという話もあったりして、そこらあたりを次に生かしていく話が大切だろうということがあって、反省の中で、その最終のとりまとめを今していて、近々整理できます。

 そういったものの運営のやり方なり、今後の展開なりを整理した形で、来年にはぜひ、去年やったやつよりももっとアイデアのある、そういう意味ではもっと広がるものにしたいなということで、今、実はちょうど最中ということで、今後整理をした形で、来年はもっともっと、府議会の先生方にもまた御参加いただいて、もっとおもしろいものにしていきたいなということで頑張っておるといったところでございます。

◯林健康福祉部こども政策監

 子育て応援パスポートの件でございます。企業、店舗、府、市町村等が協働して、社会全体で子育て家庭を応援しようということで、昨年7月下旬からスタートした事業でございます。
 それで、スタート発足当時、たしか2,000店舗ぐらいの協賛店があったと思いますけれども、ほぼ1年たった現在、2,200店舗ぐらいの協賛店があるということです。1年に200店舗、それがどうかという問題はありますけれども、我々といたしましては、保健所、振興局、それから市町村の協力もいただきながら、商工関係団体にもお願いを申し上げて、極力協賛店をふやしていこうということで、努力しているところでございます。

 今月の下旬には、伏見区の7つの商店街の夜市のような催しもありますので、そういうところに我々も出かけていって、パスポートの啓発もしたいという形で、この事業が普及していくように、さらに一層取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 消防団の件は、すべての団から参加してもらうということで、大変よいことやと思います。それからまた、消防署員についても消防団に対する意見もいっぱいあろうと思いますので、しっかり意見を聞いていただきたい。それは参加してもらうのは大変よいことやと思いますので、しっかり進めてほしいと思います。
 ただ、出動手当とか退職手当等は十分承知をしています。そういう条件があってもなかなかやろうという気にならない。確かにお金だけではないかもしれません。消防団減税、そんなものでいけるわけではないかもしれない。きのうも言いましたように、そこに住む条件、そこに住めないからほかの地域に住んでいて、市街化区域の中に家を建てて住んでいて、訓練のときは田舎へ戻って訓練を受ける、そういう団の体制も随分今出てきています。ですから、そういうのを工夫するためにはどうしたらいいのかというところがポイントです。そのポイントを外したらあかんと思います。それを十分頭に入れて今後の対策を練っていただきたいとお願いをしておきます。

 それから、自主防災組織ですが、今、消防団員が指導しておるとか、いろいろ説明を聞きました。しかし、それを前提にしても、今の現状はそうです。では一体、自主防災組織は何のために、それで実際に現場に行ったときに声の聞こえる範囲、目の見える範囲、手の届く範囲で助け合える体制とは何なんやということがきちっと伝わっていない。ですから、自主防災組織の訓練、皆で助け合うとはこういうことですよという形の訓練ができないのです。やっぱりそういうところをしっかり育てるような、市町村との連携も要るかもしれませんが、指針を、一番知識の、情報量の多い府でつくっていくべきではないか。そのように私は思いますが、いかがでしょうか。

◯下遠府民生活部防災監

 委員御指摘のとおり、自主防災会によりまして活動にかなりの温度差があることは承知しております。かなり熱心な自主防災会の活動をできるだけいろいろな場を通じまして、余り熱心でない自主防災会に対しまして紹介するとともに、府としてもしっかり指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 自主防災組織につきましては、やっぱり市町村の連絡協議会が随分役立っていると思います。意見交換をする、そこに京都府のどなたかがいいアイデアと考えと指導の熱意を持って来ていただく、そういう体制が必要だと思います。市町村における連絡協議会とか、いわゆるアイデア交換会とか、そういうこともしっかりやっていくべきではないでしょうか。

 それから、続きですが、子ども議会ですが、結局はイベントになってしまって、では何のためにこの子ども議会があるのかが、計画が進めば進むほど薄くなってくる。それで、進めば進むほど形になってくるから、そういう意見になってくるのだと思います。私は何のために小学生かということも問いたい。むしろ、中学生の方が、関心度を高めるのにはよいのではないかという思いも持ちます。子どもとは、小学生に限らず、中学生も含めて、政治とか行政とか世の中に関心度の高いところ、そこをやっぱりしっかりとねらうべきではないか。何のためにと考えるとそう思いますので、ぜひそれはこれからの計画に組み込んでいただきたい。そして、スタートが遅かったということもありますので、いつごろからスタートをする準備をしますか。いかがでしょうか。

 子育て応援パスポートですが、1年間で200店舗は少ないです。どのお店もそうですが、開店のときに何万人来てくれるかによって、そのお店の繁盛度合いが決まります。スタートのときに2,000店舗でスタートしたからこれでよかったかというと、京都府内全部にざっと拡げてみると、子育て応援パスポートをとる人自体も少ないのですよ。だから予算主義で終わっているではないかと言われます。

 行政はどうしても、予算をつけるために随分の力を払いますが、予算をつけてこんな事業をやりますよと新聞発表してからはトーンダウンすると言われているわけです。まさに私はこの事業がその典型でないかと思います。

 これは反省すべき項目ではないでしょうか。せっかくやり始めたことですから、内容は大変いいわけですから、さらにやり方も検討していただいて頑張っていただきたいと思います。
 以上です。

◯園田府民生活部長

 子ども議会、少し立ち上がりが遅くて、行政主導型になった部分について、そのあたりがおもしろいものではなくなってくる可能性があるので、今後、まずそのあたりを訂正してと考えています。確かに、もう4月の段階では立ち上がらないと遅いなと事務的にも思います。新年度に入ってすぐは、学校との関係でどうなのかなというのがちょっとありますけれども。

 それと、いろいろな意見の中で、確かに5年生、6年生を相手にしていますけれども、もう少し上までという意見も内部でもありますし、外からの意見もありました。そういう意味では、今後の検討の中で運営についていろいろなことをやりとりする中では、小学生を超えた方々が参画するのも一つの方法かもわからないと思っていますので、今後、そこも十分に検討して、時期についてももっと前倒しした形で、準備をしっかりした形で、イベントに終わらずやっていきたいなと思います。

 ただ、今回の子ども議会でも、いろいろな形で提言をいただいて、子どもさんにしっかりした意見をいただいていまして、本当に子どもならではの施策ということで、一つ二つ紹介しますと、私たちはちょっと発想がないのですけれども、例えばいわゆる観光案内小学生部隊をつくって、小学生部隊による観光案内、私たちが子どもさんたちを案内するのではなくて、私たちがやりますよというような発想を持ったりするのも、観光関係で一定、教育委員会も含めてですけれども、予算化がなったり、子どもさんを中心とした形での目線でいろいろな提言をいただいて、それをかなりの部分についてとにかく予算化をしていったような経過もあります。ただ、もっともっと幅広い意見も欲しいし、そういう意味ではいろいろな方々に参画していただくのはいいことなので、十分に検討の素材の中に入れて、しっかりとしたいいものにしていきたいと考えています。
 以上です。

◯和田健康福祉部長

 子育て応援パスポートでございます。委員御指摘のとおり、まず事業を立ち上げる段階で大変、ある意味では精力を使い果たして、後の取り組みが不十分ではないか、もう御指摘のとおりでございます。私どももこの1年間の取り組みを踏まえまして、先ほど、林健康福祉部こども政策監が申し上げましたように、商店街を巻き込んだような取り組み、あるいはどうしても料金の割引ですとか、少し何か物品をつけるとか、そういうところが中心であったのですが、例えば企業とかにお願いをして、ブランドとか何か、大きいものでいえばそういうことですけれども、そういったことも含めて取り組みの輪が広がるように努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
2008年6月定例会防災・暮らしの安心安全対策特別委員会 京丹後にある法律相談センターの閉鎖は再検討を

◯佐々木委員

 1−4ページのアクションプランの評価で、「安心・安全な消費生活の実現を目指す行動計画」の中で、平成20年度達成目標のところにあります相談機能の充実、それから多重債務相談ネットワークにかかわってお伺いいたします。
 京丹後にある法律相談センターが平成21年で閉鎖になると聞いています。これはゼロワン地域をなくする、つまりその地域に弁護士さんがだれもいないという地域をなくそうということで、そのかわりに弁護士会と京都府が出し合って法律相談センターを設置しました。その後、ひまわり法律相談所ができました。ここに弁護士さんが常駐した。だからゼロワンはなくなったから、平成18年度から順次予算を減らして、法律相談センターを平成21年には閉鎖するという方針を聞いています。

 ただ、その当時と状況が変わってきたのは、やはり開業の弁護士さんがいない、多重債務がふえた、しかも自殺者もふえた、自殺者の中で資金繰りに困って自殺する方がふえてきている。そのときに一番機能するのは弁護士であろう。こういう状況ですので、既に平成18年度に決定したことかもしれませんが、これは状況が変わったので、法律相談センターは復活といいますか、継続すべきでないか、私はそのように思いますが、いかがでしょうか。

◯小林府民生活部副部長

 今お尋ねの弁護士会の法律相談所につきましては、閉鎖するということではなくて、非常に私どもの支援がないと運営がしづらいというお話を聞いておりまして、委員御指摘のように丹後地域は非常に多重債務で悩んでおられる方が多いということで、今後その法律相談所が維持できるように、どんな支援の方策があるのか、これは今後検討してまいりたいと思っているところでございます。

◯佐々木委員

 私の言い方が悪かったのかもしれません。補助がなくなるということでしたが、京都弁護士会が自力でやれるかといえば、なかなか難しいというお考えのようです。

 それから、関係の首長さんたちも、そういう認識ではなかったようでした。ですから、これは京都府として補助をなくするというよりは、京都府として新たな支援の施策、継続して設置できるような施策、それから弁護士さんが常駐していただけるような方策、そういうものを再度ぜひ検討していただきたいと要望しておきます。
 以上です。

2008年9月議会 本会議一般質問   (1) 社会資本整備に係る法改正への対応について
 (2) 集中豪雨対策について
 (3) 過疎地域における交通対策について
 (4) フリースクール虐待事件について
 (5) 人生最期のみとりの現場の改善方策について
 
 
◯佐々木幹夫君

 京都創生フォーラムの佐々木幹夫であります。私は、通告をしております数点についてお伺いいたします。
 私は、きょうの朝、オリンピック陸上競技銅メダリストの朝原選手を府庁の玄関で迎えました。京都には多くの人材があるなというふうに思いました。同時に、歴史遺産や文化や自然環境など、多くの地の利や社会資本などの財産があります。これらをいかに生かすか、これが今後の京都の課題であろうというふうに思います。

 そこで、まず初めに、そのうちの社会資本整備に係る法改正への対応についてお伺いいたします。
 御承知のように、去る5月、地方分権改革推進委員会が、生活者の視点に立つ「地方政府の確立」を目指して、第1次勧告を行いました。その考え方の中心は、住民に最も身近で基礎的な自治体である市町村の自治権を拡大し、これを生活者の視点に立つ「地方政府」に近づけていこうというものであり、64法律、359の事務権限を、都道府県から市などへ移譲するとされております。

 この勧告の中で、私が一番大いに関心を持っておりますことの一つが、まちづくり分野、とりわけ都市計画や農地等の土地利用に係る部分であります。まさに、市町村が地域の特徴を生かし、みずからの地域のことをみずからの手で決めていくための裁量権が拡大されるわけであり、京都府北部地域でのU・J・
Iターンを促進する要件の一つが大きく前進すると、私は大いなる期待を持っているところであります。

 勧告の中でも、都市計画に関して、地域の実情に通じた地方自治体がみずからの責任と判断でまちづくりを進めていくことができるよう抜本的見直しをするということであります。具体的には、都道府県によるマスタープランや区域区分の決定について、国との協議に係る同意を廃止する、市による都市計画決定の都道府県との協議に係る同意を廃止する、指定市の区域のマスタープランや区域区分についての都道府県の決定権限を指定市に移譲するなど、多くの事務が示されているところであります。
 
  また、まちづくり・土地利用規制分野では、宅地開発や商業施設等の開発行為の許可権限を市まで移譲する。そして、2ヘクタール以下の農地転用の許可権限を市まで移譲することなどが示されております。

 これらの権限移譲は、平成22年度に実施されるべく、法改正などの作業が国において行われておりますが、そこで、お聞きいたします。

 これらの権限移譲について具体的な改革案を論議されている「社会資本整備審議会」の法改正への動きは、現在どのような状況にあるのでしょうか。また、京都府から市町村へ移譲される権限・事務について、市町村との調整は現在どのようになっているのでしょうか。
 さらに、まちづくりに関連する数々の法律、都市計画法、農地法等が権限移譲により改正されることで、地域づくりにどのような可能性が生まれてくるとお思いでしょうか、所見をお聞かせください。

 次に、集中豪雨についてであります。

 最近の集中豪雨は、まさに異常ともいうものであり、各地で想定を超える被害が続出しております。この集中豪雨から府民の安心・安全を確保するためには、今日までの想定を超えた備えや対策が必要であることは、申すまでもないことであります。そのため、本府では、警察本部、府民生活部等も参画された連絡会議が開催されたこともお聞きしております。

 近年、各地で頻発している集中豪雨は、ゲリラ豪雨とも呼ばれるように、全く予期せぬ「時」と「ところ」で発生し、まさに自然が怒っているような感じを受けるときもあります。最近の異常気象への対策は、通常でない、特別な防災策を必要としているのではないでしょうか。

 これに対し本府では、災害メール等で大雨情報等を府民に周知されていますが、それに加えて、私は、市町村に対しても、府民に対しても、今日まで未体験の災害が起こり得る、自然災害は、昨日の答弁にもありましたように、新型インフルエンザと同じ、想定どおりには来ないという、まずは災害に対する「意識を変える」周知が必要であると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 最近、栃木県で発生した集中豪雨では、集中する緊急通報にパニックになり、正常な判断ができず、直前に起きた同様の水没事故と混同して「警察が現場に向かった」と判断し出動しなかったため、女性が亡くなるという痛ましい出来事もありました。ゲリラ豪雨となれば、混乱が生じることはあります。そんなとき、情報収集と通行規制等においても、関係機関との連携、情報共有等が欠かせないと思いますが、本府は各地の事例や台風23号の経験をもとに、どのように体制を強化・充実されたのか。

 さらに、京都府は南北に長く、災害も「都市型」「山間部型」「海岸型」など多様であり、その対策も一様ではありません。そこで、本府の「都市部」「山間部」「海岸部」それぞれの災害をどのように想定し、どのような対策を考えておられるのか、知事の御答弁をお聞かせいただきたいと思います。

◯知事(山田啓二君) 

  佐々木議員の御質問にお答えいたします。

 集中豪雨対策についてでありますが、1時間雨量が100ミリを超えるような、最近、いわゆる「ゲリラ豪雨」というような言葉が出てきておりますけれども、こうしたものの発生回数は、確かに最近の10年間では年平均5回ぐらいになっておりまして、その前の10年間が年平均2.4回ぐらいですから、確実にふえている。ことしは実にこの8月の時点で6回になっているんです。そういった点では、非常に注意をしていかなければならないというふうに思っております。

 ただ、これほどの100ミリを超えるような豪雨というのは、気象庁の持っている観測所では、京都では観測されていません。京都府と京都市の持っている観測所では、今までに2回ほど超えたことがあります。その1回は、ことしの7月28日の豪雨なんですけれども、北部地域の豪雨で、網野で107ミリを京都府では観測しています。気象庁では81ミリぐらいになっています。もう1回は、鴨川が急激に増水したとき。あれで京都市の観測所で100ミリぐらいになっておりますが、岡崎市で先日起きた豪雨は146.5ミリですから、峰山の気象庁観測だと峰山のこの前の豪雨の1.5倍以上の雨が降っていることになりますので、本当に想像を絶するような雨が降るということを私たちは頭の中に入れていかなければならないと思っています。
 
 その点から申しますと、京都府というのは、それだけのものを経験しておりませんので、私たちは、やっぱり多くの府民の皆さんに、もう一回危機意識というものを持っていただいて、避難体制の整備や関係機関の連携強化などのソフト対策というものを重要視していく必要があるというふうに考えております。

 このため、これまで京都府では、雨量・水位につきましては平成17年6月1日から、河川の防災カメラの画像につきましては、この6月2日からホームページ等で見れるようにいたしました。私は、この前の峰山の豪雨のときは、そのカメラでどういう状況かを見させていただいたことを覚えております。

 そして、平成16年の台風23号や平成18年7月の間人の土砂災害を踏まえまして、避難指示等の客観的な判断基準の策定支援を行いました。また、関係機関相互でリアルタイムで情報共有できる防災情報システムの整備ですとか、平成18年には、桂川、宇治川、木津川で国と連携した水防演習、京都市とは毎年鴨川では合同でやっておりますけれども、こうした防災訓練などに取り組んでまいりました。

 また、気象庁で作成中の「局地的大雨に関する防災気象情報の利用促進のためのガイドライン」を活用しまして、市町村職員への研修を初めとして、府民への啓発を強化しております。また、ハザードマップをつくっていただきまして、それによって地域のリスク等を住民の皆さんにお知らせをして、いざとなれば身を守っていただくために十分な備えをしていただきたいということをお願いしているところであります。

 また、台風23号の教訓を踏まえた対策といたしましては、道路通行規制マニュアルの策定とか、気象庁と連携した京都府土砂災害警戒情報の発表ですとか、地デジや放送等を活用した避難情報の伝達体制強化などのさまざまな取り組みを行ってまいりました。

 直近の集中豪雨事案を受けた対応といたしましては、兵庫県の都賀川での死亡事故を受けまして、既に答弁をしておりますけれども、府内の河川親水施設の一斉点検を行って安全対策に取り組んでおりますし、車両水没事故につきましては、警察、消防、道路管理者等の関係機関との連絡会議を開催いたしまして、機関相互の情報共有を図ることにいたしました。

 また、地域の特性に応じた対策といたしましては、京都府も本当に北から南まで多様な地域特性を持っておりますので、特に都市部におきましては、最近大規模な洪水が起きておりません。昭和10年の鴨川はんらん以来、京都市内では大規模な洪水は起きておりませんけれども、そのときとの違いは、地下鉄とか地下街の整備だというふうに思っております。これが全く違ってきている。したがいまして、下水道や河川の整備とあわせまして、地下街等の管理者と連携した避難体制の確立を今目指しているところでありますし、確立について努力をしているところであります。

 また、山間部におきましては、急峻な地形が多いだけに、土砂災害から府民の生命・財産を守るための砂防堰堤や地すべり対策、がけ崩れ対策を講じておりますし、海岸部は、潮位の上昇によります家屋浸水や道路冠水を防ぐための道路のかさ上げなどの高潮対策をとっております。

 こうしたものを、ハードを中心に、さらに先ほど申し上げましたようなソフト対策の充実、意識啓発というものを通じまして、ハードとソフトが一体となった取り組みを進めまして、府民の安心・安全の確保に努めてまいりたいと考えております。

 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

◯建設交通部長(神敏郎君)

 社会資本整備に係る法改正への対応についてでありますが、本年5月に地方分権改革推進委員会の第1次勧告が政府に提出され、今後、第2次、第3次勧告の後、平成21年度内に新地方分権一括法案の国会提出がなされる予定となっております。

 第1次勧告で市に移譲することが適当とされました「まちづくり」に関する事務につきましては、先般、京都府と市町村で設置しました権限移譲推進会議の「まちづくり」部会において、まちづくりや住民の利便性の向上につながる事務は市町村に移譲すべきとの観点で、これまでに2回協議をしてきたところであります。

 この中で、市町村からは、都市計画事業の認可や土地区画整理事業の認可などの事務については特段の意見は出されておりませんが、一方で、「開発許可等の事務については条例改正や執行体制の確保に向けた検討などに時間を要する」、さらに「市の人材育成に向けた京都府の強力なバックアップが引き続き必要」といった意見が出されておりまして、今後とも、事務の移譲が円滑に進むように協議を進めてまいりたいと考えております。

 次に、都市計画法や農地法などまちづくりに関係する法改正による可能性についてでありますが、例えば市街化調整区域における開発許可では、地域の実情を最もよく知る市町村の主体的な判断がなされることで、よりスピーディーにまちづくりが進められることとなるなど、集落の活性化や地域力の再生につながるものと考えております。

◯佐々木幹夫君 

  御答弁いただきまして、ありがとうございます。私の質問順で申し上げます。

 社会資本整備に係る法改正の対応でございますが、京都府から市町村への権限移譲で大切なことは、多くの縛りをかけないことであります。権限移譲して事務移譲しても、例えばガイドラインとかいう存在があれば、権限移譲してもその市町村が自分たちの思うようなまちづくりに法を活用できない。ですから、一つは多くの縛りをかけないこと。その基本は、地域力再生のためにどんな移譲が必要なのかをしっかりと考えることであります。地方自治の基本であるとは思いますが、そういう観点でぜひ権限移譲を検討いただきたい、そのように思います。

 国から都道府県へ権限移譲されました。しかし、京都府では、事務量がふえるだけとか、財源が伴わないなどいろんな苦労をしておられます。
  この同じような思いを市町村にかけないこと。そういう権限移譲というのが必要であります。要望をしておきます。基本は市町村を信じることであります。

 次に、集中豪雨についてであります。京都府はそういうゲリラ豪雨というのに未体験というお話もございました。そのとおりであります。ですから、いつもテレビなんかで報道されるのは、まさかこんなところでこんなことが。このまさかなんです。それがゲリラ豪雨の被害だと思います。他山の石として、ほかの地域のことも十分参考にしていただきたい。要望しておきます。

 そして、安心・安全と私たちは言いますが、安心とは府民の皆さんの心であります。府民の皆さんが安心していただく、そのために主に行政が中心になって安全対策をつくっていく、そういうふうな区分けができると思います。

 しかし、現在はボランティアなどを通じて、例えば自主防災組織もそうでありますが、主に行政が携わってきた安全対策の分野に、市民の皆さんも自分たちの安全を守るために、安全対策のために活動しておられます。きょうも偶然、地域で頑張っていただいている自主防災組織の隊長が傍聴に来ていただいておりますが、最近は、府民の皆さん方がみずから自分たちの安心のために、安全の施策を講じるために行動しようとされております。そういうときに行政が立ちおくれることがないように、各市町村によって対策がばらばらでありますから、府がしっかりとリーダーシップをとって、市町村が一丸となった取り組みができるように協働する意識を持って実働していただきたい。要望を申し上げておきます。

 次に、過疎地における交通対策について質問します。

 私の地元であります綾部市では、旧京都交通の会社更生法適用後、平成17年4月から、あやべ市民バス、愛称「あやバス」の運行をいたしております。この「あやバス」は、人口3万7,000人の綾部市において、年間20万人以上が利用する地域交通の成功事例であります。それだけに行政の担当部署や委託事業者の御苦労は大変なものでありました。

 しかし、このほど、運行委託をしていたタクシー会社からの申し出により運行契約を解除し、今年12月25日を目途に新たな事業者と運行契約を結ぶ方針となりました。これにより、これまでは、定時運行のバス路線以外に、予約型バス路線ではタクシー会社の利点を生かして「空バス」運行をなくすために予約型オンデマンド方式を取り入れて、時には営業中のタクシーを乗り合いタクシーに変えて運行していましたが、この方式は今後取りやめとなり、定時運行のみとなります。

 今回の事態は、単に運行委託事業者が変更されたということだけでなく、また綾部市だけの問題でなく、高齢過疎地の交通手段はどうあるべきかという課題を浮き彫りにしたと思うのであります。綾部市には「あやバス」のほかに、JR、路線バス、タクシーなどの交通機関が営業していますが、このほかに移送者(利用者)が年間4万人を数えるという全国でもまれな実績を持つNPO法人の福祉有償運送もあります。この活動は利用者から感謝されている一方、タクシーなど移動手段を提供する運送業の経営を圧迫しているかもしれない側面も否定できず、地域経済への影響という点からの考察も必要ではないかと思う次第であります。

 そこでお聞きしますが、過疎地における地域交通の充実について、どのようにあるべきか。その上で、生業としてではなくNPOが運営される有償運送は、確かに高齢者や障害者にとっては便利で安くて有益なものであると思いますが、一方でそれが営業としての運送業を圧迫するようなことになれば、結果として地域経済をより一層衰退させることになるのではないかと思います。NPOのこうした活動と地域経済の循環バランスについて、どのようにお考えかを所見をお伺いします。

 次に、京丹波町で発覚したフリースクールの虐待事件について質問いたします。

 京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」での虐待事件の発覚は、まさに青天のへきれきと申しましょうか、全く予期しない事件が起こったというのが、まず私の第一印象であります。

 この事件を受け、本府では早速「府青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」が開催され、「一切の暴力は許さない」「支援が独善に陥らないよう相互交流を活発化する」などの緊急アピールが採択されたところであります。

 このアピールの中で、課題として、まず、ひきこもり問題の深刻さに対して社会も行政も十分な対応がとられていないこと。二つ目に、ひきこもり者の親の弱みにつけ込んで、「支援」の名のもとに、いわばビジネスとしてしか受け取られかねない方法で強引な施設収容を行っている施設の本質の把握をできなかったこと。三つ目に、ひきこもり者を支援するための施設のガイドラインや相談体制は今もなお整っておらず、多くの民間の手によって辛うじて維持されているのが現状であることなどが挙げられています。

 フリースクールは、本来、不登校やひきこもりの青少年に対する支援として大きな役割を果たすものであり、本府においても、ひきこもり者と家族援助の支援体制を今後も充実させることが必要であると思います。

 そこで、お伺いします。本府においては、ひきこもり支援としてどのような取り組みがなされ、今回の緊急アピールで示された課題を踏まえて、今後どのように対応していこうと考えておられるのか。以上、2点について所見をお伺いします。

◯府民生活部長(園田能夫君) 

  フリースクールの虐待事件についてでございますけれども、まず、ひきこもり支援の取り組み状況につきましては、ひきこもりの原因だとか内容が一人一人異なりまして、きめ細やかな支援が必要であるということから、まず、「ひきこもり支援情報ポータルサイト」によりまして支援情報の発信や、「ひきこもり相談支援センター」での専門相談の実施、さらに不登校支援と連携した「チーム絆(きずな)」によります訪問相談、それと「職親制度」を活用いたしました就労体験の実施など、状況に応じた総合的な支援に取り組んできているところでございます。

 議員御指摘のとおり、本来、フリースクールはひきこもり支援にも大きな役割を果たしていただいているところでございますけれども、今回の緊急アピールの課題でも提起されたとおり、民間支援施設の把握やその質の確保、さらには適切な支援につなげる相談体制の充実などを行っていく必要があるというふうに存じております。

 このため、京都府といたしましては、このような事件を繰り返さないために、関係課が連携し、民間支援団体等の協力も得ましてその実態把握に努め、適正な運営が図られるよう必要な対応を行っているところでございます。また、有識者等にも参加をいただきまして、施設運営に関するルールを策定し、施設水準の確保を図るとともに、「ひきこもり相談支援センター」や「チーム絆(きずな)」と民間支援団体との合同相談の実施など、官民一体となった緊密な相談体制の充実に取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、ひきこもり対策につきましては、まだまだ緒についたばかりでございます。京都府で8,000人と推計されておりますひきこもりの方々のうち、行政や民間支援団体の取り組みに参加をしておられる方は約1,000人にとどまっているというのが現状でございますことから、民間支援団体との連携・協働を一層推進いたしまして、今後とも、総合的かつ効果的なひきこもり支援に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

◯建設交通部長(神敏郎君) 

  過疎地域における交通対策についてでありますが、中山間地域などにおける生活交通は、高齢者や高校生など地域住民の足として不可欠であることから、従来から、国と協調した補助に加え、京都府の独自措置として、過疎地域の生活路線の維持・確保に対して支援をしてまいりました。

 京都府といたしましては、地域の実情に合致した生活交通がそれぞれの地域において確保されるべきと考えております。そのためには、地域事情に最も精通した市町村が、事業者や住民とともに、地域のさまざまなニーズを十分踏まえ、利用者の視点に立った、わかりやすく使いやすい生活交通ネットワークを構築することが大切であり、京都府はそれをしっかり支える立場にあると考えております。

 また、NPO等が有償運送を行うに当たっては、タクシーなど一般旅客自動車運送事業者によることが困難であって、地域住民の生活に必要な旅客輸送の確保が必要であることについて、市町村が主宰する「運営協議会」において合意されていることが条件でありますが、この協議会にはタクシー事業者を含む交通事業者や地域住民が参画しておりまして、地域経済への影響も含め議論されているものと理解をいたしております。

 いずれにいたしましても、過疎地域における生活の足の確保は極めて重要な課題でありますので、地域の合意形成を前提としつつ、さまざまな事業主体がさまざまな手法により、地域の実情に応じて生活路線の確保に取り組むことが大切であると考えております。

◯佐々木幹夫君 

  御答弁ありがとうございました。
 過疎地における交通対策についてでありますが、昨日も巽議員の質問にもありました交通機関でありますが、京都府北部では、JR、KTR、バス、タクシーは民間の同業者ですが、商売がたきではありません。役割分担をするパートナーです。私は、そういう視点で地域交通を考えるべきではないかというふうに思います。

 ただ、よく言われておりますのは、輸送業だけでなく、NPOとかボランティアが生業と競合すれば、一般的な生業は勝ち抜けないとも言われています。逆に、このNPO輸送ボランティアなどが地域の輸送のパートナーとして加わったときには、そして役割分担がうまくいったときには、さらに地域における交通対策は充実できるというふうに私は思います。

 行政と「新たな公」と言える団体や事業者を連携させて、そのような過疎地における交通対策を目指すべきであると思います。やはりこういう形の過疎地の地域の輸送体制を協議して、そしてまた地域の充実を図っていく、京都府全体の過疎地の交通対策を考える必要があるのではないかと思いますが、再度お答えを求めておきたいと思います。

 さらに、フリースクールにつきましては、国の法改正も必要であります。本当にまだまだ課題はたくさんあると思いますが、ぜひ支援を充実していただきたいと思います。

 最後に、人生最期のみとりの現場の改善方策についてお伺いします。

 ただし、私はここで質問という形をとりますが、早急に手だてを考えるべき課題、問題提起として受けとめていただいてもよいと思います。

 私も還暦が近づきました。しかし、まだまだ若いと自負しております。しかし、よくよく考えてみますと、私も介護保険も払っておりますし、実は孫もおります。ただ、知らず知らずのうちに先輩の皆さん方と同じ領域に入ってきているのかと、ふと思うこともあります。

 今後も高齢化が進み、長寿な方がふえる中、国も本府も、在宅医療や在宅介護の方針を強め、その支援策の充実を図っておられます。そんな中で、介護施設や医療施設に入所、入院され最期を迎える方がおられる一方、自宅の畳の上で最期を迎えたいという本人の希望をかなえるために、離職をしたり大変な努力をしておられる家庭も少なくありません。在宅医療や在宅介護は、当然、「生」を全うしている、生きているため、生きているからの支援であります。

 そこで、次に来る最期に残された課題についてであります。自宅での人生最期のみとりの現場では、一つの悩みがあります。それは、かかりつけ医の死亡診断書や警察による検視であります。最近は、大病院などへの志向が強まり、かかりつけ医を持ちましょうというPRがされているにもかかわらず、そうはなっていない実態であります。また、かかりつけ医を持ったとしても、自宅への往診も少ないように思います。

 私の子どものころは、多くの方が自宅で療養され、医師が往診をされておりました。当然、医師は患者の容体をよく知っておられましたので、警察の方の手を煩わせることなく死亡診断書を書いていただいたものであります。しかし、最近はひとり暮らしの高齢者がふえ、中にはだれにもみとられることなく眠りにつかれる方もあります。また、在宅で医療や介護を行っていても、家族に囲まれて医者にみとられながら在宅死亡するケースばかりではありません。人知れず自宅で最期を迎えた場合には、変死ということで場合によっては警察による検視を受けざるを得ないとのことであります。また、かかりつけ医もその現場にいないため、死亡診断書を書くことをちゅうちょすることも多いようです。

 現在の法制度による制約や事件性の見きわめが大切なことは十分承知をしておりますが、在宅医療、在宅介護を広く進めていくためには、検視の様子を見る近所の皆さんへの影響も含め、自宅での在宅医療、在宅介護を行った最期のときに家族が悩むことがないための手だてを考えていくべきと思いますが、いかがでしょうか。

 以上、所見をお伺いして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

◯建設交通部長(神敏郎君) 

  佐々木議員の再質問にお答えいたします。
 過疎地域における生活の足の確保は深刻化しておりまして、まさに待ったなしの課題として対応する必要があると感じております。このために、地域事情に最も精通した市町村が、地域のさまざまなニーズを踏まえて、事業者や住民あるいはNPOも交えて真剣な議論が必要だろうと考えております。

 府としては、こういう地域での議論を踏まえた交通ネットワークの形成について、しっかりと支えてまいりたいと考えております。

◯健康福祉部長(和田健君) 

  人生最期の在宅でのみとりについてでありますが、病院志向の高まり、人口の高齢化による単独高齢世帯の増加などにより、近年、かかりつけ医を持つことなく、あるいは御家族にみとられることなく、在宅でお亡くなりになるケースが増加しております。こうしたケースにおいて、かかりつけ医がおられない場合や、かかりつけ医がおられても、診療継続中の疾病以外の原因で死亡し、その死因がはっきりしない場合、多くは警察による検視、医師の検案が行われることとなります。

 ただし、そうした場合であっても、御家族の心情にも配慮し、かかりつけ医と警察医が連携して立ち会いを行っていただいたり、かかりつけ医が御家族に対して説明や、可能な場合には死亡診断書を発行していただくことができないかなど、医師会等医療関係団体、府警本部と協議してまいりたいと考えております。

 一方、かかりつけ医の普及を初めとする在宅医療の普及や地域の見守り活動を充実し、こうしたケースを少なくすることが重要でありますことから、京都府では、在宅医療体制の充実を図るため、24時間往診や訪問看護に応じる在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションの充実、患者や御家族の方などからの在宅医療についての相談などに対応する、医師会による在宅医療サポートセンター事業などにも支援しているところであります。

 さらに、福祉サービス等の利用援助や、ボランティアなどによる高齢者の見守り活動、緊急時にボタン一つで近隣の協力者や消防署に連絡ができる「緊急通報システム」の設置などへの助言、指導・助成等の支援を行っているところであり、今後とも、高齢者が少しでも住みなれた地域で安心して健やかに生活していただけるよう、市町村と連携し、在宅医療の体制整備や高齢者の見守り活動を進めてまいりたいと考えております。

2008年9月府民生活・厚生常任委員会
参考人招致政策常任委員会
・政策研究テーマ 「地域における医療体制の確保」
・参考人 京丹後市立久美浜病院長 奥田聖介氏
◯石田委員長
 奥田病院長様におかれましては、本日は大変お忙しい中にもかかわらず、快く参考人をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。
 奥田病院長様は、府立与謝の海病院や京都市立病院などで勤務された後、昭和57年、開院2年目の久美浜病院に病院長として赴任されました。以来、現在まで長年にわたり、公立病院のトップとして京都府北部地域の医療を支え続けて来られました。
 本日は、医師不足や救急医療に対する不安など医療に関する様々な問題が指摘される中で、特に府北部地域の病院がおかれている状況や久美浜病院が目指す医療について、お話をいただけると伺っております。
 それでは、奥田病院長様、よろしくお願いいたします。

◯奥田参考人
 ただいま御紹介いただきました久美浜病院の奥田です。どうかよろしくお願いいたします。
 私はただいま御紹介いただきましたように、昭和57年から、京丹後市立久美浜病院の前身の国保久美浜病院、その当時は町立病院だったのですけれども、そこに赴任して現在に至っております。それまでは京都市立病院の循環器内科に勤務していたのですけれども、私も出身が久美浜町なのです。地元で医療をしているわけです。昭和56年に当時の井尻町長さんが久美浜病院をつくられたのですが、井尻町長さんが京都市立病院に何回も来られまして、僕の外来が終わった後、待合室で待っておられて、何とか2年でも3年でもいいから久美浜病院に帰ってきてもらえないだろうかというお話を、かなりいろいろと要請を受けまして、私自身も生まれが久美浜ですし、地元の愛着も強くあって、井尻町長さんは二、三年ということを言われまして、二、三年でしたら行かせていただきますということでお世話になったわけです。
 地元の久美浜病院で地域医療をやっている中で、やればやるほど非常にやりがいがあるのですね。そのあたりをきょうはお話しさせてもらおうと思います。最初は二、三年のつもりが今は26年になっております。そういうようなことで昭和56年に久美浜病院ができたのですけれども、開院2年目から現在27年目に入っているのですけれども、久美浜病院に勤務して現在に至っているといった状況です。
〜〜〜

◯佐々木委員

 質問みたいになってしまうのですけれども、先生のお話の途中でありました、合併によってボランティアなどの体制が機能しなくなったのは、これからいろいろまだまだ合併とか広域化とかがあると思うのですが、やはり合併によることのマイナスがストレートにそうやって響いてくるのか。それから、地域によってそのマイナスを克服しようとする行政の動きというのはどんな状況なのでしょうか。

 例えば、それは丹後だけではなしに中丹の医療機関の中でもいずれ3市が合併するかもしれません。そのときに、医療体制はそんなに変わってくるのだろうかと、ドンと落ちるのだろうかという不安があるものですから、その辺は今の現状なり先生のお考えはいかがでしょうか。

 それからもう一つは、自治医大生の心意気というのでしょうか。学校に行かせていただいて、学生の皆さん方とお話しすると、学生のときはすごく頑張り屋で、モチベーションが高いのですよね。やはり地域に行っても、先生の病院とか、私は綾部なのですけれども、綾部の市立病院に行ってもなかなかモチベーションが高いです。やはりモチベーションリーダーとして頑張ってもらっているのかなと。その辺の状況はどうでしょうか。

 以上ですが、あとは行政に対することなので。


◯奥田参考人

 最初の、合併後そういうのが少し落ち込んだのではないかということですけれども、やはり住民検診とかそのあたりを見ると、落ち込んでいるのは事実かなという気はします。合併前というのは、久美浜町なら久美浜町の小さいエリアで、保健師さんも行政も病院も、それからボランティアの方も非常にまとまりがよかったのですけれども、広域になるとその辺がかすんでしまって、なかなかそういう雰囲気にならないというのですかね。

 僕も国保運営協議会のときに、特に特定健診なんかは受診率を上げるというのが一つの項目になっていますので、それを上げようと思ったら絶対に久美浜病院みたいにボランティアの方にも入ってもらって、各地区で健康づくりをする必要があることをかなり主張するのですけれども、なかなかそれが実現しないのが現状ですね。これは、健康づくりとかでなくてもほかの分野でも言えるかもわかりませんけれども、広域になるとすべてが薄まってしまうというか、それで他人任せになるというか、そうなってしまうのは非常に残念だなと僕は思っております。合併前はそれが非常にこじんまりと、またそれが効果も非常に上がってきますし、効果があればまたそれに対してやっていこうかといういい方向に回っていくのです。しかし、今は広く薄められてしまって、例えば住民検診にしても案内だけがぽんと郵送されてきて、それを返すとかそんなやり方になっています。今までは健康推進委員さんがそれぞれの家に持っていって、これは効果がありますよと、そういうことをやっていたわけですね。それができなくなっているということで、少しその辺は残念です。今後、そのあたりが課題かなと思っております。

 それと、自治医大の件ですね。自治医大の卒業生の医師に関してはそれぞれ個性もありますし、実力の差もあるのですけれども、相対的に見ますとやはり地域医療に対する意識が非常に高いですね。特に久美浜病院がやっているような予防活動、それから介護といった、一般の医師だったら余り目を向けないようなところにも非常に目を向けてやっている。それが地域にとっては非常にメリットになっていますね。

 建学の精神がそういう精神ですので、やはり授業の中にもそういうカリキュラムがあるみたいです。それで、学生も夏休みになると必ず、京都府出身の自治医大生は病院に何日か見学に来るのですね。そういう制度をぜひ府立医大もやってほしいと思うのですね。夏休みに北部のほうの病院に行って、北部の医療の実態を見るとか、そういうことをぜひやってほしいなと思っています。それが余りやられていないのが残念なのですけど。看護学生も医学生もそうなのですけれども、学生時代に、北部のそういう地域医療をやっていることによって、物すごく興味を持ってみんな帰られます。

 そういうのが将来的には地域医療にも結びついていくのではないかと思っています。自治医大の卒業生に関しては、全般的にそういう意識はかなり高いですね。それは、地域の医療をやる者にとっては非常にありがたいことだと思っております。

◯佐々木委員

 確かに自治医大の先生は会っていても、話をしていても楽しいです。お酒を飲んでいても盛り上がる。それだけものに対して前向きですよね。その辺は期待をしたいと思うのですが。

 次に移ります。国も府もですけれども、在宅医療の充実とよく言っています。しかし、在宅医療が本当に定着するのかと言えば、私はかなり疑問になってきました。

 というのは、まずかかりつけ医さんとか、人生最期の看取りの現場の改善ということなのですけれども、家の畳の上で死にたいという思いを実現させようと、幾ら家で大事に介護して治療をしていても、畳の上でみんなに見られながら亡くなられる人は少ないですよね。朝起きたら死んでいたとか、おふろの中で息が切れていたとか、みんな事件にされてしまう。周りから見れば、あそこはよい家庭やと、最後までおじいちゃんを家で看ていたと。にもかかわらず、最期の現場で警察が来て検死、かかりつけ医さんがあっても、かかりつけ医さんは検死を受けてからでないとなかなか死亡診断書を書けないという地方の環境があります。特に田舎は、北部はそうでしょう。

 ですから、そういうところの改善にいわゆる総合病院とか行政がしっかりと取り組んでいかなければ、在宅医療とか在宅介護は本当に無理なのではないかと。特にそういう現場を、当事者ではなくて周りの人が、死んでしまったら警察が来たと。事件ではないかという思いを寄せたりね。

 それから、ここでは訪問診療とかをしていただいていますけれども、そういうのが結果的に有効に働かない。その辺についての対策は行政と病院の両方に必要ではないかと思うのですよ。もちろん警察の体制も必要かもしれません。その辺のお考えがございましたら、聞かせてほしいです。

 それから、これは行政の方ですが、予算で指導医の確保、いい先輩に出会うというのはお医者さんも成長するいい機会だと思うのですが、9,000万円ぐらい予算をつけていただいていますし、若手の奨学金についても8,000万円ぐらい予算をつけてもらっています。これは実際に実働実績はどうなのですか。予算主義だと言われないために、これだけ予算をつけてこれだけ動いていますよと、今これだけ効果が上がっていますとリアルに把握されているのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

◯奥田参考人

 今の御質問の在宅医療に関しては、国も在宅重視と言われているのですけれども、受け皿というのもなかなか大変ですし、今言われたとおりだと思っております。特に京丹後市の場合、久美浜町を例にとりますと開業医の先生が非常に少ないということです。開業医の先生が2人おられるのですが、1人は御高齢で余りやっておられませんし、実質1人が開業医のような状況です。それで、久美浜町で言いますと1万2,000人ぐらいのエリアを開業医の先生1人と病院とでやっているということで、病院が開業医のこともやっているというのが実情です。

 久美浜病院だけを言いますと、入院した患者さんが退院されるに当たっては、退院された家も病院の一つのベッドだという位置づけで行っているわけです。訪問看護も入りますし、訪問診療も入ります。ただ、やはり今の医師体制、看護体制ではマンパワー的に限度がありまして、どんどんそれをふやすわけにもいきませんし、退院した患者さんだけをやっているというのが現状です。

 その人に関しては訪問診療も訪問看護も入って、定期的に診に行ってますので、状況が悪くなったらその時点でいろいろと在宅で点滴をしたり、入院したりということもやっておりますので、そういうことに関しては心配ないと思うのですけれども、ただそれ以外の人に関しては、開業医の先生のマンパワーもそんな状況ですし、今言われたような在宅で知らないうちに亡くなられることも今後起こり得る可能性は十分あると思うのですね。できるだけそういうことがないように介護サービスを、デイサービスさんも利用するようにも勧めておりますし、できるだけいろいろな人がその家に入り込んでフォローしていくのが大事ではないかと思っております。

2008年9月議会
府民生活・厚生常任委員会
・人生最期のみとりの現場について
・女性消防団員やOB
・ハイパー消防団員
・人材を確保できない介護現場

◯佐々木委員

 それでは、1点のみ。本会議の続きです。人生最期のみとりの現場について、どうしようもないなという思いもあろうかと思います。ただ、本会議が終わりましてからのインターネットのメールの反応がかなり多かったので、やっぱりここはもう少し具体的にどう進めていくのかというところを確認といいますか、方向性の論議を一つしてみたいと思います。

 やっぱり、せっかく自宅で介護をしたのに最期にパトカーやら警察官が来られて世間から白い目で見られたのが本当に困ったと、親戚からも疑われたというお話やら、近所であったのを見て、うちは在宅介護とか在宅医療はもうしないと思いましたという意見やら、生命保険とか貯金の額とか通帳とかそういうものもすべて調べられたと、せっかく在宅介護をしたのに家族の人権はないのかというお話やらのメールをいただきました。これは質問に至る前も同様の意見をいただきました。

 決して事件性というのを軽視するものでもありませんし、現在国会でも逆に事件性を重視しているという意見もお聞きいたしました。また、お医者さんも、死亡診断書は書いたが後から警察が来られて「これは事件や」となれば殺人幇助罪になってしまうと。だから簡単には死亡診断書を書けない、そういう状況もあるようです。

 ですから、せめてパトカーが来ないでほしいとかいろいろな要望はあるのですが、このままだと在宅医療・在宅介護といってもなかなか一番最後のところのネックがうまくきちんと広がらないと思います。ですから、警察サイドとの調整のやり方とか、そういう調整をする余地があるのか、ないとすれば、こちら側、つまり府民生活・福祉・厚生の側で何らかの方策があるのか、それとも地元の検案書を書いていただく医師のグループによって何らかの方策が見出せるのかと、その辺はいかがでしょうか。

◯和田健康福祉部長

 本会議でもお伺いしましたとおり、やはり制度的なものは制度的なものとして。実は私自身も、余りプライベートは避けますが、そういう経験がございまして警察から事情を聞かれたことがございます。したがって、やっぱり御家族とかそういう方の心情にしっかりと配慮して対応していく必要があると。まずこれが基本の考え方でございます。

 ただ、制度的なものがある中でどうかということでございますが、細かいことになるとややこしいので。かかりつけ医がおられて亡くなったのですけれども、もともと診療中の疾病以外の原因で死亡された場合、これが一番問題になるのだろうと思っております。そういうケースも含めて年間3,000件ぐらいの検死があるようでございますけれども、実は警察医の先生のお書きになったものを読むと、その中で本当にこれは検死が必要であったかどうか、もう少しよく考えたほうがいいのではないかという御意見もございます。

 そうした意味からいきますと、直ちに効果が出るかどうかということは別にしまして、私どもはやはり警察医の先生方あるいは府警本部、一方で現実に在宅医療を担っていらっしゃる先生方、まずそれぞれのお考えを交わしていただきながら、どうすればより御家族の心情に配慮した取り組みができるのか、まずそういったことを進めてみたいと。

 その中で、例えば診療中の疾病以外の死亡であってもかかりつけ医の先生に一緒に検死の場に立ち会っていただいて御家族へのフォロー、そういうものをしていただくとか、あるいは法的に言いますと、死体を検案して異常があると認められなければ検案書は発行できるわけですから、そのあたりの運用の仕方というものも、実務の問題として意見交換もしていただければと思っております。そのことで直ちに大きく飛躍的に改善するということにはなかなかならないと思いますが、警察の側、一方におけるかかりつけ医の先生方の側、それぞれのお考えとかそういうものを十分お伺い、意思疎通できている場面が必ずしも十分ではないと思いますので、まずそういった場面づくりから進めたいと思っております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 先ほど言いました要望の中に、せめてパトカーで来ないでほしいとか警察官の制服でないといけないのかという意見もございます。そういう見たところだと思いますが、こういう警察サイドとの調整というのは、今日までされているかどうかわかりませんが、これからはどうなのでしょうか。

◯和田健康福祉部長

 本日の佐々木委員の御意見、一方で先日の本会議でも府警本部もお聞きいただいておりましたので、そういった御意見も十分あるということも踏まえて、府警本部とも話をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 府民生活部の消防団の関係でお尋ねします。31ページだったと思いますが、そのあたりに書いてあるのですが、消防団員が少ないとか、なかなかなり手がないとか、そういう中で、現役の消防団は本当に頑張っていただいていると思います。

 そこで出てきているのが女性消防団員のことです。言葉や文字には出てくるのですが、私ども現場におりまして、女性消防団員をどういう位置づけで、それから初期消火のときにどうなのか、本当の出動のときにどうなのかとか、位置づけとか形、そういうのがよく、ぴたっとはまってきません。

 一体これは、男が足らないから女の人にという流れなのか、それともきちっとした、いわゆる落としどころもちゃんとこの形だという結論を持って取り組もうとされているのか、それが1点目です。

 それから、2点目はOBです。OBは現在いろいろな訓練も受けていただいていますので、救急救命法とか、それからAEDの操作とか、今まで水を出すだけだったのが、やっぱり救命までいろいろな訓練をしていただいています。現在そういう皆さん方には、私、綾部で日本赤十字の奉仕団の団長をしておるのですが、そういうところに入っていただくと物すごい有効なんですよね。同じように、自主防災組織に入っていただくと、やっぱりオールマイティーな活動をしてくれます。そういう点でOBの使い方というのはイメージを描いておるんですが、ここでは定年延長とかね、そういうようなことが盛り込んであります。

 ですから、今の消防団の定年延長をして新しい消防団の形をしようとするのか、それとも消防団員の方々の、団員のときに身につけられた技術なんかを、もっと自主防災組織とか、そういうところに広げていこうとされるのか、そういう点の、それもさっきと同じように落としどころはどうなんだろうというところをお尋ねしておきたいと思います。

 それからもう1点、これも綾部のことで恐縮ですが、ハイパー消防団員というのをつくりました。私はこれをどうだと相談を受けたときにやろうとしたわけです。大変有効だなと思ったんです。そしてプラス、これは府下にも広がるぞと、全国的に広がっていくだろうなという思いを持っていましたが、なかなかそうもなってないようです。ほかの消防団、綾部市以外での消防団での反応とか、現状はどうなのか。京都府としてこれをどんどんやろうという方向になっていないように思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

◯下遠府民生活部防災監

 まず、女性の役割というか、男が足らないから女性をふやしていくのか、それともきちんとした役割があるのかという御質問についてですが、これはそれぞれの団によって考え方がいろいろあると思うのですが、従前消防団員というのは消火活動をメーンにやっておりました。ところが、最近需要がいろいろ高まってくる中で、町内に対する防火指導、救急指導、御老人宅の訪問指導、それから予防査察ですね、従前火災現場活動がメーンだった消防団の活動が、火災予防から町内の住民指導までいろいろな分野でふえてきましたので、そこに女性やOBの方を生かすという役割が多分にふえてきました。

 その辺を重点的に女性に当たっていただきたいと考えておりますが、それは各消防団で女性をどのように指導して、どのように活躍してもらうかというのは、基本的には決めていただいておるところでございます。

 ただ、全体的に男性の消防団員が昼間、サラリーマン化が進む中でそこの地域に減少しておる傾向では、地域に密着しておられる方が女性の団員の場合多いので、昼間ですと火災出動、現場活動もしていただくという方向で活躍していただきたいと考えております。

 次に、OBの活用ということですけれども、定年延長か、それとも現役時代に培った能力を消防団以外でも生かしていくのかということですけれども、基本的には両方で御活躍いただきたいと思います。定年というのは特に規則や条例で定めている団はございませんが、ただ、慣例として府下で4市5町、おおむねこの年になったら定年ですねというところを決めているところがございます。中には慣例で36歳とか40歳ぐらいで退団されている方がいらっしゃると。この方たちは、これからもまだまだ現場活動もできるということで、消防団として活躍いただきたい。

 もしくは、60歳以上ぐらいで定年された方は、今度はそれまで培った知識、経験、技術を、例えば自主防災組織のリーダーとして、もしくは町内のいろいろなそういう防災組織のリーダーとして御活躍いただいたらいいのかなと考えております。

 それともう一つ、機能別消防団員というのが、今、国も京都府としても今後進めていきたいと考えておりますので、例えばすべての活動はできませんが災害現場だけは出ますよという方は、OBの場合十分な技術と経験を持っておられますので、日ごろの訓練を余り積まなくても現場活動は十分やっていただけるということで、この辺は消防団としても御活躍いただけると考えております。

 それから、ハイパー団員に対する考え方ですが、これはただいま申しました機能別消防団員とも関係してまいりますが、京都府下では木津川のリバーレスキューのハイパー消防団、それから委員が今おっしゃいました綾部市のいろいろな大型特殊免許とか、アマチュア無線とか、小型船舶とかの資格を持っておられる方に、有事の際に集まっていただいて特別の団をつくるという活動、現在京都府下ではこの2団が機能別分団として活躍しておられます。それ以外に、OBの方だけで組織して、災害現場だけ出動していただく機能別団員、これは個人ですね、員としての活躍を1市でやっていただいております。

 今後とも消防団員の人数の確保策といたしましても、フルタイムの昼夜を分かたず活動する団活動は難しいけれども、特定の分野だけ私は活動できますという方は多くいらっしゃると思いますので、その辺で機能別団の進め方を京都府としても進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 女性の消防団のことですが、これは水を出さない消防団員として考えればいいと、そしてこの女性の皆さんは消防団員としての身分をつけてしていただこうという方向性なのでしょうか。それが1点。

 それから、機能別消防団員はハイパー消防団のことも言うのか。いろいろな技術、火事のときのガスとかもありますし、いろいろなのがあるのですが、それは例えば建設業の業界と災害時の提携を結んだりされますよね。その辺との関係、調整が必要な場面というのは、今まで話題に上ったことがあるのでしょうか。解決策はどうだったでしょうか。
 以上です。

◯下遠府民生活部防災監

 基本的に女性団員の活動について、水を出すのか出さないのか、それと消防団員としての身分ということですけれども、もちろん消防団に入っていただいた女性の方は消防団の身分を保有しております。
 それから、水を出す出さないはそれぞれの消防団の活動の中の判断になってくると思いますが、現在可搬式の小型動力ポンプという形で、女性でも扱いやすい軽量のポンプも出てきておりますので、この辺につきましても、京都府としても補助金を打ちまして、導入を進めてまいりたいと。女性でも扱いやすいポンプというのが出ておりますので、進めてまいりたいと考えております。

 それから、機能別団員のいろいろな技術を持った方というのは、先ほどの綾部市さんの消防団の資格の件でもそうですけれども、京都市においても検討中ですけれども、重機を持っている事業所と、重機の資格を、大型特殊等の免許を持っている方、その辺で機能別の分団をつくる方向で現在策定作業が進んでおります。

 それともう一つ、同じような形になりますけれども、こちらは団員という形ではありませんけれども、災害時の協定という形で、そういう重機を持った建設業界、もしくは事業所と、災害時にはトラックやブルドーザーを出してくださいという協定も結んでおります。これらは多ければ多いほど災害時には有効に機能すると考えておりますので、できるだけこの辺の協定も有効に機能するよう進めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 要望を申し上げておきます。女性も水を出してもらう訓練を結構やっています。通常ですと4気圧で50ミリでやっぱり抵抗が強いですよね。ですから、住宅密集地で自主防災組織があるところには、結構45ミリの設置に組みかえたりしとるんですが、これは市町村がやる話で、府が支援するというものではないのでしょうか。
 質問になってしまったな。お願いします。

◯下遠府民生活部防災監

 もともと消火栓から小型動力ポンプまで水を引っ張る配管というのは、市町村によってその消火栓からの金具によって決まっておるのですが、今、委員がおっしゃいましたように、動力ポンプから先は40ミリ、50ミリ、65ミリといろいろなホースの口径がありますので、その辺は女性でも扱いやすい40ミリ、50ミリというのを、小型動力ポンプと加えて導入するよう、その辺も補助金制度がありますので、紹介するとともに進めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 健康福祉部のほうです。18ページに行きまして、人材を確保できない、定着しない、つまり離職率が17.3%とありますが、21%になったというテレビ報道もありました。

 それで、18ページに書いてあります課題を解決するための方策なのですが、これを見る限り、要は京都府は何をするのかというのがよくわかりません。国とか事業者に求めることは求めるのですが、これは国とか事業者がそれに応じてやってくれれば離職率も減るかな、人材も確保できるかなというぐらいしか見えないんです。これからの方向性ですが、具体的な方策を教えていただきたいと思います。

◯和田健康福祉部長

 人材確保の問題は、本会議でもお伝え申し上げましたとおり、やはり基本は国の介護報酬、あるいは診療報酬等にかかわる話で、これはしっかりと求めていかなければならないと思っております。

 ただ、一方で京都府として何をしなければならないか、何ができるのか、そういうことを今回方向づけをしたいということで、このプランを策定しようとしているものでございます。

 確かに少しわかりにくいかもわかりませんが、具体的には19ページに書かせていただいているのですが、1つは就業の相談から、あるいは就業されるときの訓練、さらにはあっせんに至るまで、これを今ジョブパークでワンストップでやっておりますけれども、そういった仕組みを福祉人材にも持ち込みたいと。

 それと、裏腹の関係で人材確保プラットフォームといいますか、その雇用確保等を進めるために、関係団体あるいは教育機関が協働しまして、人材確保のための方策を定期的に意見交換し、協議し、具体的な実行に移す、そういう場をつくってまいりたいというのが大きな1点目でございます。

 2点目としましては、実は今、福祉関係団体なり、当然私ども福祉人材・研修センターも含めて、いろいろな場で研修とか講習とかを設けております。ただ、それが相互に関連がないために、重複をしておったり、あるいはすき間があったりいたします。これはやはり関係機関が一緒になって相互乗り入れ、そういったことも含めて調整をしていこうではないかというのが、この2点目でございます。

 3点目は、これは私どもが今人材確保対策のために、福利厚生的な補助金でありますとか、あるいは臨時職員の雇い上げ、あるいは研修に派遣するときの経費、そういった助成制度も設けながら施策を講じておりますけれども、それをより具体的に、より実効ある形で取り組みができないかと、(3)に掲げておりますような取り組みをできればと、現在このプランの中身で検討しているという状況でございます。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 私は求めるべきは定着率の向上だと思います。やっぱりこういう仕事に自分の一生をかける、人生をかける、それぐらいの気持ちをしっかり持っていただけるような定着率だと思うんですね。ですから、具体的に定着率がどれぐらいなのか調査してみてもわかると思うのですが、やっぱり期間が短い、せっかく何カ月とか何日かかけて講習しても定着しない。そのやっぱり価値観の向上といいますか、それだけの仕事であるというアプローチなんかも必要ですし、定着率を向上するにはどうするか、そこの焦点をもう少し重く考えてやっていただければと思います。

 以上要望しておきます。終わります。






2008年9月定例会防災・暮らしの安心安全対策特別委員会 ・女性消防団員の件

◯佐々木委員

 引き続いて消防団の件ですが、この活性化プランで既に論議をされていることでしたら、おさらいになるかもしれませんが、女性消防団員の件で少し具体的に聞きます。ここに挙げられている内容では、本気かという感じを受けます。

 本当にやるのか、従来の婦人消防クラブ隊のような感じで、ボランティアで出てきてもらったらラッキーだ、ぐらいの程度なのか、本当にしっかりと位置づけをして、男性団員と同じような位置づけをして、身分保障も、例えば団員何人について何人の補助金を出すとかいう地域もあるわけです。そういうカウントとか保険とか退職金とか、そういうものをちゃんと本気でやろうとしているのか、ここでは読み取れない。

 その辺は、きのう少し役割分担や何かを聞いたわけですけれども、有効だと思います。では、具体的に本気なのかどうか教えていただきたい。あと市町村の反応などもありましたらお願いします。

◯下遠府民生活部防災監

 ただいまの女性消防団員に対する御質問の件ですけれども、正規に消防団員となっていただき、できれば機能別というよりもフルタイムの消防団員として活躍していただきたいと考えております。ただ、この団員の減少をとめる上で、24時間、昼夜を分かたず活動することは体力面もしくはお仕事の都合でなかなかしんどいとおっしゃる方もいらっしゃいますので、そういう方につきましては、男性・女性にかかわりなく、例えば予防業務だけで活躍していただく、災害時のみに活躍していただくとか、活動しやすい環境をもって活躍していただきたいと考えております。
 以上でございます。

◯佐々木委員

 もう少し詳しく聞くと、年齢制限とか、それから地域による団員の人数制限とか、その辺の関係を整理しておられるのでしょうか。  

◯下遠府民生活部防災監

 年齢制限の件でございますけれども、条例規則等で退職年齢を掲げている団はございません。ただし、慣例で40歳、50歳、36歳等、その年になれば退職していただくという団が4市5町ございますので、できればもう少し長く活躍いただけるように、この辺の慣例の退職年齢を撤廃していきたいと考えております。

◯佐々木委員

 細かくはいいのですが、アクションプランの検討会議などで市町村の消防団も出てきたと思いますけれども、この女性消防団員に対する意見とかはどうでしたか。

◯下遠府民生活部防災監

 このワークショップ27名の消防団員のうち6名の女性消防団員に参加していただきました。その中で、活動していく中でハード面、消防団の器具庫の中のトイレとか更衣室を整備していただきたいとか、そのような意見もございましたが、女性団員の方も御老人のお宅を回って防火指導した際に感謝されるとか、非常にやりがいがあるという意見が多数出ておりました。

◯佐々木委員

 市町村の体制はどうだったでしょうか。市町村はどんどんやろうという感じですか。

◯下遠府民生活部防災監

 市町村の女性団員に対する整備という御質問でしょうか。

◯佐々木委員

 市町村の消防団なり、それから消防の担当なりの女性団員をふやしていこうというスタンスとか構えとか、その辺の反応はどうだったのか。

◯下遠府民生活部防災監

 消防団の活動する業務の中身も、従前の消火活動だけではなくて、予防査察、それから御老人のお宅の訪問、それから救急指導等、女性とかいろいろな方に活躍していただける場面がふえてまいりましたので、市町村といたしましても、できるだけ女性もふやしていきたいという意向でございました。
 以上でございます。


2009年2月定例会本会議

平成21年度当初予算等に対する賛成討論

 

 京都創生フォーラムの佐々木幹夫です。

 私は会派を代表して、ただ今議題となっております、平成

21年度京都府一般会計予算案をはじめとする、全ての議案に賛成の立場で討論を行います。

 

 はじめに、平成

21年度当初予算案についてであります。

 最近のニュースには、

WBCワールドベースボールクラッシックの侍ニッポンチームの活躍など良いニュースもあるものの、昨日、京都財務事務所が発表した「法人企業景気予測結果」によると「景気判断が最低を更新した」と伝えられていました。

 ほかにも、毎日、毎日、株価の最安値更新、企業の業績悪化、円高不況、派遣切りや雇い止め、新規就職者の内定取り消しなど、世界的な不況が身近な出来事として実感する最近であります。

 そんな時代の流れの中で、よく行政は総合保険会社のようなものだと言われます。そのために、府民生活を守る舵取りには、行政、自らの役割と責務を自覚し、先を見通した施策の遂行は大変重要です。

 日本の中・小市町村の多くは、戦後の経済成長や人口の都市集中が進む中で、特に京都府で言えば中、北部の自治体は、その町の振興や人工の定着の為に、企業の誘致をして地域に働く場所を作り、第1次産業から第2次産業へその重心を移してきました。

 しかし、この経済危機で、その構図にも「かげり」を感じる時代となってきました。そこで、政策方針に置いても、昨今の経済危機を克服する方策や雇用の受け皿として、農業に、林業に、漁業に、その重心を移そうとしています。

 その方向に異議は唱えませんが、第1次産業は現金収入を得るまでに時間もかかるし、そう容易なものではない、と言うことを承知の上で施策を進めなくてはなりません。

 また、我が国は「経済」が未成長の時には「政治」が国の体制を創り、経済が成長すれば経済が国をリードし、政治と経済は支え合ってきました。 今、

100年に一度と言われる経済危機の時には、政治が大きな借金をしてでも、経済を活性化する、その役割を果たさなければならないと私は思っています。

 そういう意味からも平成

21年度当初予算を見てみますと、昨年度の予算規模を上回る103.1%。特に、投資的経費を全国2位の伸び率で伸ばすなどの予算編成となっており、誠に心強く、高く評価するところであります。

 歳出予算の具体的な内容を見てみますと、「雇用・経済」「生活」「未来」を温める予算としまして、

10の「京都政策」を掲げられ、特に雇用・経済に関しては「京都を支える5万人雇用・ひとづくり事業」として、総額700億円を超える金額をつぎ込むこととされております。

 特に、雇用対策に関しては、雇用を創出する中にも福祉分野における人材不足の解消や、個人のスキルアップにも配慮する。また、失業者の離職者訓練の拡充、さらには、京都ジョブパークによる就業支援の拡充など、事業を連携させた内容となっており、評価するとともに、その成果に期待を寄せるものであります。

 生活を温める予算では、厳しい経済情勢の影響をある意味より多く受けられる障害者に対する緊急的な支援策やを講じられ、お年寄りのための病床緊急確保対策として、介護療養病床が平成

23年度で廃止されることや診療報酬の切り下げにより、患者の居場所がなくなるのではないかとの不安に応えるための対策を講じられております。さらにはリストラ等にあわれた世帯に対する緊急修学支援事業を創設など、これらの事業は、現地・現場主義からの気付きによる社会的に弱い立場にある方の痛みを感じ、施策を講じようとするものであります。

 これまで述べてきた事業は、どちらかと言えば総合保険会社としての側面が強いわけでありますが、これらの取り組みに加え、京都の未来のための予算措置が講じられております。

 その1つが、北山文化環境ゾーンの整備や京都文化博物館の再生であります。このエリアの整備は、並大抵のことでは進めることはできませんが、それだけにやりがいの大きさを改めて感じます。我々としても積極的に関わらせていただき、将来に責任の持てる議論が展開されますことを期待いたしております。

 次に投資的経費についてすが、鳥取豊岡宮津自動車道の宮津野田川間開通の1年前倒しのために増額がなされました。これは単に景気の下支え効果としてだけではなく、基幹道路の供用開始を早めて、早く効果を上げるために大変有効であります。

 このことは、京都北部の議員として感謝を申し上げたいと存じます。

また、学校施設や警察施設等の改良や耐震化予算を大きく増加させるとともに、森林整備

10億円事業や各種の「命の里」事業など、広く府内に視点を広げた事業を積極的に進められることに、大変心強く感じているところであります。

 このように、今回の予算編成は、府民の緊急課題に対しスピーディーかつきめ細かに対応されるとともに、積極型に打って出る施策を講じられていること。

 さらには予算編成に先立ち、我が議員団、創生フォーラムが要望した事項が、出来うる限りに反映されたものとなっておりますことから、我が会派といたしましても、これを高く評価するものであります。

ただ、60億円の予算づけをされた全国初の「公募型公共事業」については、事業の進め方などを十分検討し、混乱のないように体制を整えて実行されるよう要請をしておきます。

 そしてもう一つは、昨日も国の地方分権改革が提言されておりましたが、権限委譲も税源委譲も中途半端になっている国の施策に対してもしっかりとものを申されるよう求めておきます。

 次に条例についてでありますが、ここ京都の地は、COP3開催の地であり、環境の世界では京都といえば地球温暖化対策を意味するぐらい、注目を浴びているところであります。

 このような中、今般、電気自動車等の早期の本格的な普及促進を図るため、全国に先駆けての自動車税の軽減措置。職業能力の開発を推進するという府民ニーズを踏まえた基本的な考えのもとに、高等技術専門校の再編を行うなど、時季にあった施策として賛成であります。

 私の賛成討論は以上ですが、行政は予算主義だと言われることがあります。この予算が成立したからといって一段落ではありません。

 大切なことはこれからです。行政の予算は単年度予算であり、毎年、今年と同様の積極予算が編成出来るとは限りません。

 今回の平成

21年度の予算を有効に執行するために、この一年に集中して、知事をはじめ職員の皆さんの臨場感と緊張感を持った取組、努力を期待するものであります。

 我々、京都創生フォーラム議員団はこの危機を乗り越えるために、現地現場においても府民目線に立って、府民生活と京都府政をしっかりと支え、京都府の更なる発展のため、全力を尽くすことをお誓い申し上げまして、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。

 

2009年6月30日 

平成21年6月定例会本会議代表質問

◯佐々木幹夫

6月定例会の代表質問のトリを務めます京都創生フォーラムの佐々木幹夫であります。私は会派を代表して、4点にわたって知事の所信を伺います。

 まず、今回の6月補正予算案でありますが、秋以降に再流行が懸念される新型インフルエンザの対応を初め、依然厳しい地域の経済・雇用環境への対応など、まことに時宜を得たものとして評価いたしますとともに、本年度当初予算において、冷え込んだ京都の情勢を温めるとして編成された「京都温め予算」の着実な実行とあわせて、早期に府民の不安解消の施策がなされることについて強い期待感を持つものであります。
 ただ、私の印象で言えば、京都府は当初予算においても府民の生活を守るために積極的な編成を行い、特に投資的経費を対前年度費111.2%と全国トップクラスの伸びを確保するなど、年度当初から積極的に頑張ってきた上に、国で事業内容が決められている基金や国庫補助金が大半を占める、少し使い勝手の悪いような国の経済対策が補正で追加された印象があります。

 しかし、そんな中でも、府の現状と将来を見据えつつ、温暖化対策や観光対策など独自色を打ち出されましたが、過去最大となった今回の補正予算も事業が速やかに執行され、その効果を発揮しなければ、府民の方々に京都府の施策を実感し評価いただくことはできません。特に、建設、経済関係では、その力量とスピードが問われてくることにもなります。そのために、今回の補正予算については、本日までこの本会議でるる質問もございました、答弁もありましたので詳細には問いませんが、執行に当たって総括的に知事の所見と、あわせて執行に当たっての意欲と決意をお聞かせください。

 次に、地域力再生について質問させていただきます。

 一言に「地域力」と言っても千差万別、多種多様であります。また、「再生」と言っても方策や思い描く再生の姿はさまざまであります。ただ一点、どんな地域力再生においても共通しているものは、そこに住み、活動されている人々がその地域を「何とかしたい」と思う熱い心です。都市部においても、人と人とのつながりはどんどん希薄になりつつあるとも聞きます。地縁組織である自治会組織等への加入率は減少し、児童虐待といった地域発の課題は複雑化していますが、特に、少子化が進み、人口減少がとまらない農山村地域の地域力再生への思いは熱いものがあります。

 その府民の地域活性化の思いをしっかり支援したのが、平成19年度から取り組まれてきた地域力再生プロジェクトであります。これまで700を超える自治会やNPOの活動を支援するとともに、地域団体同士の広域的な交流や地域活動の共同PRなどを行われてきたところでありますが、私自身もこの制度を活用した多くの事業にかかわりましたが、いずれも地域力再生に大いにその効果が上がったと実感しており、地域にとっても、私にとっても、まちづくりのために得たものは多くございました。

 私は、知事がこの事業を進めるに当たり、地方自治には、都道府県や市町村が行う団体自治と、住民自身が地域の課題解決や魅力アップに自主的に取り組む住民自治が両輪としてあり、住民自治という基本のところをしっかりとつくっていかなければ、地域は活性化せず住民も幸せにならないという認識のもとに取り組まれたと聞いております。

 そこでまず、この取り組みで生まれた地域力再生の行政効果、また、今後の行政運営に得たものは何かをお尋ねいたします。

 次に、ポスト地域力再生プロジェクトについてであります。

 3年間行われているこの事業について、行政と府民の役割分担から、公の領域、事業仕分けにも通ずる府民との協働体制が実践の中から生まれてきたと思います。この事業効果をさらに発展させるためには、次の一手が大事であります。
 今年度は、NPO協働推進課と自治振興課の地域力再生担当を統合され、府民生活部に府民力推進課を組織されたところです。

 そこで、改めて組織改革を通してのそのねらい、そして、今後の京都府づくりにおける府民へ期待する役割や府民の力をどのように生かしていこうとお考えなのかをお聞かせいただきたく存じます。
 また、今年度は地域力再生事業を行う民間団体と行政とが課題を共有し、課題解決のための施策を一から立案し実施していくというプラットフォームづくりに力を入れ、プラットフォームの中で決まった施策の実施を財政的に支援するため、地域力再生支援事業交付金の中に「地域力パートナーシップ推進枠」を新設されたところでありますが、その推進枠のねらいや内容、さらに、どのような活動についてパートナーシップ推進枠への応募があったのかをお聞かせください。

 最後に、地域力再生事業は3年目になりますが、こうしたプラットフォームづくり等を通じて、京都府の行政のあり方や住民自治を含めた「新しい公共(おおやけ)」をどのように描いていこうとされているのかについてもお聞かせいただきたいと存じます。

 まずは、以上2点について山田知事の御所見をお伺いいたします。

◯知事(山田啓二君)

 佐々木議員の御質問にお答えいたします。
 佐々木議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算に対しまして高い評価をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。

 まず、6月補正予算の執行についてでありますけれども、今回の予算の中でも、例えば公共事業は、府民の安心・安全の確保のための中規模事業と継続事業のスピードアップを中心にしております。これは、安心・安全の事業につきましては、府民公募型の安心・安全整備事業と重複しないように中規模で緊急性の高い防災対策や交通安全対策を実施していくということ。また、スピードアップにつきましては、現在事業執行している箇所について前倒しで行っていこうとするものでありまして、新たな事務作業を最小限に抑えて、しかも、将来必ず必要となるものでありますから将来負担も抑えることに役立てると、こういったような執行上の工夫をしていく形をとらさせていただいております。

 また、公共事業以外の予算につきましても、従来ならば、本当は9月補正で行うようなものも結構あると思うんですが、これも前倒し執行と積極的な取り組みをいたしまして、できる限り準備期間を確保しながら、議員御指摘のとおり、補正予算の効果を少しでも早く発揮させるように工夫しているところであります。

 予算からいいますと、インフルエンザもありまして、大変いろいろな苦労もあるんですけれども、とにかくきょう発表されました有効求人倍率もまた下がっておりますし、また失業数もふえてきている現状がありますから、こうした皆様の厳しい状態について、職員一丸となってこれから経済対策に取り組んでいきたいという決意でしっかりと予算を執行していきたいと思っております。

 次に、地域力再生の今後の展開についてでありますけども、これまでの取り組みによりまして、本当に地域づくりを担う人たちや団体、こうした人たちとの非常に大きな触れ合いができたんではないかなというふうに思っておりまして、地域と行政との連携が私は飛躍的に進んできているという実感を持っております。
 例えば、住民の皆さん方によって、災害時の要援護者支援や障害者の就労機会の提供を行っていただけるとか、都市・農村交流や住民参加によります環境保全活動が展開されているとか、福祉系と環境保全系の団体の異分野が協働して一つのことをなし遂げていくとか、また新設団体が経験を積んだ団体に研修をしてもらって、その中でより活動を充実していくとか、本当に、行政任せにするのではなくて、積極的に地域の人たちが地域のニーズに合わせて活動していただいている姿というのは、私はこれは新しい京都づくりに確実につながっていくというふうに感じております。

 同時に、交付金は、自治会とか消防団、地域婦人会といったような既存団体の活性化の面についても大きな刺激になっておりますので、こういうものが相まって、私たちはやはりこれから京都を未来に向かってしっかりと形成していくきずなというものをこの地域力再生という取り組みを通じてつくり上げていきたいというふうに考えております。

 それだけに、逆に行政の対応というものが今後さらに私は重要になってくるというふうに考えておりまして、こうした動きを京都府全体の行政の質の向上にどうつなげていくのかということが一番大きな課題だというふうに思っております。このために、私どもはテーマごとに活動主体に集まっていただき、共通の課題の解決策について、行政とこうした団体やいろいろな方々が検討し施策づくりを進めるプラットフォームを設けて作業を今行っております。現在30を超えるプラットフォームがつくられておりまして、この中で、今まではどちらかというと、住民の皆さんに対して交付金を交付してその活動を支えていく。今度は、住民と行政とが一緒に協議をしながら新しい活動を展開していくという形で、パートナー推進枠にも既に9件の申請がありまして、府庁旧本館を活用し、農産市場とするこだわりマルシェの開催や、都市と農村を結んだ森林整備活動など、市町村の枠を超えた運動が出てきております。

 今度は、ここからさらに京都府の施策を一緒に生み出していくという形が私は必要ではないかなと思っておりまして、広域行政団体である京都府は、ともすれば、やっぱり地域との結びつきが薄れがちでありますけれども、府民満足を実現していくためにも、市町村や地域で活動する多くの人々をしっかりと支え、一体となって新しい施策を生み出していけるようにこれからも努力をしていきたいと考えております。
◯佐々木幹夫君

 補正予算の執行に当たっては、工夫と前倒しで補正予算効果を早く上げようとするその努力について、本当に敬服する次第でございますが、本当にこれは、私は前回の賛成討論でも申し上げましたが、時代は、経済がリードしてきた時代、政治がリードしてきた時代、そしてそれぞれが国をつくってきました。時代的役割があります。

まさに今は、政治が、そして自治体が国をリードし地域をリードする、その役割を果たす流れになっており、そしてまた、この補正予算とか今日までの執行については、やはり行政が、政治が地域を、国を形づくるその役割分担の時期だろうと思います。ぜひその努力も繰り返し重ねてお願いしたいと思います。

 また、市町村などについても、京都府だからできる規模の事業や予算執行を大いに期待されているところもありますので、その地方自治体といいましても、市町村と京都府、それぞれの力の違いをしっかりと府民にも伝えられるような量と質、そして内容についてもぜひ実行していただくように大きく期待をするものであります。
 さらに、先ほども、京都府が行っている事業というのは市町村になかなか直接的でないからわかりにくいという指摘もしておりましたが、やはり、実際に私もそうだというふうに思います。ただ、この2点、先ほどの2回目の質問の地域力再生プロジェクト事業やら、そして今年度の当初予算で取り上げられている「公募型公共事業」は、公募をして、審査をして、そして今年度中に実行するという、通常の予算とは少し趣が違い、今回の方法は府民によく見える取り組みとして府の事業への関心も高まっていると実感しております。
 同様に、今回の補正予算もその効果を府民が実感できるように、ぜひ御努力をいただきたいというものであります。

 それから、地域力再生でございますが、この地域力再生というのは、何とかこの地域を盛り上げていきたいという熱い思いを事業として実施する形をつくっていったというふうに思います。そして、地域だけでなく、人々や団体にも私は火をつけたというふうに思います。ですから、この地域力再生の火を消さない体制整備、事業の実施を今後も継続して求めるものであります。

 それからまた、今日の命の里のプラットフォームの中でも、やはり、点から面に育てることが次の一手だろうというふうに私は思います。市町村や団体とも協力し合って、ぜひこれからも努力を重ねていただきたい。要望しておきます。

 次に、先ほども少し述べました「命の里」事業についてお伺いいたします。

 この質問は、昨日、府北部地域の活性化の未来について質問された巽議員の続編でもあります。私は、府北部の活性化に向けた同じ気持ちで、地元綾部の取り組みを交えて「命の里」事業についてお伺いをいたします。

 現在、京都北部の農山村地域は、いわゆる「限界集落」という嫌な言葉にあらわされているように、過疎化・高齢化の進行によるさまざまな問題が深刻化しております。これは、京都府だけのことではありません。過疎高齢化に悩む集落は全国で7,800カ所、そのうち10年以内に消滅する可能性のある集落は400カ所になると言われています。京都府の調査によれば、65歳以上の高齢者が人口の50%以上を占める過疎化・高齢化の進んだ集落が府内に141カ所あり、そのうち京都府北部には103カ所あります。

 これらの地域では、医療過疎、交通過疎、電波過疎、若者の流出、野生鳥獣による被害の拡大、農業や林業を支える後継者不足、耕作放棄地の拡大、独居不安の拡大など農山村にはこのような、町で暮らす方には想像もできないような現実もあります。しかし、私の地元綾部市では、平成18年12月に「水源の里条例」が制定され、集落に産業が成り立ち、交流人口がふえ、再生に意欲を持ったリーダーが地域にいればまだまだ可能性はあると全国に発信し、行政と一体になって集落再生への取り組みが進められていることは御存じのとおりであります。

 これは、決して綾部市だけのことではなく、各地で限界集落を乗り越えて集落再生への取り組みや挑戦は行われています。また、これは遠く離れた秘境の地の話ではありません。幹線道路沿いでも、今のまま放置すれば限界集落になる地域も多くあります。そして、さらに忘れてはならないことは、これらの農山村地域は、地域に暮らす住民の皆さんの生活の場であると同時に地域の皆さんの農林業の営みを通して、森林や農地が健全に保たれていることにより、土砂災害防止等の国土保全や豊かな水源の涵養、新鮮で安全な農産物の供給など、さまざまな公益的機能が維持されており、私たちの命や財産、暮らしを支える大切な役割をしていることを再認識しなければならないということであります。

 このような中、京都府では、昨年度から「ふるさと共援事業」として過疎・高齢化集落と大学やNPOなど外部の協力者が一体となって地域を再生する取り組みを進められ、既に具体的な成果も上げられているとお聞きしております。

 さらに、本年度は私たちの暮らしを支える農山村地域を山田知事がみずから「命の里」と命名され、これら農山村地域を府民がともに支えはぐくむ取り組みとして、「共に育む『命の里』事業」を18億円という規模で始められ、今後の事業展開に大いに期待をしているところであります。

 そこで知事にお伺いします。現行の過疎法が本年度末に期限切れとなります。そんな中、京都府では、過疎化・高齢化の進む農山村地域の再生に向けて、限界集落を乗り越えて再生集落へ導くために、この「共に育む『命の里』事業」をどのような考えのもとで進められ、そして、今後どのように展開されようとしているのか、知事の所見をお伺いいたします。
◯知事(山田啓二君)

 「命の里」事業についてでありますけれども、御指摘のありましたように、農山村地域は、食料、水、空気をはぐくみます本当に命をつくり出す里であるというふうに私は考えております。しかしながら、これまでさまざまな対策によっても過疎化・高齢化に歯どめがかからず、農地や森林の荒廃ですとか鳥獣被害など、本当に課題が山積していく中で集落そのものが失われかねない大変厳しい状況が随所で見られております。

 これまで私どもも多くの対策を講じてまいりましたけれども、もう一度やっぱり原点に返って、住民、市町村、府などが一緒になって力を合わせ、地域の再生に総合的に、しかも徹底的に取り組もうと考えまして今回「命の里」事業を起こし、ソフト・ハード両面からの集中的な対策として、里の人づくりや基礎づくりを実施していこうというふうに考えております。

 既に事業の展開方向を定めました支援方針に基づきまして、市町村とともに実施地域の選定を進めております。森林整備や生活基盤整備に加えまして、例えば発電用の水車を設置して各家庭に野生鳥獣の被害を防止する電気柵の電力を賄っていこうとか、お年寄りが栽培する野菜や加工品を一括集荷して直売所で販売する取り組み等、特色ある計画づくりに府職員も一緒になって取り組んでいるところでありまして、この夏にも事業を開始していきたいというふうに考えております。

 今後は、「命の里」事業の着実な推進で集落自身をきちっともう一回再生していく取り組みを集中的に進めていくことと、さらに、暮らしにかかわる医療や福祉、交通などの、もう少し広域的な施策を里力再生アクションプランにおいても具体化して、相乗効果を発揮させながら地域の再生を図っていきたいというふうに考えております。

 現在、こうした府や市町村の取り組みが、国の新たな過疎対策法の検討でも先駆的な取り組みとして注目をされているところでありまして、今後、国とも連携して、農山村地域の再生と活性化に、市町村とともに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
◯佐々木幹夫君

 御答弁ありがとうございました。本格的に正面から取り組むという知事の御答弁でございますし、既にその作業も実施されている。そういうところに、私ども本当に力強い思いもしますし、そしてまた、この姿勢こそ、各地域で自分たちの町を何とかしたい、そして自分たちが生きている限り、この地域に住み続けたいと思う人たちをしっかり応援できる体制をぜひこれからも進めていただきたい、そのような願いでございます。

 綾部市では、「水源の里」という名前でこの事業は進められていますが、実は先日、消防団の団長点検が行われました。その地域は、水源の里地域と言われるところでありますが、そこには綾部市の水源の里事業で、カザフスタンや西宮から新たに入居された方も消防団に入団されておりまして、一緒に団長点検に出られました。そのときに、地元の自治会連合会の会長さんが申されたことは、人口が少ない地域への行政支援、その姿勢の重要性を申されていました。つまり、行政の施策というのは、特にどこに税金を使うかということによってその成果を問われます。その成果の基準というのは、恩恵を受けた人口、何人の人がこの税金の施策によって恩恵を受けたか、そういう人口を基準にするというものが強く残っています。しかし、人口効果を基準に置く限り、農山村、人口の少ない地域に対する支援は限界があります。やはり、こういうものの考え方も是正すべき時期に来ているのではないかというふうに思います。

 例えば、それは環境への貢献度やら地域間格差是正の効果など、そういうものに重点を移していく施策、それから、評価の仕方も考える時代に来ているのではないか、私はそのように考えます。異論もあろうかと思います。しかし、そうして府域全体を活性化させていこうとするならそういう基準の変更も私は必要であろう、そのように考える次第であります。以上、要望しておきたいと思います。

 次に、教員の子どもと向き合う時間の確保についてであります。

 私には3人の子どもがありますが、上の子が保育園に入ったときから、3番目の子どもが高校を卒業するまで、20年余り公立と私立のPTA活動を行い、その中で、8回の単位PTAの会長をしました。やはり、PTA活動の中で、常に一方的に保護者から求められているものは学校への期待であります。それは、家庭教育とか地域で育てるとかいろいろ思いはありますが、しかし、やっぱり一方的に先生への期待、家庭でやれないことも学校で何とかしてほしい、そういうような期待でありました。しかし、そういう期待の中で私もPTAをしてきましたが、先生方は大変だろうなという思いでおりましたが、平成18年度に文科省が実施した「教員勤務実態調査」において、夏休みを除く通常期の教員の勤務時間が1日10時間を超えることが明らかになりました。また、その調査では、子どもに直接関係しない時間、報告書やらそういうものが子どもに接する時間の半分、つまり、すべての時間の半分以上が子どもに接しない、子どもに関係しない、接触しない時間であるということが明らかになりました。

 このような現状を踏まえて、京都府におきましては、多種多様の努力もいただいております。そしてまた、本年度につきましても、学校に新しい職である「主幹教諭」の設置が規定されたところであります。京都府におきましても、今年度から府内の小・中・高、各学校に38名の主幹教諭を配置されました。しかしながら、まだまだ教員が本当に子どもと向き合う時間というのは少のうございます。私は、これは工夫が必要であろうというふうに感じ続けてまいりました。

 ここで改めて、私は教員が多忙である原因が、各種報告書や学校運営に関する書類の作成であるならば、調査項目の精査はもちろんですが、例えばこうした書類作成や調査にパソコンを有効に使う校内LANの構築など効率化を図ることも急務であると考えます。

 そこで、教育長に伺います。生誕100年を迎えた太宰治も、私を奮い立たせてくれた司馬遼太郎先生も、私を教えていただいた、担任いただいた、そして担当いただいた学校の先生も、私にとっては同じ人生の「師」でありました。教育とは、人が人を育てることであります。人間対人間、先生と生徒というよき人間関係を築くために、教員の子どもと向き合う時間の確保に向けて府教委は今日まで取り組んでこられたと思います。その成果や課題を踏まえて、今後もどのように取り組もうとされているのか、教育長の所見をお伺いいたします。
◯教育長(田原博明君)

 佐々木議員の御質問にお答えいたします。
 教員の子どもと向き合う時間の確保についてでありますが、府教育委員会では、これまでから教員が子ども一人一人としっかりと向き合い、丁寧な指導が行えるよう教員の相談体制の整備や調査・統計事務の縮減、学校現場への外部人材の活用など、さまざまな取り組みを行ってきたところであります。中でも、運動部活動への外部指導者の派遣事業につきましては、「教員の物理的、精神的な負担が軽減した」という声を多く聞いております。さらに、本年4月には、学校業務の効率化のポイント等をわかりやすくまとめた管理職向けパンフレットを作成し、校長のリーダーシップのもと、学校での業務改善をさらに求めてきたところであります。

 しかしながら、御指摘のとおり、教員が子どもたちと向き合う時間を確保し、教育活動をより一層充実させていくためには、教員の多忙化の解消は急務であり、実効ある取り組みを進めていく必要があると考えております。
 このため、新たに、府教育委員会に学校業務改革の組織を設け、学校現場や市町教育委員会からも参加していただき、業務の外部委託を含め学校業務の効率化に向けた検討を行っているところであります。さらに、府総合教育センターに人材育成支援室を設置し、退職教員が府内のすべての学校を訪問し、課題解決への助言や教材開
発についてのアドバイスなど、教員を直接支援する体制の充実を図ったところであります。

 また、議員御提案のパソコンの活用につきましては、これまで計画的に府立学校にパソコンを配置してきておりますが、さらなる教育のICT化や業務の効率化を図るため、教員1人1台のパソコンが整備できるよう所要の予算を今議会にお願いしているところであります。

 今後とも、あらゆる面から学校運営を支援する取り組みを積極的に進めることにより、教員と子どもの信頼関係を高め、新しい時代を担う子どもたちの教育がしっかりと行えるよう全力で取り組んでまいります。
◯佐々木幹夫君

 教育長の御答弁、私も、PTA活動なり、そしてまたPTAのOB会の活動を現在も続けておりますが、身にしみながら感じておりました。本当に大変であろうと思います。しかし、大変でありますが、子どもたちは毎日毎日生活をし、中学校は3年間、小学校は6年間であります。そういうところをしっかりととらえて、これもスピードが必要であろうかと思いますので、ぜひ、平成22年に決定されると言われる京都府教育の振興計画の中でも十分御検討いただきたいというふうに要請をしておきます。

 そしてさらには、PTA活動は本当に重要であります。しっかりと子どもを育てるために総がかりで取り組む中で、中心になるPTAにもしっかり御支援をいただきたい。要望しておきます。

 3年後の夏には、全国から8,000人のPTAの皆さんをお招きして京都市で全体会を開催し、舞鶴、亀岡、宇治、長岡京、城陽市でも分科会が開催されると聞いております。京都府教育委員会におかれましては、京都府で初めての開催となるこの日本PTA研究大会の成功に向けて、財政面も含めた格別の支援を強く要請し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

 

2009年6月11日

2009年6月建設交通常任委員会

◯佐々木副委員長
 私は2点お伺いします。
 先ほど大橋委員からありました、事項10に「府北部地域の都市計画線引き見直しに関する基本方針を策定します」とあります。今、説明を受けましたが、根本の法改正待ちという雰囲気が漂っているようなことも感じます。具体的には、どんなスタンスで、どういうタイミングで、どういう内容のものを市町村に示していこうとされているのかその辺がよくわかりません。スタートですので、その辺を聞かせてください。
◯今井都市計画課長
 北部地域の線引き見直しの御質問でございました。線引き関係と申しますか、都市計画につきましては、今、国レベルで抜本的な改正の検討がなされておるところでございます。国レベルにおきましては、この夏ごろに方向性が出てくるとお聞きをいたしております。この方向性につきましては、それ以後また検討が重ねられまして都市計画法の改正に結びついていくのだろうと考えてございまして、今進めております北部地域の線引き見直しにつきましては、従来の線引きの形で検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 具体的に申しますと、昨年、北部地域のいろいろな人口動態ですとか産業動態という基礎調査を行ってございます。これを踏まえまして、今年度、方針について各市町村と一緒になって検討をしてまいるというふうに考えてございます。
◯佐々木副委員長

 抜本法改正、国の方向性が出ることに期待をしてしまって、今改革すべきことが遅くなったり、市町村があきらめたり、後回しにしたりすることのないような協議を進めていただきたいという思いがございますのでよろしくお願いします。

 それからもう一点、事項11の6番目、入札制度です。これは、建設業協会とかいろいろな団体から、今の入札制度では、例えば予定価格の公表によって、言い方は悪いですけど、見当をつけるというか、当てもんみたいな感じというかそういうような雰囲気もあります。それによって、しっかりと見積もりのできる業者が育成できるのかという点と、逆に、予定価格の公表をしない場合にはもとに戻ってしまっていろいろな不正行為が出てくるのではないか、両論あろうと思います。ここには、「順次取り組みます」とございますが、そういう京都府公共調達検討委員会においていろいろなとりまとめをしていただいていると思いますが、その現在の方向性とか、今年度ぐらいからの取り組みの方向性というのはどのようなスタンスなのでしょうか。
佐々木副委員長お尋ねの公共調達の関係でございます。これにつきましては、少しさかのぼりますと、平成19年4月に、京都府で公共調達の改善の骨子ということで何点か競走入札制度の改善を図ってまいりました。一般競走入札の拡大とか指名業者数の拡大、総合評価の拡充等々やってまいりました。そういう経過の中で、かなりそういう意味では競走性も増して、透明性も増して、それで落札率もある一定落ちついてきたということはございます。

 ただ、今お話のように、一方で、やっぱり競走が余りにも高まり過ぎたことに対して少し検証を加えようということもございます。そういうことで、昨年度、ことしの3月ですけれども、総務部の入札課が所管しておりますけれども、京都府の公共調達検討委員会というのを発足をさせまして、第1回を3月にやったと。3月の検討の中では、いわゆる総合評価制度の中で、やはり地域の雇用とか地域への経済波及、そういうものもきちっと評価をしていく評価制度をつくろうということで、地域活性型総合評価競争入札の試行をさせております。今年度に入りまして、もう既に12件ほど入札は終わっているということでございます。

 第2回目がせんだって6月1日に開かれました。ここで、一つは今お尋ねの、今後この検討委員会でどのようなことを検討していくのかということも委員の先生方に御議論をいただきまして、いわゆる最低制限価格の設定の見直しとか、それから、いわゆる低入札調査基準価格の見直しのこと、それから、先ほどお話のございました予定価格の事前公表のあり方、こういうもの等々を今後年末にかけて御議論をいただいて、4回程度開く予定にしておりますけれども、その中で、逐次御提言いただけるものはいただいて実施に移していく、また、最終的には全体の提言をまとめていただくと、こういうことで進めるということが第2回で決まりました。

 一応こういうことをベースにして、今後、検討委員会を進めて、委員の先生方の御意見を聞きながらこの改善に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 

2009年8月31日
2009年8月建設交通常任委員会

◯佐々木副委員長

 私は綾部市なのですが、集落再生とか限界集落と言われています。そういう地域では、子どもたちが帰ってくるようにとか、息子たちが帰ってきて二世帯で住もうとか、そういう努力をいっぱいしているわけです。それから、ほかのUターンとかIターン、Jターン、そういうのを求めて、定住してください、一緒にこの町で暮らしましょうといって随分努力をしているわけです。

そのためには、ケータイだとかブロードバンドとか地デジとか、Uターン3原則みたいなのがありまして、そういう努力をしておるのですが、この最近からの土砂災害防止法の地区指定によって、そこでもし新しく家を建てようとしても、随分費用がかかるようになってきました。せっかく帰ってこいと地域が努力をしても、この法律があるがために人口もふえない、新たに家も建てられない、二世帯住宅へ改築するには倍ぐらいの防災対策費が要る、この両方のせめぎ合いといいますか、それで地域は随分と悩んでいます。

この指定がされたことによって、今までの努力は何だったのだと。集落再生とこの法律との間に立って、これからどうしたらいいのだろうというのが、今、限界集落と言われるところの悩みです。そういう点についての御見解はいかがでしょうか。
◯松村参考人

 私の専門とは少し違いますけれども、あの法律をつくったとき、過程もよく知っているところがありまして、あの法律と憲法の居住権の自由を闘わせたらどっちが勝つかということなんて当然、当たり前なんです。そうすると、訴訟へ持ち込もうかという人が出てきてもおかしくない。

 今のところはそのような話は余り聞いてないので、世の中の皆さんはおとなしい人が多いんだなと思っているんですけれども、あそこで線引き、例えばレッドなんかで1メートル変わっただけで、どれだけ違うか。都市域で1メートル変えるというのは大変なことなんです。根拠はどこなのと、余り私が言うと怒られそうな気がするんだけれども、そういうふうな物すごい危うい法律でもあるということは、まず一つありますね。

 あと、限界集落のお話を聞くと、極端に言えば、例えば営農とかそういう規模を大きくすることを考えておかないと、山合いの小さな猫の額の田んぼを耕しているだけではなかなか人が集まってこないだろうと。さらに、今言う農業生産法人、ああいう人たちが入ってこれるような集落の整備というのは必要であると。個人では無理でしょうから、それは行政的にいかにそういうところへ手を差し伸べることが可能なのかどうか、私の専門ではないですけれども、せいぜいそういうふうに考えたりはします。
◯佐々木副委員長

 土砂災害防止法、それを住民側から言わすと、危ないというのなら、行政がどういうふうにして守るかという施策を実際に実行することを同時にやるべきではないかなと。指定しただけでは、それは行政の逃げ道ではないでしょうかという意見が随分強いです。

 もう一つは、ここは100年間大丈夫やったんやと。それは、例えば地質とか土質、岩の質とか、今の法律の中でそういうふうな区分けをしていけないのだろうかと。確かに、あの谷は危ないぞというのは皆知っています。あのがけは大丈夫というのも知っていますしね。今の京都府がやっている作業の中で、イエローとレッドはありますけど、そのイエローとレッドはあるとしても、地質なんかで分けていくような作業を、国でそういうことをすることによって危険度の度合いをもう少し細分化できて、それなら建築基準法に合いますよとかそういうふうな細分化はできないだろうかという意見もあるのですが、そういう論議はどこかで先生はされているのでしょうか。
◯松村参考人

 守れというお話はよくあるんですけれども、これをやると全国的にどれだけのお金がかかるかですね。先ほどお見せした映像で、針原沢の災害で24名が亡くなったというときがありますよね。砂防ダムが1基ありました。そのときの新聞の論調はどうかといったら、あの同じようなタイプの同じ規模の砂防ダムが3基あれば、実際は1基ですので、あと2基あったら全世帯、みんな助かっているんですよ。だから、もっとつくれとマスコミは言ったんですけれども、それを全国展開した場合どれだけのお金がかかるか。公共事業ですね。土建屋さんはみんな喜びますよ。だけれども、それは無理でしょうと。数兆円の規模では済まないですよ。そのぐらいのお金をそういうことできるわけないので、だから、やっぱりソフト対策というのは大事だということですよね。

 あと、法律の話ですから多分修正は可能でしょうね。修正がかけられるぐらい皆さんの意見が強くなるかどうかですけれども、やろうと思ったら可能なことは可能だと思いますね。その法律はもう全部、一生ずっとつくったら全然修正しないという法律はあり得ないですから。憲法だけですね。憲法でも今やろうとしていますからね。そういう意味合いで、そっちへの動きはあってもいいのかなと、私が勝手に思っているだけですが。
◯佐々木副委員長

 いずれにしても、私は当初、土砂災害防止法なんていうのは、限界集落つぶし、せっかく地元の人が頑張っておるのにその集落をあきらめろというのかと、そう指定されることによって、新しく家を建てるわけがないというて随分しておるのですが、何か次の道がないかなと、次の一手がないままに、イエローだ、レッドだとやられてしまっては地域振興ができない、そこのところの悩みがまだ続いてあるので、結論はまだ出てませんが、訴訟もやるわけでもなし、居住権を主張するわけでもなし、なかなか難しい。

 そうすると、土質とかそういうものの細分化ができないかなというところぐらいしか考えつかないんです。これは私の思いだけを言って質問して申しわけなかったですけど、そういう地域の皆さん方の法律に対する意見があります。
 以上です。

 

2009.09.17 
2009年9月建設交通常任委員会

◯佐々木副委員長

 大変好評です。地元の自治会とか、もちろん市町村もそうですが、やっぱり府の事業は大型でなかなか難しいと言われているところから、身近なことをやってくれるというのは、府民の皆さん方にも大変好評です。

 今、公庄副部長が、手法としては継続する方向というお話があったり、その頭に9月末を検証してみてという言葉がついたりするわけですが、これは、どの財源でやるかは別にしても、やる、やらないの方向性を2月の予算提示までに出して、早くから取り組める体制が必要ではないかと思います。財源と手法は別にしても、その方向性を示すような準備というのはもうされているんでしょうか。
◯公庄建設交通部副部長(監理課長事務取扱)

 現時点では、いろいろな検証といったことはまだ進んでおりませんけれども、当初から申し上げておりますとおり、こういった府民公募の手法というのは非常に大事な視点だと考えておりますので、予算規模をどうするかといった点はありますけれども、考え方としては、この手法というものはやっていくべきではないかと考えているところでございます。
◯佐々木副委員長
 そういう方向で、いわば、今になったけど、これはまだ申請が上げられていないとか、例えば河川でいきますと中抜けがあるとか、上流・下流はあるけれども真ん中は申請できなかったとか、そういうのが結構あるんですよね。これで終わりかなというところもあったりします。

それから、事業を早くから着手したら早くできるということもあります。ですから、手法としては継続する方向性というのを堅持して、そしてできるだけ早い時期にその方向性をしっかりと府民に伝えるような、また表明するような、そういうこともぜひお考えいただきたいことを要望しておきます。
 以上です。

 

2009年10月6日
2009年10月建設交通常任委員会

◯佐々木副委員長

 では、1点の要望と1点の質問をいたします。要望は先ほど大橋委員がふれられましたが、今議会でも、園部までの複線化で、JR山陰線の整備は終わったかのような論議というふうに受けとめることもありましたが、先ほど御答弁もありましたように、まだ園部から先はあるぞという認識をぜひ持ち続けていただきますように要望していきたいと思います。

 もう一つですが、ささいなことではございますが、府民公募型安心・安全整備事業のところで話が出ましたことなのでお伺いしたいと思うんですが、道路の沿線の草刈りの件です。
 これは農家組合からお話しがあったのですが、草刈りをしていただいてはいるのですが、必要なタイミングで草刈りができていないために、自分たちの田や畑のところは自分たちでやるのですが、道路の部分の草が残るがために、カメムシなどが生息すると。必要なタイミングで必要な草刈りをしなければ、農作物に大変影響を及ぼすと。確かにそういうことでした。

 こういうのは今日までよく出てきている意見だとは思うのですが、例えば河川を地域の方に委託するようなことがあるのと同じように、そういう道路の区間を定めて地域の農家組合とか自治会などに草刈りを委託をするというようなことは、実際にどこかでやられていることなんでしょうか。
◯川嶋道路管理課長

 道路の草刈りの件でございますけれども、いわゆる地域に委託してというふうなことにつきましては、やっぱり道路上というのは非常に危険な場所ということもございますので、一応そういうふうな形はとらせていただいてはおりません。

 それともう一つ、ボランティアという形式では、いわゆる歩道とか、道路から離れたところの部分について、ボランティア活動、さわやかボランティア・ロードということで、ボランティアでお世話になっているような事例はございます。
 以上でございます。
◯佐々木副委員長

 危険度ということではありますが、道路近くの皆さん方は、いわゆる農業をする上で草刈りというのが必要であるから、やっていると。それが府の意見は危険ということがために、そういうふうなお願いをしてないということではございますが、危険なことはようようわかっておって注意をして草刈りをする、農家組合が責任を持ってやるとかね。それでお互いが注意し合いながらやるとか、そういうやり方は何ぼでもあるので、やっぱり区間を定めて、いわゆる農家組合が必要とするタイミングに草刈りをできるような、そういうふうな地域での話し合いはできないものかというような要望がございます。

 私は、危険ということもありますが、それはどこで何をしても危険なんでね。そういうことは、個別、具体的に話をしていくべきではないかなというふうに思います。これも府民公募型安心・安全整備事業の、自分たちの気づきでできた発言なので、今日までそういう論議はなかったかもしれませんが、やっぱり改めてそういう各地域で、農家組合とか自治会とか、協議をしていく必要があるのではないかというふうに思うのです。それは、何でも役所に行政にという意識から、市民協働とかね、そういうものにも結びつく一つの出発点ではないかと思うんですよ。それは、今までの考え方はよくわかりますが、しかしここはそろそろ発想を変えていく時期ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◯川嶋道路管理課長

 今の委員のほうから御指摘のあった問題につきましては、土木事務所も通しまして、いろいろヒアリングした上で、今後の方向についてまた御返事させていただきたいというふうに思っております。
◯佐々木副委員長

 では、各土木事務所と協議をして、ヒアリングをして、可能かどうかの検討をしようということ、それでよろしいですか。
◯川嶋道路管理課長

 まだそこまでということではないのですけれども、実情どの程度そのようなお話があるかも含めまして、一度土木事務所の意見なりも相談してみたいなというふうに思っております。
◯佐々木副委員長

 土木事務所に尋ねただけでは、みんな諦めて、そんな話聞いてませんよという話になると思います。やっぱりそれは道路周辺の皆さん方に、そういう悩みとかそういうものを、もう諦めて言わないところがたくさんあって出てきてないんだと思いますからね。そういうことも十分考えて、やっぱり府民と一緒に、農作業もそうだし、道路の美化もそうだし、そういうものの考え方でやっていく必要があるのではないか。府民公募型安心・安全整備事業のところで気がついた発想ですので、それは大事にして、ぜひ土木事務所等との協議をしていただきたい、以上要望しておきます。

 

2009年11月27日
2009年11月建設交通常任委員会

◯公庄建設交通部副部長
 基本的には、応募された方につきまして、文書で回答するようにしております。今、委員から御紹介の具体的なお話は、ちょっと私もわからないわけですけれども、先ほども少しお答えしましたけれども、基本的に今回の府民公募には採択できなかったといたしましても、中身につきましては当然1年か2年かかるような事業もございますので、そういったものにつきましては今後の府民公募型と違った事業で生かしてもらいたいと、このように考えておるところでございます。
◯佐々木副委員長
 今の大野委員の質問の中で少し確認をしておきたいのですが、今回実施困難と判断をした、その理由が用地買収であったり、単年度でできそうにないというのがありました。実施困難として、今回そういうふうに処理したわけですが、これは今回提案いただいたものは、実施困難になったから消えるのではなしに、残ると確認をしてもよろしいのですよね。
◯公庄建設交通部副部長
 先ほど来申し上げましておりますように、ある意味、我がほうのストックとして抱えてまいりたいと思っておりますし、府民の意見につきまして今後の行政に生かしてまいりたいと、このように考えております。
◯佐々木副委員長
 それは、残るというふうに提案者の方には伝わっているのでしょうか。
◯公庄建設交通部副部長
 確かに、すべての方に、例えばストックとして残すといったことを表現しているかといいますと、必ずしもできていなかった面もあると思っております。そういったことからも府民の方に説明不十分だったこともあるかもしれませんけれども、当然のごとく、これからのものにつきましては府民に対してもそういうお返しをしていきたいと思っておりますし、また、なおかつ我々としてもストックの中でそういう位置づけは当然してまいりたいと思っております。
◯佐々木副委員長
 それから、質問したい1点なのですが、地域力再生プロジェクトというのは村おこしとして大変参加意識が高まったと思います。おれたちの村を何とかおこしていこうとか、それでそれが支援金として出てくる。すばらしい。参加される方も参加意識が強かった。それから、公募型公共事業のほうは、田舎のほうですと河川をきれいにしてほしいとか、道路の路肩をちゃんとしてほしいとか、舗装を直してほしいとか、ガードレールとか、だれもが賛成する内容なのですよね。だから、音声信号機のように調整が必要というよりは、むしろみんながやってほしかったことをやっていく。だから、お願いするほうにすれば、いうたらどぶ板解決なのですよ。

 それを、今の評価としては、税金を使って実施すれば、府民参画の一歩になるのだと言うわけですが、地域力再生プロジェクトに参加した人たちの意識と、公募型の事業で応募して実施してもらった側の意識とはかなり差がある。これをやってほしかったことはやってもらったのだと、よう言うこと聞いてくれた、そういう人を今言うように、府民参加型へぐっと引っ張り上げていく、これはかなり大変やなと。その位置づけというのですか、その辺の手法というのは、考え方だけで結構です。先生、いかがでしょうか。
◯今川参考人
 おっしゃっている面もあるかと思いますけれども、確かにこちらの府民公募型と地域力再生プロジェクトでは意識の違いがあるのかもしれませんが、ただ第一歩として、まず府民の方々が公共事業のことについて考えようというきっかけにはなったと思います。そして、府民の方々が地図上に落としてみたり、写真を撮ってみたり、いろいろな観察をして提案するという形になってきましたので、これを何とかしてほしいと口で言うだけではなくて、みずからがどういう課題があるかということを整理するというところが今回の非常に大きな意義があったと思います。

 そういったところからスタートしながら、さらにまた地域の中でも自治会から上がってくる、これは自治会内部の問題であるかもわかりませんが、自治会内でもきちっと議論できるような環境が成熟化してくればいいのかなと私は思います。基本的には、そういうふうに府民の力で行政を動かしたり、議会を動かしたりすることができるようになればいいと思いますが、過渡期にあるがゆえに、先ほど行政の役割とか議会の役割とか、そういうことを話をさせていただきましたけれども、そういう意味では地域力再生プロジェクトと同じ目線というか水準で将来的には考えていく必要があると考えております。

 

2009年12月7日
2009年11月定例会本会議一般質問


佐々木幹夫君

 京都創生フォーラムの
佐々木幹夫であります。通告に基づきまして、3点につきまして質問をさせていただきます。

 まず、本府の新計画「明日の京都」と、それから広域振興局単位による「地域振興計画」の位置づけについてお伺いいたします。

 12月4日までの代表質問では、政権交代後の経済政策や行政運営、財政見通し、そしてこれからも人口減少が続く少子化社会の問題点など、そして、また本日も時代の変化に伴う府政運営のあり方が論議されてきました。
 そんな中、現在京都府では、新京都府総合計画が平成22年に期間満了になることから、新京都府総合計画に次ぐ新たな計画づくり、「明日の京都」が検討されております。検討に当たっての特徴として、現行の「新京都府総合計画」のような長期・総合・計画を進化させ、一つは、外部情勢の変化に左右されない行政運営の基本理念を示す「基本条例」、次に、将来の京都府社会のありたい姿を示す「長期ビジョン」、そして、激しく変化する社会・経済情勢に対応しつつ、向こう四、五年間の施策を機動的・体系的に展開していくための指針となる「中期計画」に加えて、広域振興局単位による「地域振興計画」の4つの体系で条例と計画の両輪による京都府の将来像を描こうという方式に転換するとされています。

 山田知事は、この「明日の京都」の策定に当たって、「夢を語らなければ、未来はやってこない。きのうと同じきょうを積み上げただけの『未来』で終わらせるのではなく、求める『夢』が現実となった姿として『未来』をとらえる『明日の京都』というビジョンが必要である」と述べられています。

 そのために、行政内部だけで検討するのではなく、外部有識者の御意見や各地での府民交流会などを実施され、府民との意見交換も進めていただいておりますが、平成22年の期間満了に向かい、あと1年となっています。
 議会の議決も必要であるということでありますから、議会としてもしっかりと議論を重ねることが必要であると考えますが、まずは今日まで進めてこられた感想と、そして今後どのように進めていこうとお考えか、その点をお伺いをしたいと思います。

 次に、現在、各広域振興局では、新京都府総合計画や中期ビジョンに基づき地域ごとの振興計画を策定され、地域の特性を生かした事業として実行されていますが、これらの計画も平成22年をもって期間が満了しますので、広域振興局ごとに、中丹振興局においても地域振興計画を新たに策定される検討が行われています。

 そこで伺いますが、この明日の京都の検討では、「基本条例」「長期ビジョン」「中期計画」のラインの中で、各広域振興局が策定する「地域振興計画」は「中期計画」と並列に2本立てになっています。通常計画なら、四、五年を見通した「中期計画」のもとにといいますか中期計画の枠の中に広域振興局単位による「地域振興計画」が存在するのかなと思っていましたが、「基本条例」「長期ビジョン」のその下は2本立てであります。「中期計画」と「地域振興計画」と2本立てであります。このバランスや明日の京都での「地域振興計画」の位置づけについてどのようにお考えなのか、御所見をお聞きいたします。

 次に、府民公募型安心・安全整備事業を通じての府民の行政参加についてであります。

 地域主権の原点は住民意志であります。そして、府民のまちづくり参加の意識でもあります。
 私は、その府民の行政参加について、2つの方向についてそれぞれ伺います。
 まず一つは、行政と府民の役割分担の観点から、NPOパートナーシップセンターについて。もう一つは、府民公募型安心・安全整備事業を通じてのまちづくりへの住民参加意識の高揚についてであります。

 まず1点目は、行政と府民の役割分担の観点からについて質問いたします。

 私が府議会議員になって初めて代表質問をさせていただきましたときの最初の質問は、新しい時代における「公(おおやけ)の領域」についての認識、NPOへの支援等についてでありました。その思いは、新しい時代の行政と住民のあり方を求め、協働、ともに働く体制を築くことが新たな地域運営につながる、そしてそのことが地域の活性化、地域を守ることにつながるという思いからであります。

 国は政権交代により新しい国の形を模索し、地方も地域主権による地方自治体の姿を求め大きく変化しようとしています。政府では、来年度予算の編成に当たり事業仕分けが実施されました。また、京都府でも、今年度から予算編成の中で事業仕分け・評価調書を作成し、公表されるということであります。

 こうした国、府を通じた点検作業の中で、これまで当然行政が行うべきであるとしていたものが見直され、NPO等他の事業主体に事業をゆだねることが適切であるとの結論が出てくることも大いに予想されます。
 そのために、行政は新しい時代における「公の領域」についての認識をもとに、それを支え、必要に応じともに働く、まさに府民協働の京都スタイルの確立が重要であります。

 そこで第1点目の質問として、これを実践するためNPOパートナーシップセンターを設置されていますが、そのセ
ンターの主な機能は双方向の協働事業相談や事業提案、事業協働の具体化に向けたコーディネートなどであり、昨年度は延べ1万人を超える方々が利用されているとのことであります。府庁旧本館に設置されたこのNPOパートナーシップセンターも今年度で3年目を迎えるわけでありますが、これまでの活動により浮かび上がってきた課題はどのようなもので、それを踏まえて、今後どのように活動を展開していこうとお考えか、御所見をお聞きいたします。

 2点目に、各広域振興局単位でNPOパートナーシップセンターが設置され、地域の実情に応じたさまざまな活動が展開されているところでありますが、私の地元であります中丹地域では、ことし9月に中丹においてもセンターが設置され、12月12日、もう少し後でございますが、パートナーシップセンター主催による「中丹元気づくり講座&地域力コラボ交流会」が実施されます。この中丹パートナーシップセンターは、現在では他のパートナーシップセンターとは異なり、福知山市、舞鶴市、綾部市の協力により、それぞれの活動スペースが設置されるものとなっておりますが、逆転の発想的に言いますと、最後発でありますので、他の地域の成功や不足面を参考に最先端の協働へのサポート体制ができるのではと、大いに期待しているところであります。この中丹地域でのNPOパートナーシップセンターの目指す方向性について所見をお聞かせ願いたいと思います。

 そして、府民参加のもう1点。もう一方の府民公募型安心・安全整備事業を通じての、まちづくりへの住民参加意識についてであります。

 この府民公募型安心・安全整備事業は、京都北部、そしてまた綾部市においても、中丹においても、本当に有益なものでございました。この有益な事業を通じての住民参加意識についてでありますが、11月27日に私の所属いたしております建設交通常任委員会で、府民参画・府民協働による公共事業について、同志社大学の今川晃教授を参考人として政策研究を行いました。

 その中で、今年度実施された府民公募型安心・安全整備事業について、その評価と効果について議論がなされ、その内容は、「従来のシステムとは異なる府民や団体が直接提案をして、審査にも府民が参加して事業を実施する全国初の取り組みとして、従来の行政と府民の関係を一歩踏み出した取り組みと評価される。また、府民参加によって、行政はサービスを行う側、住民はサービスを要求する側という関係意識から、行政と住民の『水平意識』を育てることに大いに有意義であった。この事業を通じて、今後住民参加の意識を高揚すべき」という見解や意見が示されました。

 最近の住民参加の事業の中で、「地域力再生プロジェクト」と「府民公募型安心・安全整備事業」を対比してみますと、この2事業とも住民参加がキーワードになっていますが、地域力再生プロジェクトでは村おこしや各種事業などを通じて、みずから取り組んでいることが京都府とともにまちづくりをしている実感を得るものでありました。

 一方、府民公募型安心・安全整備事業は、従来未解決であった懸案の小規模事業を住民や自治会組織の提案で実施した住民参加の形態であったと言えますが、さきに申し上げた新しい時代における「公の領域」についての認識に基づく行政運営への府民参加や地域力再生プロジェクトよりは「参加意識が薄い」感想を持つのは私だけではないかもしれません。

 事業形態が違いますのでその差はあるというものの、しかし私は、この府民公募型安心・安全整備事業のような事業は、今年度はとりあえず懸案事項を解決したとしても、回を重ねるごとに、音声信号機の取りつけについての論議を例えにしますと、障害者の皆さんにとっては音声信号機は必要である。しかし、近隣住民にとってはどうなのか。こういうところから住民のまちづくりの意識や行政施策の住民参加に、意見交換そしてまたお互いのまちづくり意識につながってくるものと思います。

 そこでお伺いいたしますが、この府民公募型安心・安全整備事業の今後の継続については今議会に示されておりますが、私は、新年度事業継続に向けて、府民の行政参加の高揚を目指すコンセプトで工夫が必要であると考えます。今年度実施された経験を踏まえてお考えをお聞かせください。
◯知事(山田啓二君)

 佐々木議員の御質問にお答えいたします。
 「明日の京都」の検討についてでありますけれども、基本条例と長期ビジョンと、それから中期計画、それにあわせまして地域振興計画につきましても、今それぞれの地域で、地元市町村や地域の皆様の参画もいただきながら検討を進めているところであります。

 新府総では、それまでのハード整備の成果を生かして人と人とが結び合う社会づくりを目指してまいりましたけれども、明日の京都ビジョンの検討におきましても、こうした観点が非常に多くの方から出されておりまして、「人の生き方や暮らし方そのものに視点を置き、生きがいづくりや福祉の安心を充実してほしい」といった意見、さらには「文化との触れ合いや環境と共生した暮らしの実現」、こうしたことを望む声が大変多うございましたし、また、京都らしい産業政策のあり方など、ハードを活用いたしましたソフト政策への関心が一段と高まっているとの印象を持っております。

 しかしながらその一方で、今日の厳しい経済情勢のもとで、府民の皆様から、また、雇用や経済の対策、さらには、まだ実現をしていない京都縦貫自動車道路などの社会・生活基盤の充実を求める御意見もいただいておりまして、今後は、新府総で残されたこうした課題と、そしてそれを超えた形での生活中心の新しい視点とのバランスをとりながら、来年の新府総の期間満了を念頭に検討を進めていかなければならないなというふうに考えているところであります。

 また、長期ビジョンの実現を目指していくためには、向こう4年から5年間の重点施策を盛り込みました中期計画と、京都の各地域の特性を踏まえた地域振興計画を策定することとしております。

 中期計画は、大まかに申しますと、府域全体を考えながらこれからの京都づくりの施策をまとめていくものでありますし、地域振興計画は、新府総とは異なりそれぞれの地域が有する特色ある資源を生かすために振興局主導のもとにつくろうとするものでありまして、地域・住民起点の府政運営を大切にしていくという現地・現場主義の観点から、各地域における地域戦略を提示していこうというものであります。

 まだ両方とも新しいものでありますので、かなりそういったものをつくりながらも柔軟に連携ができるようにしていかなければならないなというふうに考えているところであります。この中で、また京都市域が抜けるんですけれども、京都市は現在新しい計画の立案を目指しておられますので、商工会議所の立石会頭からの提案もありまして、京都市の計画との連携をより進める一定の仕組みをつくりまして、その中でこちらも図っていきたいということでございまして、具体的な京都の将来像がそうした中でできるだけいろいろな方面からきちっと描けるようにしていきたいというふうに考えているところであります。

 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきたいと思います。
◯府民生活部長(黒瀬敏文君)

 NPOパートナーシップセンターについてでありますが、京都府では府民発・府民協働の府政を進めるため、NPOなど民間団体と行政との交流・連携の拠点としてパートナーシップセンターを順次設置してまいりました。
 府庁旧本館に設置をしたセンターは、協働事業の具体化に向けたワンストップの総合窓口としてさまざまなアドバイスをさせていただくとともに、NPOの活動を紹介する講座や意見交換会などを通じて団体相互の交流・連携の促進を図っております。また、無償で御利用いただける会議室を設け、開館時間を平日午後9時半までとするとともにNPO関係者のスタッフを置くなど、使っていただきやすいセンターとなるよう工夫をしております。

 その結果として、NPOと企業による嵐電沿線緑化事業などの協働事業ですとか、大学院共同講座の受講者による地域力再生活動の実践、あるいは府民協働による府庁旧本館の利活用や府庁周辺のガイドツアーの実施など、新たな取り組みを生み出してまいりました。

 今後でございますけれども、NPOだけでなく企業や大学、地縁組織などとの連携をより深めるとともに、NPOの支援を行う民間の非営利団体との連携の強化、未来を担う人づくり推進事業で育成をしました地域公共人材のマッチングの支援などによりまして、多様な主体の協働をサポートできるようにセンターの機能充実に努めてまいります。

 また、中丹パートナーシップセンターでございますが、中丹地域では、かねてより地元の方々や学識者などによりまして由良川憲章が打ち出され、その理念のもとに住民、企業、行政が一体となって由良川を生かした地域づくりを進めておられます。中丹パートナーシップセンターは、こうしたネットワークの基盤の上に協働の拠点として整備をしたものでございます。

 3市それぞれの活動スペースを生かして団体相互の交流を深めていただくとともに、さまざまな課題解決に向けたプラットホームの形成によりまして、中丹地域のニーズに根差した活動が展開されますようにサポートしてまいります。

 今後とも、各パートナーシップセンターを核に市町村とも連携し、行政、NPOが同じ目線で地域づくりをプロデュースできるよう、さまざまな取り組みを展開してまいりたいと考えております。
◯建設交通部長(安藤淳君)

 府民公募型安心・安全整備事業についてでありますが、この事業は、府民の皆様が日ごろから感じておられる身近な安心・安全のための改善箇所を公募する全国でも初めての住民参加型の新しい公共事業であります。この事業の実施箇所の決定は、府民の皆さんの立場から見ると、提案した箇所が必ず審査の対象となり、その提案が学識者も参加した審査委員会というオープンな場で行われ、その審査結果が一つ一つの提案者へ知らされるという透明性と公平性を確保した流れになっています。

 この結果、2,300件を超える多くの提案をいただき、また府民の皆様からの提案の中には、手書きで箇所を明示した地図や現場の写真がつけられた手づくりの提案書が数多くありました。この事業を通じて、府民の皆さんの府が管理する道路、河川などの施設への関心が高まり、地域づくりに参加している、あるいは地域をよくしたいという思いをこのような形で府にいただいたものと考えております。

 府といたしましても、府民の皆さんの期待にできるだけこたえますとともに、今後の公共施設の設置や管理にも生かしていきたいと考えています。

 今後の事業継続につきましては、今年度の実施状況をさらに検証しながら、府議会や市町村の御意見もお伺いし、来年度の予算編成の中で検討してまいりたいと考えています。
◯佐々木幹夫君 
 明日の京都で示される方針というのは、府下の市町村も注目をしております。そしてまた、近隣の府県も京都の方針というのは注目に値すると述べております。やはり、新時代に対応できる新しい京都府の方針、明日の京都について注目されることでありますので、十分協議を深めて立派な計画を立てるためにも、私も意見を述べていきたい。そしてまた、理事者の皆さん方もぜひ頑張っていい計画、いい方向性を見出すような努力をしていただきたい。要望しておきます。

 そしてまた、NPOに関連をしましても、NPOはやっぱり行政に近いところからそうでないところ、いろいろな部分があります。幅があり高さもあります。ですから、行政との協働に有効な部分と、そしてまたそういう活動が、距離といいますか、行政に近くない、行政に近い、いろいろあろうかと思いますので、そういうところも十分一緒に協働していく、まちづくりをしていく観点から対応を深めていただきたい。要望しておきます。

 それから、府民公募型安心・安全整備事業ですが、私も審査会を傍聴しましたが、実施困難というところがございます。その理由というのは、用地買収が必要である、それから単年度ではできないというところがございます。今後も実施されるということでございますので、これは、例えば新しい枠組みができるのか、そういう方向性などもしっかりと示していただくことが必要ではないか。例えば、用買が必要であるというのを緩和していくとか、それから時期の問題も、2年単位というものも含んでいく可能性があるのかどうなのか、そういうところはもう一度お願いしたいと思います。

 次の質問です。

 京都府綾部工業団地に立地するトステム綾部工場の閉鎖にかかわり、その対策についてお伺いいたします。
 京都府綾部工業団地は、京都府北部地域の新たな発展の可能性を背景として、京都北部地域における商工業の振興と雇用の創出を図り、地域の活性化を進めることを目指して、第3次京都府総合開発計画に基づき、平成元年に第1区分譲、平成5年には第2区分譲が開始され、平成8年には工業団地交流プラザも完成し、平成9年3月には綾部工業団地振興センターが設立されました。

 この工業団地は京都府北部にとって、福知山長田野工業団地と並んで、働く場所の確保や若者や世帯盛りの皆さんの定住政策としても大いに期待され、その役割を大いに果たしています。そして、これをきっかけにオムロンや京セラの工場立地も実現いたしました。

 こうした中で本年9月28日に、トステム綾部工場から綾部市に対して工場閉鎖の説明がありました。正社員、パート、契約社員377人を雇用している工場でございます。その工場を閉鎖する計画でありますので、この事態については本当に大変であります。

 これについて、京都府におかれても、対策本部やら、そしてまた連絡会を設置していただきまして、速やかな対応に感謝をするところであります。ただ、全社で44の工場を22に再編するということでありますので、配置がえや再就職でおさまり切れない者もたくさんあります。この事態に、綾部市の地域経済緊急対策本部は同工場の従業員の再就職支援のため、10月下旬から11月上旬にかけて市内30社を訪問し求人開拓もし、その結果、14社で新規求人の意向を得られたり、いろんな努力をしております。また、契約社員を対象にした雇用保険や住民税に関する説明会も開いており、本当に皆さん方の御努力と、そしてまた従業員の皆さん方の苦しみ、そして将来見通しについての問題点はまだまだたくさん残っております。

 そして、また一方では、11月10日には新たに労働組合も結成され、トステムに対して、綾部工場の閉鎖の白紙撤回を求める活動も起こる事態となっております。
 トステムは地域の中で本当に溶け込んで、いろんな事業やら、そしてまた産業振興のための土地の提供やら、多くをしていただきました。

 そこで、このトステムの工場閉鎖につきましてお尋ねいたしますが、トステムの綾部工場閉鎖にかかわって、京都府としての今後の対応についてお伺いをいたします。

 2点目は、このような状況の中で、地域経済の活性化と雇用対策が喫緊の課題でありますが、今回のトステム綾部工場を契機に、引き続き雇用に全力を挙げて取り組む必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 そして最後に、これは要望にかえますが、企業倒産は各方面に大きな打撃を与えますが、京都府綾部工業団地に立地する企業の撤退はさらに大きな衝撃であります。これからの撤退、それからまた新たな工場誘致、そしてまたトステムのエコ住宅の再度の提案、多くの可能性を残して今日に至っておりますが、これについての京都府の対応についてもお伺いします。

 最後に、雇用につきましては、この対策の実を上げていただきたく要望を申し上げて私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯商工労働観光部長(山下晃正君)

 北部地域の経済活性化についてでありますが、地場産業の振興と企業誘致を二本柱として取り組むことが必要と考えております。
 まず、地場産業の振興につきましては、身近な技術サポートの拠点として平成19年に設置した北部産業技術支援センター・綾部において、年間約400件の技術相談や1,200件の機器利用など、中丹地域の中小企業を中心に積極的に活用していただいているところでございます。今後、同センターを拠点として、中小企業の技術の高度化を支援するとともに、企業誘致により立地したハイテク企業や大学等との連携のもと、地元中小企業によるエコや健康など成長分野へのチャレンジを応援してまいりたいと考えております。

 また、企業誘致につきましては、本年度から綾部市、福知山市、舞鶴市を対象に、物流関連産業についても立地補助金の対象に加えるなど優遇制度の充実を図り幅広く開拓しているところであり、地域特性を生かしたより効果的な企業誘致の推進に努めております。

 また、雇用対策についてでありますが、厳しい雇用情勢のもと、トステム綾部の工場問題は従業員の雇用に大きな影響を与えることから、府としても閉鎖の再考を求めるとともに、従業員の方々の不安を解消するため、先月、ハローワークや地元自治体とも連携し、仕事から生活や暮らしまで、幅広い問題について施策の説明や相談に応じるなどきめ細かく対応してきたところであります。さらに、京都ジョブパーク・北部サテライトでは、ハローワークと共同の求人開拓特別推進チームにより求人の掘り起こしを強力に進めるとともに、年末を控え、地域ジョブパークによる巡回相談の実施、12月29日、30日には、年末緊急相談窓口の開設など、今後とも関係機関と一体となって北部地域の雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
◯建設交通部長(安藤淳君)

 府民公募型公共事業の中で、議員から御指摘のございました複数年度にわたるもの、あるいは用地買収が必要な事業等、現在のこの事業で実施困難なものについては来年度の予算編成の中で事業継続について検討する中で、この事業の中で実施するのか、あるいは他の事業での実施も含めてやるのか、そういった点を含めて検討してまいりたいと考えております。