議会独自の情報公開条例
 

本会議提案理由の説明

  
 議会の情報公開は行政の条例の一部(一章)として組み込まれていることが多くあります。しかし議会の場合、意思形成過程や会議自体の傍聴制度など、行政とは基本的な相違点があります。この議会の特性から議会独自の情報公開条例は必要です。
 
 この市議会情報公開条例は、12名の議員で構成する検討委員会で作成しました。今後、議会独自で情報公開条例を作成ようとされる場合の参考に本会議提案理由の説明も掲載します。また「解釈と運用」をもとに施行規則を作りましたのであわせて掲載します。
 
 なお、開示請求書等の様式1〜14号については、綾部市議会議会事務局(0773−42−1259)まで請求して下さい。


綾部市議会情報公開条例
市公開条例を修正する動議
情報公開条例施行規則
 情報公開条例施行から 地元紙に掲載された記事を紹介します
           
お願い−この条例は全国議長会によると全国で7番目と聞いていますが、最新で最良を自負しています。この条例案を参考にされる場合は、参考のために掲示板かメールに何らかの表示をして下さい。
       
 



綾部市議会情報公開条例

本会議での提案理由説明骨子

 地方分権が推進される今日、地方自治体の情報公開は市民に開かれた市政運営を行い市民の参加と協力を求める上で重要な施策であります。特に市議会は、選挙によって選ばれた市民の代表機関として、地方自治の本旨に基づく一層公正で開かれた議会運営の推進を図ることが求められています。よって市議会は、議会の自主性を重んじるとともに、議決機関としての議会の権能と役割に基づき、議会独自の情報公開条例を制定するに至りました。
 本条例はこの基本認識をもとに、公開対象を議決結果のみならず、議決に至る意思形成過程が重要であるという議会の特性から、本会議、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会はもとより、議会が行使する人事に係わる選考過程を除き、全員協議会及び代表者会も含めることとしました。また、公文書には磁気、電子等その他、人の知覚によって、認識することができない方式で作られた記録も含んでおります。また開示対象者は、情報公開は誰から開示請求があったかを問うものでないという観点から「何人も」とし、市内外の在住、在勤等を問いません。さらに、不服申立てがあった場合においては、開示基準の均衡を図るために綾部市情報公開審査会に意見を求めることとしております。
 なお、本条例は今議会に上程されております綾部市情報公開条例とはいくつかの相違点があります。これは、執行機関と議決機関双方の役割と責務の違いから派生するものであり、相違点があってこそ、市政運営にあたって相互牽制作用による調和のうえに立脚し互いに自立した責務と役割が果たせるものであることを付言いたします。
 本条例の制定によって、議会に対する理解と信頼を深め、市民参加が促進されることを祈念して提案理由の説明といたします。

                                                 

綾部市議会情報公開条例


目 次

綾部市議会情報公開条例案の本文(太文字)及び趣旨並びに解釈と運用
  

  第1条(目的) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1
  第2条(定義) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1
  第3条(議会の責務) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2
  第4条(利用者の責務) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3
  第5条(開示請求ができるもの) −−−−−−−−−−−−−−−−−−  4
  第6条(開示しないことができる公文書) −−−−−−−−−−−−−−   4
  第7条(部分開示) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−12
  第8条(期間を経過した公文書の開示) −−−−−−−−−−−−−−− 12
  第9条(公益上の理由による裁量的開示) −−−−−−−−−−−−−− 13
  第10条(請求の方法) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―13
  第11条(公文書の存否に関する情報) −−−−−−−−−−−−−−−―14
  第12条(開示請求に対する決定等) −−−−−−−−−−−−−−−−―14
  第13条(開示の実施方法) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―16
  第14条(費用の負担) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―17
  第15条(不服申立てがあった場合の手続き) −−−−−−−−−−−−― 18
  第16条(公文書の目録) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―18
  第17条(実施状況の公表) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―19
  第18条(公文書の任意的開示) −−−−−−−−−−−−−−−−−−―19
  第19条(他法令等との関係) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−―19
  第20条(委任) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―20
 
(目的)
 第1条 この条例は、議会の保有する情報は公開を原則とし、公文書の開示を求める市民の権利を明らかにするとともに、議会の公文書の開示に関し必要な事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく公正で開かれた議会運営の一層の推進を図り、もって市政の進展に寄与することを目的とする。

[趣旨]
 第1条は議会が保有する情報は公開を原則と定めるとともに、公文書の開示を求める市民の権利を明確にし、議会の機能である執行機関との相互牽制作用による調和のうえに立脚した民主的で公正な行政運営と地方自治の場における住民自治の進展を図る目的を示し
たものである。
 本条例は、議会の権能と役割から議会の独自性をもって定めた。

[解釈と運用]
1 議会が保有する情報は市民共有の財産であり、公開が原則である。市民の積極的な市政参加を進めるためには市民がこれらの情報を容易に入手できる仕組みの確立が必要との考えに立ってる。
2 第1条(目的)の主な内容は次のとおりてある。
  (1)議会の保有する情報は公開が原則である。
  (2)公文書の開示を求める市民の権利を保障する。
  (3)市民の議会(市政)に対する理解と信頼を深める。
  (4)市民の市政参加を進める。
  (5)議会の透明性を高める。
  (6)公正で民主的な議会運営の実現を図る。
3 「情報は公開を原則とし」とは、第6条各号に該当する場合で、非開示が適当と判断される場合及び第11条に定める情報の存否を明らかにしない場合を除いて、すべての情報は公開を原則としていることをいう。
4 「公文書の開示を求める市民の権利を明らかにする」とは、市民はいつでも議会の保有する公文書の開示を請求することができる条例上の権利を有していることをいう。
5 「公文書の開示に関し必要な事項」とは、議会が情報公開を実施するに当たり市民に保障された権利を損なうことのないように、本条例及び関係する規則等により情報公開制度のルールとして規定した事項をいう。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定め るところによる。
(1) 公文書 議員及び議会事務局の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画マイクロフィルム及び写真並びに磁気、電子、その他人の知覚によって認識することができない方式で作られた記録であって、議会において現に保有しているものをいう。
(2) 開示 公文書を閲覧に供し、又はその写しを交付することをいう。

[趣旨]
 第2条は、この条例における「公文書」及び「開示」の用語を定義したものである。
 第2号の「開示」には、請求者が視覚障害の場合は、口頭による開示も想定している。

[解釈と運用]
1「公文書」     
 (1)「公文書」の要件
  @ 議員及び議会事務局の職員が職務上作成し、又は取得した文書(台帳、カード等を含む)及び図画(地図、図面、設計図等並びにマイクロフィルム、写真、スライ ド等)で、磁気、電子、その他人の知覚によって認識することができない方式で作
   られた記録を含む。
  A 組織的に議会が管理し、第6条各号に列記した「開示しないことができる公文書」のいずれかに該当する場合であって、非開示が適当と思われる文書を除き、議決、調整、決裁又は供覧の手続きが終了していないものであっても開示対象とする。
  B 議会において現に保有しているもの。
 (2)「公文書」とは、議員及び議会事務局の職員が作成する文書だけでなく、私人名義の文書であっても、議会に提出された文書も含まれる。例えば請願書、陳情書、要望書などもすべて公文書として取扱う。
 (3)「議会事務局の職員」とは、議長が職務上の指揮監督権限を持つすべての職員及び嘱託職員、臨時職員をいう。
 (4)「職務上作成し又は取得した」とは、議員及び議会事務局の職員がその職務の遂行者として公的立場において作成し又は取得したものをいう。したがって、起案等のために作成した個人的なメモや下書きなどは公文書に含まれないが、起案文書等の説明上必要なものとして添付されたものは公文書となる。
 (5)「議会において現に保有している」とは、綾部市議会が綾部市文書取扱規程に基づいて管理しているものをいう。
2 「開示」                              
 (1) 公文書の開示は、公文書を閲覧に供し、又はその写しを交付することにより行う。ただし、請求者が視覚障害等の合理的な理由がある場合には、口頭による開示も行う。
 (2) 公文書の写しとは、公文書を紙面に複写したものをいう。
(議会の責務)
第3条 議会は、その諸活動を市民に説明する責任が全うされるようにし、公文書の開示を求める市民の権利が適正に保障されるよう務めるとともに、開示しないことが正当であると認められる個人、法人その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報の保護に最大限の配慮をしなければならない。
2 議会は、公文書の適正な作成及び管理体制を確立しなければならない。

[趣旨]
 第3条は、個人のプライバシーに最大限の配慮をしながら、原則公開の立場から、開示側の恣意的な解釈・運用を排除し、開示請求権の実質的な保障を図るとともに、議会の説明責任を定めたものである。

[解釈と運用〕
1 議会は、市民の公文書の開示を求める権利を明らかにしたこの条例の目的(第1条)に沿い、公開することが原則であるとの精神に立って運用するとともに、請求者の立場に立って迅速に対応できるように運用する。
2 「説明する責任が全うされるように」とは、議会は市民の開示請求に応じて、議会の記録である公文書を開示しなければならない条例上の義務を負うことをいう。
3 本条例は他人に知られたくない権利の保障もすることとなるので、その権利が保障されるよう十分な配慮を義務付けている。
4「最大限の配慮」とは、個人のプライバシーに関する情報についてであり、第6条第2号において、特定の個人が識別され得る情報については、開示しないことができる情報と定めている。運用に当たってはその趣旨に即して取扱わなければならない。
5 「法人その他の団体」とは、第6条第3号の「解釈と運用」と同様とする。
(利用者の責務)
第4条 この条例の定めるところにより、公文書の開示を受けたものは、これによって得た情報を、この条例の目的に即して適正に使用しなければならない。

[趣旨]
 第4条は、この条例が住民自治という地方自治の本旨に基づくものであり、また、市政の進展に寄与することを目的としていることから、知り得た情報により一般第三者の正当な権利・利益を不当に侵害しないことを規定したものである。

[解釈と運用]
1 本条は、情報公開制度の趣旨、目的に反するような使用をしないよう利用者に義務付けるものである。
2 「適正に使用しなければならない」とは、公文書の開示によって知り得た情報は、社会通念上の良識に従ってその情報を利用することであり、その利用によって第三者の権 利を侵害しないことをいう。
3 議会は、この条例によって得た情報が、不適正に使用されたと認めたときは、請求者に対して注意を行わなければならない。
(開示請求ができるもの)
第5条 何人も議会に対し、公文書の開示を請求することができる。

[趣旨]
第5条は、公文書の開示請求ができる者(以下「請求権者」という)を定めたものであり、情報公開は誰から開示請求があったかを問うものでないという観点から「何人も」とは文字通り、市内外の在住、在勤等を問わない。

[解釈と運用〕
 第15条「解釈と運用」でふれている訴訟時に関し、特に訴訟等の費用については、本市市民の税金を本市以外の者のために使うことになるというより、公開すべきでないと判断した議会の主張の正当性を立証するための費用と理解すべきである。
(開示しないことができる公文書)
第6条 議会は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、開示しないことができる。
(1) 法令の規定に基づき、開示することができないとされている情報
(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報は除く。
  ア 法令の規定により何人も閲覧できるとされている情報
  イ 公表を目的として作成し、又は取得した情報
  ウ 議員及び公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該職員の職及び氏名に
   関する情報
  エ 法令の規定による許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報で、公益上開示が必要と認められる情報 
(3) 法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報で、開示することにより当該法人等又は当該事業を営む個人の競争その他事業活動上の正当な利益を明らかに害すると認められるもの。ただし、次に掲げる情報は除く。
  ア 個人の生命、健康又は身体を、当該法人等又は当該事業を営む個人の行為によって生じる危害から保護するために、開示することが必要と認められる情報
  イ 個人の生活を、当該法人等又は当該事業を営む個人の違法又は不当な行為によって生じる重大な支障から保護するために、開示することが必要と認められる情
   報
  ウ ア又はイに準ずるものとして、開示することが公益上必要と認められる情報
(4) 市政執行に関する情報であって、次に掲げるもの 
  ア 市の機関内部、機関相互間又は市の機関と国、他の地方公共団体又はこれらに準ずる団体(以下「国等」という。)との間における審議、検討等の意思形成過程における情報であつて、開示することにより、公正又は適正な意思決定に著し
い支障が生じるおそれのあるもの
  イ 市の機関又は国等の機関が行う事務又は事業に関する検査の計画、入札の予定価格、試験の問題、交渉の方針、争訟の処理方針等の情報であって、当該事務又は事業の公正又は適正な執行を妨げるおそれのあるもの
(5) 個人の生命、身体及び財産の保護のために、開示しないことが必要と認められる情報並びに犯罪の捜査、犯罪の予防その他公共の安全の確保に関する情報
(6) 市の機関及び国等の機関との間における協議、依頼に基づいて作成し、又は取得したものであって、開示することにより、市の機関及び国等との関係を著しく損なうおそれのある情報
(7) その他開示することにより、議会の公正かつ円滑な運営に支障が生じることが明らかである情報

[趣旨]
 第6条は、原則公開の例外として、開示しないことが可能な公文書の範囲を定めたものである。

[解釈と運用]
1 この制度は、議会が保有する情報はすべて公開することを原則としている。しかし、情報の中には開示することによって個人のプライバシーや企業の利益を侵害するおそれのあるものや、明らかに行政の公正かつ円滑な執行を妨げたり市民に不利益を与えるものも含まれている。このため、これらの開示になじまない情報については、公開原則の中でも開示しないことができる情報として、その範囲を定めるものである。
2 「開示しないことができる」とは、議会の自由裁量を認めたものではなく、公開を原則とする本条例において、一定の場合に開示の義務を免除したものであり、非開示を義務付けたものではない。
3 地方公務員法第34条の守秘義務は、公務員が職務上知り得た秘密を守るべき服務規律を定めたものであり、公開適用除外情報の範囲は、一般的には守秘義務の範囲を含むものと考えられる。したがって、「公務員の守秘義務」と「適用除外情報」の関係については、本条各号に該当しない情報であっても「職務上知り得た秘密」に該当する情報は、守秘義務が課されているものとしながらも、定められた運用基準に従って開示決定の上開示する場合は、守秘義務違反に問われることがないものと考えられる。
【本文再掲】
(1) 法令の規定に基づき、開示することができないとされている情報。

[趣旨]
 第1号は、法令の規定に基づき明らかに開示することができない情報を条例の適用除外情報として定めたもので、地方自治法に規定する秘密会の議事記録などが該当する。

[解釈と運用]
1 「法令の規定に基づき明らかに開示することができない情報」が記録されている公文書については、この条例においても開示を拒むことができる旨定めている。これは、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるものとされていることによる。
2 「法令」とは、法律、政令、省令、及び条例をいうものであり、条例の委任を受けた議会の規則等も含まれる。
3 本号に該当する情報としては、法令の明文をもって公開を禁止しているものを始め、他目的使用を禁止されているもの、守秘義務が課されているものなど、法令の趣旨、目的から公開できないことが明らかに判断され得るものがある。
【本文再掲】
(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし次に掲げる情報は除く。
  ア 法令の規定により何人も閲覧できるとされている情報
  イ 公表を目的として作成し、又は取得した情報
  ウ 議員及び公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該職員の職及び氏名に関する情報
  エ 法令の規定による許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報で、公益上開示が必要と認められる情報

[趣旨]
 第2号は、個人の尊厳及び基本的人権尊重の観点から、個人のプライバシーを最大限保護する規定である。除外情報としては次のようなものがある。
 (1)地方自治法に定められた本会議の公開原則に基づく当該会議録に記載された氏名。
 (2)慣行として刊行物等により一般に知られている情報(議員住所など)。また、委員会記録等における議員名及び公務員(国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法第2条に規定する地方公務員)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の職及び氏名については、除外情報として規定した。

[解釈と運用]
1 個人に関する情報については、非開示とする旨を宣言することにより、個人のプライバシーに関する情報を最大限保護しようとするものである。
2 「個人に関する情報」とは、主義、主張、宗教、趣味等に関する情報など個人に関するすべての情報をいう。ただし、個人に関する情報であっても、事業を営む個人の当該事業に関する情報については、第3号で判断することになる。したがって事業を営む個人であっても、当該事業と関係のないものについては本号が適用される。
3 「特定の個人が識別され、又は識別され得る情報」とは、情報を開示することによって、当該情報が特定の個人に関するものであるということが判別できる場合のことをいう。したがって、一義的には氏名、住所が記載されている公文書及びこれらを削除してもなお特定の個人が他の項目から判別できる公文書は開示しないことができるものとする。
4 本号ただし書による「除外情報」は次のとおりとする。      
 (ア) 法令の規定により何人も閲覧できるとされている情報(第19条「他法令との関係」第2項参照)は、法律、政令、省令又は条例等の規定により、何人も閲覧できるとされている情報をいう。閲覧を利害関係人に限定しているものや、閲覧が制限されているものなどは含まない。
 (イ) 公表を目的として作成し、又は取得した情報はプライバシーの侵害は生じないと考えられることから、次のような情報は開示できるものとする。
   @ 公表することを前提として、本人から任意に提供された情報
   A 公表することについて本人が同意している情報
   B 個人が自主的に公表した資料から何人でも知ることができる情報
   C 従来から公表されており、かつ、今後とも開示しないこととする理由のないことが明らかである情報
 (ウ) 議員及び公務員(国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法第2条に規定する地方公務員)の職務遂行上の情報は、非開示より開示することの方が公益性が大きいと判断し、その職及び氏名を開示することとした。
 (エ) 法令の規定による許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報で、公益上開示が必要と認められる情報とは、個人に係る許可、免許等の中の市民生活に影響を及ぼすもので、個人の生命、身体、財産などの保護その他公共の安全を確保するために必要がある情報を指す。
【本文再掲】
(3) 法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報で、開示することより当該法人等又は当該事業を営む個人の競争その他事業活動上の正当な利益を明らかに害すると認められるもの。ただし、次に掲げる情報は除く。
  ア 個人の生命、健康又は身体を、当該法人等又は当該事業を営む個人の行為によって生じる危害から保護するために、開示することが必要と認められる情報 
  イ 個人の生活を、当該法人等又は当該事業を営む個人の違法又は不当な行為によって生じる重大な支障から保護するために、開示することが必要と認められる情報
  ウ ア又はイに準ずるものとして、開示することが公益上必要と認められる情報

[趣旨]
第3号は、法人等の権利、利益の保護と事業活動の自由の保障の観点から、法人等に関する情報を、条例の適用除外情報として定めたものである。ただし、個人の生命、健康、身体、市民生活の保護等の公益上の必要がある場合は、本号本文に該当する情報であっても開示することと定めたものである。

[解釈と運用]
1 本号で開示を拒むことができる情報の要件は、次のとおりである。
 (1) 法人その他の団体に関する情報、又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であること。
   「法人その他の団体」とは、株式会社、有限会社等の営利法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人等の公益法人等、あらゆる法人格を有する団体のほか、団体としての組織を備え、かつ、運営等主要な点が確定している団体(自治会、婦人会、PTA、商工繁
栄会等法人格は有しないが、規約や代表者等が定められている団体。)をいう。なお、国及び地方公共団体については、本条第4号及び第6号で対応する。
「事業を営む個人」とは、地方税法第72条第5項から第7項までに掲げる事業を営む個人及び農業、林業等を営む個人をいい、本号の適用される情報は、「事業を営む個人」の当該事業に関するものに限定される。
(2) 開示することにより、法人又は事業を営む個人の事業活動上の正当な利益を明らかに害すると認められる情報であること。
   「事業活動上の正当な利益を明らかに害する」とは、開示することによって、法人等又は事業を営む個人の、技術開発上の支障、営業経営上の支障、内部管理上の支障、信用上の支障などを生じさせること等をいう。「明らかである」と認められるか否かは、当該法人又は当該個人の性格、規模、事業内容等に留意し、開示される情報と不利益との因果関係についても十分考慮して慎重に判断されなければならない。そこで、請求に関する情報が、不利益を与えるかどうかをまず判断し、判断が困難なものについては、当該第三者の意見を求めるなど、事前に十分な調査を行い、客観的に判断する。
2 本号ただし書関係 
  本号ただし書では、法人等又は事業を営む個人に不利益を与えてもなお、個人の生命、健康等や生活の保護など公益上の必要性から、開示する情報について定めている。
  (ア)の「行為によって生じる危害」とは、事業活動上の行為によって、現に発生しているか、将来確実に発生すると推定される公害、薬害、食品による危害、商品による危害等をいう。
  「保護する」とは、危害を未然に防止し、あるいは拡大や再発を防止することをいう。
  (イ)の「違法又は不当な行為」とは、法令の規定に違反し、又は法令の規定に直接違反はしないが、社会通念に照らして、実質的に妥当性を欠き、又は適当でない行為をいう。
  「重大な支障」とは、市民が日常の生活を営む中で、経済的に多大な損害を被り、又は堪え難い苦痛を強いられることをいい、これらの状況が現に発生している場合のみならず、将来確実に発生すると推定される場合も含まれる。
  (ウ)の「ア又はイに準ずるもの」とは、上記(ア)、(イ)には直接該当しないが、開示することにつき、それらと同程度に公益上の必要性が認められるものをいう。例えば、自然環境・動植物の保護・保全等に関するもので、開示することが特に必要と認められるものなどがある。
  なお、本号ただし書を適用する場合には、当該法人等又は事業を営む個人に不利益を与えることとなるので、開示することによる利益と不利益とを慎重に比較の上、客観的に判断しなければならない。
3 本号ただし書の具体的事例としては次のようなものが考えられる。
 (1) 個人の生命、健康又は身体を保護するために、開示することが必要と認められる情報。
  @ 食中毒発生施設と事件の概要
  A 立入検査結果の改善勧告、命令その他
 (2) 個人の生活を保護するために、開示することが必要と認められる情報
  @ 宅地建物取引業者行政処分に係る情報で、これに該当するもの
  A 訪問販売の苦情の多い品名と事業者名などの情報

【本文再掲】
(4) 市政執行に関する情報であって、次に掲げるもの 
 ア 市の機関内部、機関相互間又は市の機関と国、他の地方公共団体又はこれらに準ずる団体(以下「国等」という。)との間における審議、検討等の意思形成過程における情報であって、開示することにより、公正又は適正な意思決定に著しい支障が生じるおそれのあるもの
 イ 市の機関又は国等の機関が行う事務又は事業に関する検査の計画、入札の予定価格、試験の問題、交渉の方針、争訟の処理方針等の情報であって、当該事務又は事業の公正又は適正な執行を妨げるおそれのあるもの

[趣旨]
 第4号のアは、意思形成過程情報で、開示することにより公正かつ適正な意思決定に著い支障が生じると認められるものについて、これを防止するために規定したものである。これらは一般に、市政執行に関する情報で、特に、調査権に基づき取得した情報や会議録情報が想定される。
 第4号のイは、市政の公正又は適正な執行を確保する観点から、監査、検査、争訟等に関する情報で、市政の公正又は適正な執行を妨げるものについて非開示とするものである。

[解釈と運用]
1 公正かつ適切な議会運営を確保するためには、議会における自由な意見交換、十分な資料収集による慎重な審議、検討等を経た上での意思決定が必要である。また、意思形成過程の情報は精度に乏しく、意思決定の情報としては未成熟である。こうした情報をそのまま開示することは、市民に誤解を与えたり、混乱を招き、審議等に必要な資料が今後得られなくなるなど、公正かつ適切な審議等の妨げになるなどの弊害を防止するため、開示を拒むことができるものとする。
2 「意思形成過程」とは、特定の事務又は事業における個々の決定手続きが終了するまでの過程のほか、当該事務又は事業が複数の決定手続きを要する場合には、全体としての最終的な意思決定が終了するまでの過程をいう。
 (1) 検討、調査、審議などを繰り返しながら、意思が形成されていく過程。
 (2) 一つの意思決定を行っていく中で、個々の案件については決裁、供覧の手続きが終了しているが、全体的な意思決定がされていないもの。
 (3) 検討、調査、審議を始めたときから最終的な意思決定が終了するまでの間。
3 意思形成過程の情報のすべてが非開示となるものではなく、当該草案の意思決定に著しい支障が生じるおそれのあるものに限る.
【本文再掲】
(5) 個人の生命、身体及び財産の保護のために、開示しないことが必要と認められる情報並びに犯罪の捜査、犯罪の予防その他公共の安全の確保に関する情報

[趣旨]
第5号は、開示することにより、人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査、その他公共の安全の確保と秩序の維持に支障を生じる恐れのある情報を、条例の適用除外情報として規定したものである。

[解釈と運用]
1 「個人の生命、身体、及び財産の保護のために、開示しないことが必要と認められる情報」とは、開示すれば個人の生命等を犯罪等から保護することが困難になると認められる情報をいう。
2 「犯罪の捜査、犯罪の予防その他公共の安全の確保に関する情報」とは、犯罪の捜査、犯罪の予防に関する情報(捜査主体から犯罪捜査に係る照会、回答等を含む)のほか、社会生活に必要な法規範その他の秩序規範が侵害されないように保護するための事務に関する情報をいう。
3 具体的事例としては、次のようなものが考えられる。
 (1)個人の生命、身体、及び財産の保護のため開示しないことが必要と認められる情報
  @ 公害、犯罪、違法行為、不正行為等の情報提供者に関する情報
 (2)犯罪の捜査、犯罪の予防その他公共の安全の確保に関する情報
  @ 犯罪の捜査に係る照会、回答文書
  A 公共施設の警備状況に関する情報
【本文再掲】
(6)市の機関及び国等の機関との間における協議、依頼に基づいて作成し、又は取得した情報であって、開示することにより、市の機関及び国等との関係を著しく損なうおそれのある情報

[趣旨]  
 第6号は、議会と市、また、議会と国の機関、議会と他の地方公共団体との間の協力関係を確保するために定めたものである。

[解釈と運用]
1 議会と市の機関及び市の機関以外との間における協議、協力により作成し、又は取得した情報の中には、相手方の意向によって開示、非開示を決定すべき情報がある。これらの情報は、相手方の承諾なく開示することにより、相互の協力、信頼関係を損なうこ
 とを防止するために適用除外情報とする。
2 開示することにより、議会と市、また、国等の機関との協力関係又は信頼関係を著しく損なうものには以下のような情報がある。
 (1) 国等からの依頼による実態調査等に関する情報で、国等から公表してはならない旨の指示がされているもの。
 (2) 開示することにより、資料提供者との間の信頼関係を著しく損なうなど、以後の資料収集を著しく困難にする情報。
【本文再掲】
(7) その他開示することにより、議会の公正かつ円滑な運営に支障が生じることが明
 らかである情報

[趣旨]
 第7号は、議会としての意思決定(本会議の議決など)前における情報、現段階での委員会の会議録が要点筆記であることなどから、開示請求者に真意が伝わらないことが危惧されることも予想されることから、包括的な規定を設けたものである。

[解釈と運用]
 全員協議会、会派代表者会等の記録は開示対象とするが、議会が行う農業委員会委員、選挙管理委員及び議会役員選挙等の人事権を行使する場合、その選考過程については個人の人権やプライバシーに十分な配慮が必要であることから、第2号においても開示しない
ことができるとしている。
 なお、本号の適用に際しては、第1条及び第3条の趣旨を踏まえ、厳格な運用を定めている。
(部分開示)
第7条 議会は、請求に係る公文書に前条各号のいずれかに該当する情報とそれ以外の情報が記録されている場合において、当該部分を容易に、かつ、合理的に分離できるときは、当該部分を除いて開示しなければならない。

[趣旨]
 第7条は、部分公開の原則について規定したものである。公開を原則とする立場から、開示の請求に係る公文書の一部に第6条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合であっても、当該公文書の全部を非開示とするのではなく、該当部分をできる限り分離
し、残りの部分について開示しなければならないことを義務付けたものである。

[解釈と運用]
1 「容易に、かつ合理的に分離できる」とは、常識的に考えられる程度の時間、経費等 の面から総合的に判断するものとする。
2 開示する部分と非開示とする部分とが、別ページに記載されている場合は、当該非開示部分を取り外して開示する。
3 開示する部分と非開示とする部分とが、同一ページに記載されている場合は、非開示とする部分を覆って複写するか、又は全部を複写した上で非開示とする部分をマジック等で消去し、再度複写するなどして開示する。
4 3により閲覧に供した場合は、複写に要した実費は徴収できないものとし、写しを交 付するときは、閲覧に供したものを再度複写するものとする。
(期間を経過した公文書の開示)
第8条 議会は、第6条各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている公文書であっても、期間の経過により、当該公文書を開示しないとする理由がなくなった場合は、当該公文書の開示請求に応じなければならない。

[趣旨]
 第8条は、時限制について規定したものである。非開示情報であっても、期間の経過により開示しないとする理由がなくなった場合は、第6条各号の規定にかかわらず、当該公文書の開示請求に応じなければならないことを義務付けたものである。

[解釈と運用]
1 情報の持つ意味、価値、開示した場合の影響等は、社会的、経済的諸情勢に応じて変化するものである。したがって、過去の一時点において非開示情報に該当すると判断され、開示しないとする決定がなされた情報であっても、期間の経過等により開示しないとする理由がなくなっていることが考えられることから、開示等の請求に対する開示可否の決定に当たっては、過去における判断を参考にし、公開を原則とする立場から新たに判断しなければならない。
2 綾部市議会委員会条例第9条による「秘密会」の決定が行われた場合も含まれる。ただしこの場合も、個人の人権、プライバシーに関することは非開示とすることができる。
3 時限開示と決定された場合は、非開示決定の時点であらかじめ非開示情報を開示できる日が明らかな場合は、第12条第5項後段の規定により、その旨及び開示できる時期を通知しなければならない。

(公益上の理由による裁量的開示)
第9条 議会は、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合において、非開示情報の規定により保護される利益に優先する公益上の理由があると認めたときは、第6条各号の規定にかかわらず、公文書の開示を請求したもの(以下「開示請求者」という。)に対し、当該公文書を開示できるものとする。

[趣旨]
 第6条各号の規定の例外として、非開示よりも開示することの方が公益性が大きいと判断される場合、議会の裁量判断により開示を可能とする規定を設けたものである。

[解釈と運用]
 議会が公益性の判断をするに当たっては、個々の非開示情報の規定により保護されるべき利益の性質及び内容を考慮し、これを不当に侵害することのないよう配慮しなければならない。とりわけ、憲法上保障されている個人の人格等に関する利益については、慎重な配慮が求められる。
 なお、本条に基づく決定に対しても、開示請求者を除く第三者からの不服申立て及び執行停止の申立て並びに取消し訴訟の提起が可能であることから、安易な本条の適用を避けるとともに、他の開示可否の判断を行う場合にも増して、慎重な対応が必要となる。
(請求の方法)
第10条 第5条の規定により公文書の開示を請求しようとするものは、次に掲げる事項を記載した請求書を議会に提出しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに法人等にあっては、その代表者の氏名
(2) 開示を請求しようとする事項 
(3) 前2号に掲げるもののほか、議会が定める事項

[趣旨] 
第10条は、公文書の開示請求に関する具体的な手続きを規定したもので、請求様式は、別に定める「公文書開示請求書」による。

[解釈と運用]
1 公文書の開示請求は、その事実関係を明らかにし、後日の紛争を防止する等手続きの正確を期するため、請求書の提出により行う。
2 請求書の提出とは、別に定める「公文書開示請求書」を提出することをいう。
3 公文書を開示請求する場合は、請求書によることを原則とするが、郵送、ファクス又は電話による請求があった場合は、次により取扱うものとする。
   く郵送及びファクスによる請求の場合>
  郵送されたものについては、本条各号に規定されている事項で、請求書の様式による記載事項が記入されていれば受理することができる。受理できないものについては、請求書の様式を送付して、内容を整備するよう求める。
   <電話による請求の場合>
  請求は文書によることが原則であることを説明して、請求書の提出を求める。
4 第1号に規定する請求者の住所、氏名等は、開示、非開示等の行政処分の決定通知の送達に必要なものであるから、正確な記載を必要とする。
5 第2号に規定する「開示を請求しようとする事項」については、議会事務局の職員が請求に係る事項を特定できる程度の記載を必要とする。

(公文書の存否に関する情報)
第11条 議会は、開示請求された当該公文書の存否を答えるだけで、非開示情報を開示することになる場合に限り、当該公文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒否することができる。

[趣旨]
第11条は第6条第2号及び第3号に定める開示しないことができる情報であるにもかかわらず、当該開示請求に係わる公文書が存在しているか否かを答えるだけで、開示したと同様の情報となる場合の対処を示したものである。

[解釈と運用]
 個人情報及び事業活動情報に限定し、適用すべきである。
 本条に基づく拒否決定も「処分その他公権力の行使」に当たることから、不服申立て及び抗告訴訟を提起することができるものである。
 また、電磁的情報を開示する場合、本条の規定に反することがないよう十分な配慮が必要である。
(開示請求に対する決定等)
第12条 議会は、第10条の規定による請求書の提出があったときは、当該請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示する旨の決定をしなければならない。
2 議会は、前項に規定する公文書に、非開示情報が記録されていることを理由として開示請求者に対し、当該公文書の全部又は一部を開示しない旨(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び当該開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)の決定をすることができる。
3 前2項の決定(以下「開示決定等」という。)は、当該請求があった日の翌日から起算して2週間以内に行わなければならない。この場合において、議会は、開示請求者に対し、当該決定の内容を速やかに文書で通知しなければならない。
4 議会は、やむを得ない理由により前項に規定する期間内に開示決定等ができないときは、同項の規定にかかわらず、当該期間をその満了する日の翌日から起算して4週間を限度として延長することができる。この場合において、議会は、その旨並びに当該延長の理由及び延長後の期間を開示請求者に対し、速やかに文書で通知しなければならない。
5 第3項後段に規定する文書において、第2項に定める決定をするときは、当該決定の理由を記載しなければならない。この場合において、議会は、開示請求に係る公文書が、一定の期間の経過により、非開示情報に該当しなくなり、その全部又は一部を開示できることが明らかであるときは、その旨及び開示できる時期を付記しなければならない。
6 議会は、第1項に規定する決定(第2項に規定する公文書の一部を開示しない場合を含む。)をする場合において、請求に係る公文書に第三者に関する情報が記録されているときは、あらかじめ請求のあった公文書中の当該事項を示して、当該第三者の意見を聴くことができる。

[趣旨]
 第12条は、公文書の閲覧等の請求に対する開示可否の決定及びその手続きについて規定したものである。決定通知の様式及び決定期間の延長に係る様式は、別に定める「公文書開示請求に係る開示可否決定通知書」等による。

[解釈と運用]
1 請求書の受理に際しては、請求者に対して次の事項について説明を行う。
  @ 開示するかどうかの決定には、日時を要すること。
  A 開示する場合の閲覧等の日時及び場所は、別に定める「公文書開示請求に係る開示可否決定通知書」に記載された日時及び場所で行うこと。
  B 開示することにより汚損、又は毀損するおそれがあると認められる公文書は、その写しにより開示することがあること。
  C 写しの交付には、費用の負担が必要であること。
2 「決定通知」は、「公文書開示請求に係る開示可否決定通知書」等により行うものとする。
3 第3項は、開示請求のあった日の翌日から起算して2週間以内に、当該請求に対する開示決定等を行い、請求者に対して速やかに決定通知を行うことを義務付けたものである。なお、決定期間の満了の日が閉庁日に当たるときは、その翌日をもって満了日とする。2週間以内に開示決定等又は4項に規定する期間延長の通知をしない場合、請求者は議会の不作為に対して、不服申立て及び行政事件訴訟を提起できることを十分留意して処理しなければならない。
 「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにもかかわらず、これをしないことをいう。この条例においては、議会が合理的理由なく、請求書提出後2週間を経過しても開示可否の決定を行わない場合などが考えられる。
4 第4項の「やむを得ない理由」とは、概ね次のような場合をいう。
   @ 一度に多くの開示請求などがあり、期間内に公文書を検索し、特定することが困難であるとき、又は期間内に開示決定等の判断ができないとき。
   A 請求があった公文書に、議会及び請求者以外の第三者に関する情報が記録されているため、当該第三者の意見を開くなどの調査が必要なもので、期間内に開示決定等の判断ができないとき。
   B 災害等により職務執行ができないとき等、合理的な理由により、期間内に開示決定等の判断ができないとき。
5 第4項の「当該期間を〜延長することができる」とは、議会の自由裁量によって開示の期間を設定できるというものではなく、前記@〜Bに該当するなど、合理的な理由が 存在しなければ、期間を延長することはできない。延長の期間は、第3項に規定する期間の満了する日の翌日から起算して4週間を限度とし、再度期間延長を行うことはできない。請求者に対し、開示決定等の期間の延長を「文書で通知」する場合は、別に定める「公文書開示決定期間延長通知書」によるものとし、その理由及び決定することができる時期を記載する。
6 第5項は、開示請求に対して、非開示と決定した場合は、請求者に対する不利益処分となるものであることから、その理由を明らかにすることを義務付けたものである。「開示しない旨の決定」には、当該公文書の全部を非開示とする場合だけでなく、一部を非開示とする場合及び公文書の存否を明らかにしないで請求を拒否する場合も含まれる。
  「開示しない旨の決定」をする理由は、単に「条例第6条第○号に該当するため」というだけでは十分でなく、理由を付記していない場合又は付記された理由が不明確な場合は、瑕疵ある行政処分とみなされることがあるので、いかなる理由で各条(号)に該当するかを具体的事実に基づいて、合理的な理由を記載しなければならない。
7 第6項は、第三者に関わる情報が含まれる公文書の開示を決定等するに当たって、当該第三者に対し、意見を聴くことができるとともに、意見書を提出する機会を与えることができることを規定したものである。
(開示の実施方法)
第13条 議会は、前条第1項の規定により開示することと決定したとき(同条第2項の規定による一部を開示しない旨の決定をしたときを含む。)は、速やかに開示請求者に対し、当該公文書の開示をしなければならない。
2 議会は、公文書の原本を開示することにより、当該公文書が汚損され、又は破損されるおそれがあると認めるときその他合理的理由があるときは、当該公文書の写しにより開示することができる。

[趣旨]
 第13条は、前条第1項の規定により公文書を開示することと決定したとき(同条第2項の規定による一部を開示しない旨の決定をしたときを含む。)における当該公文書の開示について規定したものである。

[解釈と運用]
1 第1項関係
  「当該公文書の開示をしなければならない。」とは、決定通知書により指定した公文書について、決定の日時、場所において閲覧に供しなければならない旨を規定したもので、必要に応じて職員立会いのもとで開示する。
2 第2項関係
 (1) 開示は原則として原本により行うこととするが、開示請求のあった公文書とそれ以外の公文書が一括編冊されている場合には、請求部分とそれ以外の部分を分離して開示する。ただし、物理的に取外しが不可能な場合は、写しにより開示することができる。
 (2)「その他合理的理由」とは、次のような場合をいう。
  @ 常用の台帳など原本を閲覧に供した場合には、日常の事務の執行に支障を生ずるとき。
  A 一部開示の場合であって、非開示とする部分を除いて開示するため、原本によりがたいとき。
  B 歴史的意味を持つ公文書や開示の請求がしばしば予想される公文書などで、汚損、き損するおそれのある場合、その他相当の理由があるとき。

(費用の負担)
第14条 この条例に基づく公文書の閲覧に係る手数料は、綾部市手数料条例(昭和50 年綾部市条例第1号)の規定にかかわらず、無料とする。
2 この条例の規定に基づき、公文書の写しの交付を受けるものは、当該写しの交付に要する費用を負担しなければならない。

[趣旨]
 第14条は、この条例による公文書の写しの交付を受けるものの費用負担について規定したもので、綾部市情報公開条例第15条第3項の規定を準用する。
 なお、この条例の規定に基づいて行う情報公開の手数料は無料である。
(不服申立てがあった場合の手続き)  
第15条 この条例による公文書の開示請求に対する決定に不服のあるものは、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)の規定に基づき、不服申立てをすることができる。
2 議会は、前項の不服申立てがあった場合、当該不服申立てが明らかに適法でないとき及び当該不服申立てに応じ第12条第2項の規定による非開示の決定を取り消す場合を除き、遅滞なく綾部市情報公開条例(平成12年綾部市条例第35号)第17条第1項の規定により設置された綾部市情報公開審査会に意見を求め、その意見を十分尊重し、当該不服申立てに対する決定を行うものとする。

[趣旨]
 第15条は、公文書の開示請求に対する処分に不服がある場合は、議会に対して当該処分のあったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、異議申立てができる旨の取り扱いを規定したものである。 

解釈と運用]
1 第1項関係
 (1) この条例において、請求に対する開示可否の決定に対し不服のあるものが不服申立てができる旨を確認的に規定したものである。 (2) 本条に定める不服申立ては、開示請求者及び請求のあった公文書に記録されている第三者ができるものである。
 (3) 議会の処分等について不服のあるものは、この制度による「不服申立て」のほかに、行政事件訴訟法により裁判所に対して救済を求めることができる。訴訟と不服申し立てのいずれによるかは、その者の選択にゆだねられている。
2 第2項関係
 (1) 綾部市情報公開審査会への意見を求めることは、議長が行う。
 (2) 議会は、綾部市情報公開審査会に意見を求めた場合、審査会が必要とする資料を提出するとともに、同審査会の結果を十分尊重し、当該不服申立てに対する決定をしなければならない。

(公文書の目録)
第16条 議会は、公文書の開示請求に供するため、公文書目録を作成しなければならない。

[趣旨]
 第16条は、公文書の開示請求等に関し、当該公文書を容易に検索、特定するための目録の作成を義務付けたものである。

[解釈と運用]
1 「開示請求に供するため」とは、開示請求のための公文書を特定するために利用する「公文書目録」を情報公開の窓口に常時設置して、一般の利用のために備えておくことをいう。議会の公文書目録を、綾部市の情報公開窓口に備え付ける。
2 「公文書目録」は「文書管理簿」として整理し、業務別、保存年限別に記録する。
(実施状況の公表)
第17条 議会は、毎年1回、この条例の規定に基づく公文書の開示実施状況を公表するものとする。

[趣旨]
 第17条は、制度の公正な運営を確保するため、公文書の開示実施状況を公表することを義務付けたものである。

[解釈と運用]
 「開示実施状況を公表する」とは、議会が、毎年度末に開示請求件数等、決定の件数及び内容等を整理し、議会報(議会だより)に登載することをいう。登載事項は市と同様とする。
(公文書の任意的開示)
第18条 議会は、この条例の適用対象となる日前に作成又は取得した公文書で、現に議会において保有しているものについて開示の申出があったときは、これに応じるよう努めるものとする。
2 第14条の規定は、前項の規定による公文書の開示について準用する。

[趣旨]
 原則開示の考え方から、本条例の適用対象日前の公文書についても、議会に支障が生じない限り、誠実にこれに応じるよう努力義務を定めたものである。
 また、費用負担についても義務的に開示される公文書と同様の扱いを定めたものである。

[解釈と運用]
 任意的開示の申し出は、条例が定める請求権の行使ではないため、関係用紙等についても本条例及び施行規則に定めるものとは別の扱いを要するものである。
(他法令等との関係)
第19条 この条例の規定は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条第14項の規定により附置した議会の図書室において保管する図書、官報及び刊行物等については、適用しない。
2 この条例の規定は、他の法令又は条例の規定に基づき閲覧し、若しくは縦覧し、又は謄本、抄本等の交付を受けることができる公文書については、適用しない。

[趣旨]
 第19条は、綾部市議会情報公開条例と他法令等との関係について規定したものである。

[解釈と運用]
 地方自治法の規定により附置された議会図書室で保管する図書等については、同法において一般利用が認められていることから、この条例の手続きを経ないで閲覧できる。また、他の法令や条例により閲覧、縦覧又は謄・抄本等の交付を受けることができるときは、本条例を適用しない。
(委任)
第20条 第6条から第18条までの規定に基づく議会の権限の行使は、議長がこれを行うものとする。
2 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

[趣旨]
 第20条は、条例で規定する議会の権限を議長に委任する規定である。
 第2項は、この条例の施行に関し必要な事項については議長が別に定めるもので、議会が別に定める規則、要綱等が該当するものである。

[解釈と運用]
 議長が本条に基づく権限の行使を行う場合は、必要に応じ議会運営委員会に諮問することができる。
附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成12年10月1日から施行する。

(適用)
2 この条例は、平成12年4月1日以後に作成し、又は取得した公文書から適用する。

[趣旨]
 附則は、この条例の施行期日及びこの条例の適用を受ける公文書の範囲を規定したものである。

[解釈と運用]
1 議会における公文書の公開は、平成12年10月1日からとする。
2 第2項は、公開する文書の本条例における適用を定め、平成12年4月1日以後に作成又は取得した文書から適用する。
        議第1号「綾部市情報公開条例の制定について」に対する修正動議

 上記の動議を、地方自治法(昭和22年法律第67号)第115条の2・及び綾部市議会会議規則(昭和42年綾部市議会規則第1号)第17条の規定により、別紙の修正案を添えて提出します。
    

        議第1号「綾部市情報公開条例の制定について」に対する修正案

 議第1号「綾部市情報公開条例の制定について」の一部を次のとおり修正する。

 第17条第2項に次の1号を加える。

 (4)綾部市議会情報公開条例(平成12年綾部市条例第35号)第15条第2項の規定に基づく議会の求めに応じて述べる意見に関すること。


(この修正動議は不服申し立ての際、市と議会の判断基準を同一公正にするため綾部市情報公開条例で設置されている綾部市情報公開審査会に意見を求めることを定めるためです。)


            

綾部市議会情報公開条例
施行規則


(趣旨)
第1条 この規則は、綾部市議会情報公開条例(平成12年綾部市条例第35号。以下「条例」という)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。

(公文書の保存期間)
第2条 条例第2条第1号に規定する公文書の保存期間は、綾部市文書取扱規程(昭和61年綾部市訓令甲第1号)の定めるところによる。
 2 前項の規定にかかわらず、磁気、電子、その他人の知覚によって認識することができない方式で作られた記録の保存期間は、次のとおりとする。
 (1)録音テープ     1年間
 (2)ビデオテープ    1年間
 (3)磁気ディスク    1年間
 (4)その他        1年間

(公文書の写し)
第3条 公文書の写しとは、公文書を紙面に複写したものをいう。

(公文書の開示の請求書)
第4条 条例第10条に規定する請求書は、公文書開示請求書(様式第1号)とする。

(公文書の開示可否等の決定通知書)
第5条 条例第12条第3項の規定による通知(本条第2項及び第3項の通知を除く。)は、公文書開示請求に係る開示可否決定通知書(様式第2号)により行うものとする。
 2 条例第11条の規定により公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否する場合の通知は、公文書開示請求拒否通知書(様式第3号)により行うものとする。
3 議会が、開示請求に係る公文書を保有していない場合の通知は、公文書不存在通知書(様式第4号)により行うものとする。

(決定期間延長の通知書)
第6条 条例第12条第4項の規定による通知は、決定期間延長通知書(様式第5号)により行うものとする。

(第三者に関する情報の取扱い)
第7条 条例第12条第6項の規定による第三者に関する情報に係る当該第三者への意見聴取は、第三者情報に関する意見聴取通知書
(様式第6号)により行うものとする。
2 当該第三者が意見書を提出する場合は、公文書の開示に関する意見書(様式第7号) により行うものとする。
3 議長は、第三者情報について、意見聴取を行った後に開示又は非開示(部分開示を含 む)の決定をしたときは、その結果を当該第三者に公文書開示請求の結果について(様式第8号)により通知するものとする。
4 議長は、前項の決定に対する当該第三者からの不服申立てに基づく執行停止申立てが あった場合は、処分の執行を当分の間停止するとともに、開示請求者に対しては公文書 開示決定に係る執行停止通知書(様式第9号)により、その旨を通知するものとする。

(公文書の閲覧及び写しの交付)
第8条 条例第13条に規定する公文書(公文書を視写したものを含む。以下同じ。)の 閲覧及び写しの交付は、議長が指定する日時及び場所において行うものとする。
2 議長は、公文書を閲覧する者が当該公文書を損傷し、若しくは汚損し、又はこれらの
 おそれがあると認めるときは、当該公文書の閲覧を中止させ、又は禁止することができ る。

(公文書の写しの交付部数)
第9条 条例第13条及び条例第18条第1項の規定による公文書の写しの交付部数は、開示請求1件につき1部とする。

(公文書の写しの交付に要する費用)
第10条 条例第14条第2項の規定による公文書の写しの交付に要する費用は、綾部市情報公開条例施行規則(平成12年綾部市規則第34号)第7条第1項の規定を準用する。
2 前項の費用は、前納しなければならない。
3 前2項の規定は、条例第18条第1項の規定による公文書の開示について準用する。

(不服申立てがあった場合の取扱い)
第11条 条例第15条第2項の規定による綾部市情報公開審査会へ意見を求める場合は、議会の処分に対する意見について(依頼)(様式第10号)に関係書類を添付して行うものとする。
2 異議申立てに対する決定通知は、決定書(様式第11号及び様式第12号)により行うものとする。

 (実施状況の公表)
第12条 条例第17条の規定による実施状況の公表は、綾部市議会報(綾部市議会だより)に登載することにより行うものとする。

(申出書及び回答書)
第13条 条例第18条第1項の規定による公文書の開示の申出は、公文書開示申出書(様式第13号)により行うものとする。
2 前項の申出に対する開示可否の回答は、公文書開示申出に係る回答書(様式第14号) により行なうものとする。

    附 則
 この規則は、条例施行の日から施行する.
  情報公開条例施行から2ケ月

地元紙に掲載された記事を紹介します。

情報公開条例施行から2ケ月

 開かれた市政を目指して市と市議会がそれぞれ条例を定め、情報公開制度を導入して二カ月が経過した。しかし、この間、市民から制度に基づいて請求があったのは一件だけ。請求の受付窓口となっている市総務課は「この制度を活用しなくても、知りたい情報があれば日常的に市民にできるだけ公開するようにしている。(請求が少ないことについては)制度がスタートして間もないこともあり、時期尚早なのかもしれない」と話している。

市と市議会がまだ開示請求は1件だけ    
    教育委員会の議事録内容について

 行政が所有する公文書などの開示を求める住民側の請求権と、請求に対する行政側の開示義務を定めた「情報公開集例」は、全国各地の地方自治体で制定されている。綾部市では全国的に珍しく、別々の条例を今年三月に制定した。

 市と市議会の両条例とも保有するすべての情報の公開を原則にしているが、若干異なる点もある。その一つが公文書の定義。市はマイクロフィルムを含む「文書、図画、写真」としているのに対して、市議会はこれら以外にフロッピーディスクやカセットテープ、ビデオテープなどに記録されたものも含めている。

 そのほか、請求ができる人を市の条例では、市内に住んでいる人や市内に事務所や事業所がある個人や団体などに限っているが、市議会はだれでも請求できるようにしている。

 今年十月一日からの条例施行に備えて市は、市民らからの請求に対してすぐに資料の開示ができる態勢が取れるよう、昨年度から市役所本庁舎地下にある倉庫の整備と併せて整理も行っている。

 また、請求に対して市が非公開の決定をしたことに不服を申し立てる機関として市情報公開審査会も設置されている。請求者は訴訟も起こすことができるため、同審査会の委員は弁護士などの法律の専門家を各めた男性四人と女性一人の計五人で構成されている。

 十月一日の制度開始の日から開示請求があったのは一件で、教育委員会の議事録の内容に関するものだった。市民グループから議事録開示の求めがあったのが、ちょうど制度が始まったばかりの時だったため、制度に基づいた手続きが取られ開示された。